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いくつになっても、「青春18きっぷ」で旅したい。

2017年冬 冬のラストラン三江線まるごと満喫旅

「青春18きっぷ」とは?

年齢制限なし。全国のJR線普通・快速列車の普通車自由席が一日乗り放題のきっぷ。1券5回(日)分セットで、ねだんは1万1850円。同一行程であれば、最大5人まで同時に利用できる。冬の利用期間は1月10日までだが、発売期間は12月31日までなので、ご注意を。

きっぷの詳細はこちら

発売期間:2017年12月1日~12月31日/利用期間:2017年12月10日~2018年1月10日

青春18きっぷ 1日目

2016年秋、ローカル線ファンに残念なニュースが届いた。広島県内陸部の三次(みよし)駅と島根県日本海側にある江津(ごうつ)駅を結ぶJR三江(さんこう)線が、2018年3月31日をもって営業を終了するという。

となると、「青春18きっぷ」で走破できるチャンスは今冬と来春のみ。さようならの前に三江線の車窓風景を目に焼き付けておこうと、広島駅からJR芸備(げいび)線の始発に乗り込み、三次駅を目指す。

7:30、まだ朝の清々しい空気の三次駅に到着。ここが三江線の旅の起点となる。『JR時刻表』に目を落とすと、三江線の三次駅発の上り列車は1日5本で、次は10:02発。全国のローカル線同様、本数は少ない。

が、その間を使ってうまく観光するのも、ローカル線の旅の醍醐味。三次駅からタクシーで約15分の「高谷山(たかたにやま)展望台」(写真2)へ向かうことに。標高約490メートルの高谷山にある展望台からは三次の市街地を一望!

続いて向かった「広島三次ワイナリー」(写真3)は、同展望台からタクシーで約25分ほど。工場見学やワイン物産館のオープンは9:30なので、今回の旅程ではゆっくり見られないが、併設の「Cafeヴァイン」は8:00から営業開始。全3種あるモーニングメニューや、人気のピオーネソフトクリームを堪能しよう。

三次駅に戻ったら、三江線に乗り込み、ついにMYラストランの幕開け! 全線108.1キロメートル、「く」の字に折れ曲がる江の川(ごうのかわ)に沿って、列車はのんびりと走ってゆく。

  1. 単線の三江線を走るのは、キハ120形のワンマン車両。車両内にはトイレを備えているので、長旅でも安心。

    車両の種類は日によって異なります。

  2. 三次駅の西側にある「高谷山展望台」。9~3月は霧の発生率が高く、運が良ければ朝日に輝く霧の海を眺望できることも!
  3. 三次産の原料で醸されるワイン「TOMOÉ」が有名な「広島三次ワイナリー」。試飲や窓の外からの工場見学もOK。

低山と里山の集落を借景に、ゆるゆると流れる江の川を車窓からぼんやり眺められるのは、“川線”こと川沿いをいくローカル線ならではのぜいたく。三江線には鉄橋が7つもあり、うち6つは三次駅~浜原(はまはら)駅間に。馬洗(ばせん)川の鉄橋を越え、川が真下にある鳴瀬(なるせ)堰(正式名称:江の川取水ダム)の横を過ぎ、列車は口羽(くちば)駅へ。口羽駅~浜原駅が開通し、三江線が全線開通したのは1975年。口羽駅前には三江線全通記念碑が建ち、記念撮影したいところではあるが、三江線は本数が少ないので断念!さらに北上する。

口羽駅~浜原駅間は新線と呼ばれる区間で、列車の速度が少しアップ。浜原駅の次の粕淵(かすぶち)駅で降りると、ちょうどお昼時。駅から徒歩約10分の「いちごのお店」で、美郷町や三瓶産のそば粉を使った「みさとそば」を食して、腹を満たす(事前予約がベター)。

今夜はさっき通り過ぎた潮(うしお)駅で宿をとるため、三次方面下り列車で少し戻るのだが、次の列車は17:00発。お昼ご飯を食べても4時間ほど余裕があるので、「カヌーの里おおち」でカヌーを体験して過ごすのもいい。カヌー体験は通年で可能。真冬に雪景色の中を漕ぐのもおすすめだそう。

17:00発の下り列車に乗ったら、潮駅を一旦通り過ぎ、鉄道好きに有名な宇都井(うづい)駅(写真5)で下車。この駅のホームの高さは地上約20メートル! 両側の線路は山に掘られたトンネル内にあり、駅はその谷間に位置するため、この独特の構造になった。次の上り列車までの約30分を利用し、116段の階段を下りて、里山風景と塔のような武骨な駅のツーショットを撮影しておこう。

夜は潮駅から徒歩約4分の「潮温泉 大和荘(だいわそう)」(写真6)で一泊。宿のご主人いわく「川を渡る風に身をまかせ、静けさがゆっくりと流れていく」という宿で、源泉かけ流しの湯に癒やされよう。

  1. 集落の中を江の川に沿って列車は進む。
  2. 両翼を広げた塔のような宇都井駅の愛称は「天空の駅」。待合室には駅を訪ねた人がメッセージを記したノートも。
  3. 「潮温泉 大和荘」のお風呂は、窓外に江の川を望むことができる。温まりのいい茶色がかった湯をかけ流し。

店・施設Data

広島三次ワイナリー
営業時間 Cafeヴァイン:8~17時
ワイン物産館:9時30分~18時
バーベキューガーデン:11~18時

12月29日~1月1日、1~3月の第二水曜休

アクセス JR三江線 三次駅下車、車約6分

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いちごのお店
営業時間 11~14時(13時30分L.O.)、金~日・祝・12月22日~1月8日休(臨時休あり)
アクセス JR三江線 粕淵駅下車、徒歩約10分

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潮温泉 大和荘
日帰り入浴 9時30分~20時(最終受付19時30分)、基本第二水曜日(月によって変わることもあるので要確認)・12月28日~1月4日休
アクセス JR三江線 潮駅下車、徒歩約4分

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青春18きっぷ 2日目

翌朝は7:31に潮駅を出て、石見川本(いわみかわもと)駅で下車。北西へタクシーで約35分の場所にあるのが、「石見銀山世界遺産センター」。そこから路線バスで約7分の大森代官所跡で下車したら、銀山とともに栄えた「大森銀山重要伝統的建造物群保存地区」(写真2左)を散策しよう。さらに歩いて約45分のところにあるのが龍源寺間歩(りゅうげんじまぶ)(写真2右)。石見銀山は16世紀初頭に発見され、およそ400年にわたり銀を採掘。16世紀にヨーロッパで作られたアジアや日本の地図には、石見銀山付近を指し「銀鉱山王国」「銀鉱山」と書かれており、大航海時代から世界に知られた有名な銀山だった。

龍源寺間歩は、その石見銀山遺跡のなかで唯一、常時公開されている坑道。薄暗い坑道内では、当時のノミ跡や、排水のため垂直に100メートルも掘られた竪坑が残り、今にも坑内員たちが作業する音が聞こえてきそう。

たっぷり銀山を満喫したら、石見川本駅に戻ってランチタイム。地元の支持が厚い「川本食堂」に入り、品書きを見ると「エゴマ塩ダレ丼」(写真3)という気になるメニューが。「町の特産品であるエゴマと、石見和牛を使った名物料理を作ろうと、地元島根中央高校の家庭科クラブと一緒に考えた丼なんです」と店主。具とともに頬張ると、ジューシーで甘い石見和牛と、さっぱりとしたエゴマ塩ダレが完璧にマッチ!

  1. 横を流れる小滝すれすれを走る列車。狭い土地を縫うように走る三江線らしい風景。
  2. 「大森銀山重要伝統的建造物群保存地区」は、龍源寺間歩の東側にある。江戸幕府の直轄地。武家・商家の旧宅が残る。(写真左)
    長さ約600メートルのうち273メートルを一般公開する龍源寺間歩。江戸時代中期に開発された。(写真右)
  3. 川本食堂のエゴマ塩ダレ丼は石見和牛を味わえるのに、800円と良心的な価格。これ目当てで三江線の旅をする人もいるそう。

13:45発の上り列車で石見川本駅を発ち、かつて三江北線と呼ばれた路線を西に進んでいく。因原駅を過ぎると江の川に架かる鹿賀大橋。川戸駅の少し先では旧桜江町の三色のシンボルカラーで桜並木を表現した桜江大橋が、目を和ませてくれる。

次に下車した川平(かわひら)駅(写真4)は、1930年の三江線開業時から残る木造駅舎。瓦屋根と白壁、一階部分の木の風合いのバランスが美しい。佇まいが懐かしく、今にも駅舎から寅さんが出てきそう! 次の列車までかなりの時間があるので、天井の高い待合室でゆっくりと文庫本を読んで過ごすのもよし、川平の集落を散策するもよし、だ。

すっかり日も沈んだ18:40、心細くなるころにやって来た上り列車に再度乗り込み、終点の江津駅へ。暗くて見えないが、日本海はもう目と鼻の先。瀬戸内海側の広島から日本海側まで、中国地方縦断の旅もフィナーレと思うと、感慨もひとしお。

江津駅からはタクシーなどで、石見の国(現・島根県西部)の国司に赴任した万葉の歌人・柿本人麻呂が妻と入浴したともいわれる美肌の湯、「有福(ありふく)温泉」へ。温泉街に3つある外湯の1つ「御前湯(ごぜんゆ)」(写真6)に入ると、ぬるぬる感が肌に心地よい。「極楽極楽~♪」と、湯船からレトロな浴場を見上げつつ、旅で出合った三江線の駅舎や風景を何となく思い出すのだった。

  1. 川平駅の青い瓦と水平垂直の建築美が、木造駅舎ファンの心をつかむ。映画『天然コケッコー』『砂時計』のロケ地でもある。
  2. 御前湯からすぐの「湯の町神楽殿」では毎月1回、石見神楽を公演。軽快なリズムの石見神楽を間近で鑑賞!
  3. 温泉街の中心にあり、かつて「一等湯」とも呼ばれた「御前湯」。木製の番台も懐かしい。

店・施設Data

石見銀山世界遺産センター
営業時間 8時30分~17時30分、有料展示室:9~17時(最終受付16時30分)※3~11月は30分延長
毎月最終火曜・12月31日・1月1日
アクセス JR三江線 石見川本駅下車、車約35分

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川本食堂
営業時間 12~14時頃、17~25時頃、昼は土・日曜・祝日休、夜は日曜・祝日休、年末年始休
アクセス JR三江線 石見川本駅下車、徒歩約4分

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御前湯
営業時間 7時~21時30分(最終受付21時)、不定休
アクセス JR三江線 江津駅下車、石見交通バス約37分の有福温泉下車、徒歩約3分

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湯の町神楽殿 石見神楽公演
営業時間 20時30分~21時30分頃、毎月1回土曜に開催(2017-18年冬の「青春18きっぷ」利用期間内は12月23日、1月6日)
アクセス JR三江線 江津駅下車、石見交通バス約37分の有福温泉下車、徒歩約3分

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いくつになっても、「青春18きっぷ」で旅したい。

ラストランの前に! 山を仰ぎ、川に沿う三江(さんこう)線でのんびり旅(1泊2日)

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