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トレタビ列車図鑑

【第32回】特急「はやとの風」

【第32回】特急「はやとの風」*吉松~鹿児島中央間*

霧島連峰や桜島を車窓に映して走るD&S列車

 九州新幹線新八代~鹿児島中央間の部分開業に合わせ、吉松駅から肥薩線・日豊本線を経由して鹿児島中央駅までを結ぶD&S列車として誕生したのが、キハ40系車両をシックな漆黒塗色の特急車両に改造した「はやとの風」。車内は難燃木材を使用した木のぬくもりを感じるデザインで、明るくて落ち着きのあるやさしい空間を演出している。

 それでは、肥薩線の吉松駅から乗車し、鹿児島中央駅までの車窓の旅を楽しんでみることにしよう。肥薩線のD&S列車「いさぶろう・しんぺい」が接続する吉松駅を発車した列車は、次の栗野駅から山間部へと入り、左手車窓には霧島連峰の山並みが映し出されるようになる。明治36(1903)年1月15日に開業した大隅横川(おおすみよこがわ)駅や嘉例川(かれいがわ)駅には、100年以上の歴史を持つ木造駅舎があり、そのレトロな雰囲気で観光スポットとなっている。霧島温泉駅は文字通り霧島温泉郷の玄関口で、霧島連峰やえびの高原などの観光エリアが控えている。隼人駅から日豊本線に入ると、左手車窓には錦江(きんこう)湾と桜島の景観が広がり、市街地の風景が近づくと列車は鹿児島中央駅に到着する。


※JR九州では、観光列車のことをデザインとストーリーを兼ね備えた特別な列車として位置付け、「デザイン&ストーリー列車(D&S列車)」と呼びます。

1 普通車座席

方向転換ができる2人掛けのリクライニングシートが並ぶ車内。座席も木材を多用した木のぬくもりを感じることができる仕様となっている。

2 車内

1号車・2号車の車両中央部に展望スペースを設置。仕切り板やテーブル、ベンチシートに木材を使用し、天井にはレトロな雰囲気の電灯が並んでいる。

3 展望スペース

ベンチシートに座って車窓の風景を楽しめる展望スペース。足元から天井まで続くワイドな窓があり、山海の風景を思う存分堪能することができる。

4 車窓風景

日豊本線隼人~鹿児島間の車窓を飾る錦江湾と桜島の風景。このほか、仙巌園(せんがんえん)や霧島連峰など鹿児島を代表する景観を楽しめる。

5 車内販売

各種アルコール、おつまみ、スイーツ、駅弁などの車内販売が充実。展望スペースでグラスを傾けながら沿線の味覚を味わうことができる。

6 漆黒の車体

車両は漆黒一色に塗色されたシックな外観で、エンブレムは華やかな金色を使用。古きよき時代を感じるノスタルジックな雰囲気を醸し出している。

DATA


デビュー年:
2004年3月13日
運転日:1日2往復
運転区間:肥薩線・日豊本線・鹿児島本線 吉松~鹿児島中央間
車両形式:キハ40系改造車2両編成
・JR九州 特急「はやとの風」

特急「はやとの風」でめぐる鹿児島の旅

嘉例川駅駅舎

明治36(1903)年1月15日に開業した当時の木造駅舎が現存する。大隅横川駅舎とともに100年以上の歴史が刻まれ、レトロな雰囲気がある。

芋焼酎

鹿児島県などで栽培されるサツマイモを原料とした焼酎。主に宮崎県南部や鹿児島県で生産・愛飲されており、全国的にも有名な銘柄がある。

霧島温泉郷

霧島山中腹に点在する温泉の総称。坂本龍馬夫妻が訪れたといわれる硫黄谷温泉、林田温泉、丸尾温泉、栄之尾温泉などがある。

霧島ジオパーク(霧島連峰)

宮崎県と鹿児島県にまたがる20余りの火山の集合体である霧島山を中心に、「自然の多様性とそれを育む火山活動」をテーマに認定されたジオパーク。

上野原縄文の森

霧島市国分にある大規模な定住集落跡や土器が出土した縄文時代の上野原遺跡。展示館のほか、周囲には当時の集落を復元した公園が整備。

いおワールド かごしま水族館

「黒潮浪漫海道」をテーマに、ジンベエザメや大型のエイが泳ぐ黒潮大水槽や、南西諸島、鹿児島の海を再現。錦江湾に通じるイルカ水路も名物。

黒豚料理

鹿児島県内で飼育されたバークシャー種の豚を使用した郷土料理。さつまいも入りの飼料が与えられ、さっぱりした脂で「かごしま黒豚」としてブランド化。

桜島

錦江湾に浮かぶ鹿児島のシンボルとなる活火山で、現在も活発に噴火活動中。元は島であったが、大正3(1914)年の噴火で大隅半島と陸続きになった。

鉄道写真作家 結解喜幸の
特急「はやとの風」○得利用術

D&S列車「はやとの風」の旅を楽しむには、新八代~八代~人吉~吉松~隼人間と霧島神宮~鹿児島中央間が乗り降り自由のフリー区間となる「霧島のんびりきっぷ 」(福岡市内からおとな15,000円・3日間有効)が便利でおトクだ。このほか、肥薩線がフリー区間となる「肥薩線一周ぐるりんきっぷ」(鹿児島中央駅からおとな9,500円・2日間有効)もある。いずれも片道は九州新幹線の利用となり、フリー区間内では特急・普通列車の普通車指定席が利用できる。

文・写真:結解喜幸
写真協力:公益社団法人 鹿児島県観光連盟
※掲載されているデータは2013年10月現在のものです。

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