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トレタビ列車図鑑

【第28回】「SL人吉」

【第28回】「SL人吉」*熊本~人吉間*

大正生まれの8620形が牽引するSL列車

 大正時代に製造された日本最古参の現役蒸気機関車が、「SL人吉」の牽引機として活躍する8620形58654号機。動輪が3個のC形機関車だが、当時の数字のみの形式車号が付けられており、8620形の435番目(8620~8699・18620~18699の順に付番)の車両として製造された。牽引される3両の客車は「和」をイメージした車両で、両端の1・3号車に展望ラウンジ、2号車にはビュッフェが設置されている。

 それでは、九州新幹線熊本駅から58654号機が牽引する列車に乗り、肥薩線の車窓の旅を楽しんでみることにしよう。熊本駅を発車した列車は、途中の八代駅まで鹿児島本線を走り、ここから球磨川沿いを走る肥薩線に入る。何度となく球磨川を渡り、変化に富んだ美しい川沿いの風景が車窓を飾る。車内にはドラフト音と汽笛が響き、昔懐かしいSLの旅が盛り上がる。最後部の展望ラウンジから流れゆくパノラマ風景を楽しむうちに、列車は人吉盆地の中に入り、終着の人吉駅に到着する。

1 普通車車内

木の香薫るクラシカルな車内に布地と本革のボックスシートが配置された車内。車両またはブロックごとに色彩やデザインなどが異なる。

2 普通車車内

各車両には4人掛けのボックスシートと2人掛けのシートを配置。大型のテーブルが設置されており、車内販売の駅弁・飲み物を広げることができる。

3 展望ラウンジ(1号車)

上品な白木、メープルウッドをふんだんに使用した展望室。熊本行の列車では木製のベンチに腰かけて、最後部のパノラマ風景が楽しめる。

4 展望ラウンジ(3号車)

高級感あふれるローズウッドに包まれたサロン風の展望室。4種類の心地よい椅子が配置されており、贅沢なひとときを過ごすことができる。

5 ビュッフェ(2号車)

木に包まれたシックな空間が魅力のビュッフェ。軽い食事や飲み物、オリジナルグッズを販売しており、すてきなカフェタイムを楽しめる。

6 SL文庫(3号車)

デッキ寄りにあるソファーと本棚を設置したSL文庫。汽笛の音を聞きながら、鉄道やSLに関する書籍・絵本・写真集を見ることができる。

DATA


デビュー年:
2009年4月25日
運転日:1日1往復(観光シーズンを中心に運転)
運転区間:鹿児島本線・肥薩線 熊本~人吉間
車両形式:58654+50系3両編成
・JR KYUSYU TRAINS SL人吉

「SL人吉」でめぐる肥薩線の旅

くま川下り

人吉盆地を貫流して八代平野に至り、不知火海に注ぐ熊本県内最大の川。日本三大急流のひとつで、急流を舟で下るスリル満点の川下りが楽しめる。

球泉洞

3億年前海底にあった石灰岩層が隆起してできたと推測される九州最大の鍾乳洞。3億年もの歳月をかけて自然が作り出した芸術作品が楽しめる。

青井阿蘇神社

今から約1200年前の806(大同元)年に創建された神社。阿蘇山の麓に鎮まる阿蘇神社の御祭神十二神のうち、三神の分霊が祀られている。

人吉温泉元湯

1934(昭和9)年に開業した人吉城跡近くの公衆浴場。泉質は炭酸水素塩・塩化物泉で、歴史を感じる素朴な浴室での入浴が楽しめる。

人吉クラフトパーク石野公園

人吉球磨の歴史を学び、文化に触れることができる体験型テーマパーク。木工館・陶芸館・鍛冶館などがあり、陶芸や工芸などの体験ができる。

きじ料理

人吉の豊かな自然の中で育った高麗キジを使った郷土料理。柔らかくあっさりとしたキジ肉の刺身や山菜などと煮込んだキジ鍋を味わえる。

球磨焼酎

球磨川の清流から生まれた500年もの歴史があるという米焼酎。28の蔵元があり、各蔵元で個性豊かな香りや味を醸し出している。

人吉駅弁「栗めし」

今では珍しくなった駅ホームでの駅弁の立ち売りが行われている人吉駅。「栗めし(写真)」や「鮎ずし」「人吉球磨物語」など人気の駅弁が揃っている。

鉄道写真作家 結解喜幸の
「SL人吉」○得利用術

SL列車「SL人吉」の旅を楽しむには、肥薩線球泉洞~人吉~吉松間が乗り降り自由のフリー区間となる「人吉・球磨のんびりきっぷ」(熊本からおとな4,500円・3日間有効/福岡市内からおとな11,000円・5日間有効)が便利でおトクだ。別途に指定席券(おとな800円)を購入すれば「SL人吉」に乗車できるほか、発駅からの往復またはフリー区間内では特急列車の普通車自由席にも乗車できる。なお、福岡市内発は博多~熊本間で九州新幹線が利用できる。

文・写真:結解喜幸 写真協力:くまもと写真館(熊本県)
※掲載されているデータは2013年6月現在のものです。

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