『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
日本で唯一となった寝台車と座席車を連結して走る夜行急行列車が、青函トンネルを経由して青森~札幌間を結ぶ急行「はまなす」。昼行・夜行急行列車の廃止により、JRの定期列車としては唯一の「急行」となっています。車両は特急用として開発された14系客車で、2段式B寝台車、大型リクライニングシート装備の普通車指定席「ドリームカー」、青函連絡船の桟敷席を彷彿させる普通車指定席「のびのびカーペットカー」、2人掛けリクライニングシートの普通車自由席と4タイプの車両が連結されています。
それでは、青森駅から札幌駅までの旅を楽しんでみることにしましょう。青森駅から津軽線に入った列車は、中小国駅から青函トンネルに向けて快走。全長53.85kmのトンネルに入ると車窓には壁面が映し出されますが、途中2カ所で小さなホームのある空間を通過します。かつては下車・見学ができた竜飛海底駅と吉岡海底駅です。トンネルを出て江差線に入ると、しばらくして前方に函館山が見えてきます。深夜の函館駅で進行方向を変えた列車は、北海道の大地をひた走り、夜明けの風景が車窓に映し出されると終着の札幌駅に到着します。
津軽海峡線青森~函館間で旅客列車を牽引するED75形改造の交流電気機関車。連続勾配・多湿の青函トンネルに対応した改造が行なわれている。
函館・室蘭・千歳線函館~札幌間で旅客列車を牽引するディーゼル機関車。「北斗星」登場後にブルートレインに合わせた塗色に変更されている。
寝台幅70cmのベッドが枕木方向に並ぶ2段式 B寝台。寝台内の高さも十分にあるため、カーテンを閉めれば快適なプライベート空間になる。
2席+2席配置の大型リクライニングシートが並ぶ普通車指定席。グリーン車と同様のリクライニング角度とシートピッチが魅力となっている。ただし、「はまなす」の普通車指定席はドリームカーではない場合もある。
青函連絡船の桟敷席を彷彿させるカーペット敷きの普通者指定席。寝台車のように横になってゆっくりと過ごせることで人気の的となっている。
2席+2席配置の回転式リクライニングシートが並ぶ普通車自由席。
毎年夏に開催される「ねぶた祭」の歴史や魅力を紹介する青森市文化観光交流施設。年間を通じて「ねぶた祭」の熱気を感じることができる。
昭和63年3月まで青函航路で活躍していた八甲田丸を利用した日本初の鉄道連絡船ミュージアム。船内では往時の連絡船の雰囲気を楽しめる。
日本最大級の縄文時代前期から中期の集落跡。エントランスとなる縄文時遊館には縄文時代を体感できるシアターやミュージアムなどがある。
北海道名産のカニをはじめ、新鮮な魚介類・野菜・果物などが揃う食のワンダーランド。海鮮丼や海鮮ラーメンを味わえる食堂も軒を連ねている。
神戸・長崎とともに日本三大夜景のひとつと称される函館の夜景が楽しめる山頂展望台。山麓駅から函館山頂駅までは所要3分のロープウェイがある。
青森の新鮮な食材が揃った古川市場・青森魚菜センターの名物丼。市場内の店頭にある自分の好きな具材を選んでのせる「のっけ丼」が味わえる。
急行「はまなす」を利用した青森・函館の旅には、「はまなす」のB寝台も利用できる「青森往復きっぷ」(おとな20,060円・6日間有効)、東京都区内から南北海道エリアが自由周遊区間になる「みなみ北海道フリーきっぷ」(おとな23,660円・3日間有効・青森~蟹田間は急行券必要)などが利用できる。
また、春・夏・冬休み期間に限定販売される普通列車専用の「北海道&東日本パス」(10,290円・7日間有効)は、別途急行券などを購入すれば「はまなす」にも乗車できる。
文・写真:結解喜幸、写真:交通新聞サービス、函館市、裏辺研究所、SONIC RAIL GARDEN
※掲載されているデータは2015年1月現在のものです。