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トレタビ列車図鑑

【第26回】「リゾートみのり」

【第26回】「リゾートみのり」

陸羽東線沿線の温泉を結ぶリゾート列車

 沿線に数多くの温泉地をはじめ、戦国武将・伊達政宗公や松尾芭蕉「奥の細道」の歴史的な史跡がある陸羽東線(奥の細道 湯けむりライン)の観光リゾート列車として登場したのが、キハ48系気動車3両編成の「リゾートみのり」だ。陸羽東線のキーワード「稲穂」実りある収穫、「温泉」実りあるひととき、「紅葉」実りの秋など、「実り多い旅にしてほしい」という意味を込めて愛称が付けられた列車で、東北本線仙台駅から小牛田駅を経由し、陸羽東線沿線の観光スポット最寄り駅に停車して新庄駅までを結んでいる。

 小牛田駅から陸羽東線には入った列車は、東北新幹線と接続する古川駅に停車。この先もササニシキ発祥の地として知られる大崎平野の穀倉地帯を車窓に走り、山並みが迫ると川渡温泉駅、鳴子御殿湯駅と停車し、観光の拠点となる鳴子温泉駅に到着。新緑が美しい鳴子峡などを車窓に映し、中山平温泉駅の次の堺田駅で県境を越えると、列車は山形県内にある赤倉温泉駅、瀬見温泉駅などに停車して終着の新庄駅まで快走する。

1 先頭車両

前面に伊達政宗の兜をイメージしたアンティークゴールドの装飾や、稲穂をイメージしたメタリックゴールドのラインをデザインしている。

2 車両側面

車両側面には「みのり」のロゴを配し、出入り口のドアはメタリックシルバーとして、落ち着きのあるデザインの中に華やかさを表現している。

3 普通車車内

鳴子峡の紅葉をイメージした赤色系モケットのリクライニングシートを配置。シートピッチ1200mmのゆったりした空間で車窓が楽しめる。

4 展望スペース

1・3号車の先頭車両の運転台後方に設置された展望スペース。背もたれ可動式の椅子からは沿線の美しい風景を180度の大パノラマで楽しめる。

5 イベントスペース

2号車の1号車寄り車端に設置されたイベントスペースでは、陸羽東線の沿線に因んだ様々なイベントが開催(開催日限定)される。

6 モニター装置

2号車のイベントスペースには大型のモニター装置を装備。陸羽東線沿線の各エリアの観光情報などが映し出されている。

DATA


デビュー年:
2008年10月1日
運転日:金・土曜・休日などに1日1往復
運転区間:東北本線・陸羽東線 仙台~小牛田~新庄間
車両形式:キハ48系3両編成
陸羽東線リゾートみのり
笑顔咲くたび伊達な旅 仙台・宮城

「リゾートみのり」でめぐる宮城の旅

食の蔵「醸室(かむろ)」

江戸時代後期の酒蔵を改装した施設。建ち並ぶ母屋や蔵、離れなどに郷土料理店や喫茶店、酒造店、工芸店、地元特産品店などが店を構えている。

吉野作造記念館

大正デモクラシーの中心となった吉野作造の記念館。彼の活動や業績、遺品が展示されているほか、貴重な写真や映像も見ることができる。

旧有備館

岩出山伊達家の家臣子弟の学問所であった有備館。東日本大震災で写真の主屋が倒壊し、現在は廻遊式池泉庭園などが一部公開されている。

鳴子温泉

日本にある11の泉質のうち、9種類がある湯量豊富な温泉。「湯めぐりチケット」を利用すれば、バラエティに富んだ泉質をおトクに楽しめる。

中山平温泉

景勝地・鳴子峡の近くにある美人の湯として知られる温泉。アルカリ度の高い、ぬるぬるした感触の湯から「ウナギ湯」の名称で親しまれている。

地獄谷遊歩道

鬼首温泉の約80度の源泉が10数カ所に渡って自噴する遊歩道。紫地獄の近くにある卵湯に卵を入れると、約10分でおいしい温泉卵ができる。

栗だんご

醤油をベースにしたみたらし団子風の和のスイーツ。やわらかい団子の中には大粒の栗がまるごと入り、自然のやさしい甘さを楽しめる。

凍みっぱなし丼

大崎市名物の「凍み豆腐」を凍らせたまま熟成させ、なめらかな歯ごたえとなった「凍みっぱなし」をカツ丼風に仕上げた人気のご当地グルメ。

鉄道写真作家 結解喜幸の
「リゾートみのり」○得利用術

宮城エリアの週末の旅を楽しむには、東北本線新白河~仙台~平泉間や陸羽東線などの快速・普通列車の普通車自由席が、土休日や夏休み期間などの1日間乗り降り自由となる「小さな旅ホリデー・パス(南東北フリーエリア)」(おとな2,600円、こども1,300円)が便利でおトクだ。別途に座席指定券を購入すれば、全車指定席の「リゾートみのり」が利用できる。ちなみに仙台~鳴子温泉間の普通乗車券は往復3240円なので、同区間の日帰りのみでもおトクとなる。

文:結解喜幸 写真協力:宮城県観光課 鳴子温泉郷観光協会 交通新聞サービス
※掲載されているデータは平成25年4月現在のものです。

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