『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
プライベート空間の個室寝台という時代のニーズに合わせて登場したのが、朝を連想させる赤とベージュの塗色にゴールドのラインを配した285系電車の「サンライズエクスプレス」。住宅メーカーと共同でデザインした個室寝台は、温もりのある高品位な空間となっており、快適な睡眠とプライベート空間のやすらぎを実現している。列車は7両編成で、5・12号車に横になって休める普通車指定席「ノビノビ座席」があるほかは、すべてA寝台1人用個室およびB寝台1・2人用個室となっている。
東京駅を発車した出雲市行の「サンライズ出雲」は、岡山駅まで高松行の「サンライズ瀬戸」を併結した14両編成で運転。深夜の東海道・山陽本線を快走した列車は岡山駅で分割し、倉敷駅から伯備線を走行。夜明けの中国山地の風景が車窓に映し出され、さらに右手に伯耆(ほうき)富士・大山(だいせん)の姿が見えると間もなく山陰本線に入る。松江駅を発車して右手に宍道(しんじ)湖を眺めると、列車は駅前に出雲大社の大しめ縄がある出雲市駅へと到着する。
個室内に洗面台やデスク・椅子、液晶モニターを備えたA寝台1人用個室。ゆったりとした空間で、くつろぎの夜行列車旅が楽しめる。
個室内にシングルベッドが2つ並ぶB寝台2人用個室。4・11号車の1階部分に4室が設置されており、特に女性2人旅に人気がある。
個室内にシングルベッドがあるB寝台1人用個室。ソロよりも広くてゆったりしており、さらに2人でも利用できるシングルツインもある。
開放式B寝台と同じ料金で利用できることで人気のB寝台1人用個室。3・10号車の中央通路を挟んで上下に計20室が設置されている。
船の桟敷席と同じスタイルの横になって休めるカーペット敷きの空間。上下2段構造で、枕木方向の窓側に隣の席との間仕切りが付いている。
3・10号車の車端に設置されたテーブルと椅子のあるフリースペース。ソフトドリンクの自動販売機やシャワー室(有料)が設置されている。
大名茶人で知られる松江藩七代藩主の松平不昧(ふまい)公。茶会に用いた和菓子が松江銘菓となり、茶の湯文化とともに伝統が受け継がれている。
寝台特急「サンライズ出雲」を利用して出雲エリアの旅を楽しむきっぷは現在発売されていないので、通常のきっぷを利用して往路は「サンライズ出雲」、復路は新幹線や航空機など自由に交通機関を選ぶ旅を楽しむのがベストになる。なお、首都圏エリアの一部の旅行会社では松江・出雲エリアへ「サンライズ出雲」を利用する旅行商品を販売しており、ツアーを利用すれば手軽な料金で夜行列車の旅を楽しむことができる。
文・写真:結解喜幸 写真提供:島根県観光連盟
※掲載されているデータは平成25年5月現在のものです。