『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
100年以上の歴史がある肥薩線を走る「SL人吉」は、九州唯一のSL。重厚な外観と、扉や壁の格子柄や本革シートのモダンな内装にわくわくしながら、いざ出発。車内限定で買える「おごっつぉ弁当」は、紅白のおむすびに煮しめ、漬物のシンプルなお弁当で、旅気分が盛り上がっちゃいます♪ 汽笛を鳴らしながら、レトロな駅舎や鉄橋を越え、雄大な球磨川渓谷を走りぬけて人吉駅に到着~。
熊本県最南端のまち・人吉市は、相良藩の城下町。武家蔵をはじめ「小京都」の風情がただよい、ぶらりとお散歩したくなる町です。
まずは、創建から1200年を超える青井阿蘇神社にお参り。茅葺き屋根の本殿や廊などは桃山建築の国宝です。スゴイ神社だけど、地元では親しみをこめて「青井さん」と呼ばれているんだって。
続いて、今も残る蔵めぐり。町には、人吉の文化や味わいを現代に伝える蔵がたくさんあります。
たとえば、歴代藩主の休憩所だった「御仮屋」を移築した武家蔵(武家屋敷)。屋敷の前の門は、人吉城にあった現存最古の建物として貴重! 武家蔵近くの焼酎蔵「織月酒造」は、明治36年創業の米焼酎の醸造蔵で、焼酎づくりが見学・試飲できます。
また、みそ・しょうゆ蔵の「釜田醸造所」では、100mも続く蔵で自家製天然もろみにこだわった味噌や醤油造りを見学。見学後は佃煮やみそ漬けを試食できマス!
歩き疲れたら、地元の人たちが昔から利用してきた町の共同浴場へ。源泉が60~70本以上もある人吉温泉は、球磨川沿いに広がる温泉旅館のほか、共同浴場もたくさんあるので、気軽に「湯」ったりできます。
SL人吉 汽笛を鳴らし、煙をあげながら100年レイルを走る雄々しいSL人吉
おごっつぉ弁当 おごっつぉは「ごちそう」という意味。地元産にこだわった素朴な味だ
武家蔵(武家屋敷) 屋敷の正面に建つ堀合門は、江戸の建築の技が光る歴史的建造物
みそ・しょうゆ蔵 風格ある醤油やもろみの室など、みそ・しょうゆの作り方が見学できる
人吉温泉・町湯 町の人たちが大切にしてきた共同浴場に浸かれば、心もあったまる
宮崎県には、ロマンスたっぷりの日本神話や伝説がたくさん残っています。そんな有名な神話のひとつ「海幸彦・山幸彦」兄弟の名前がつけられた特急「海幸山幸」は、地元の特産品、飫肥杉(おびすぎ)を使ったぬくもりある電車。木のおもちゃみたいな明るい白木の車内には、ゆったりしたソファシートもあって、乗ってるだけで「幸」せ気分になれます☆
青島駅で下車して、奇岩「鬼の洗濯板」がある青島へ。鬼の洗濯板は、1500~3000万年も前に海中で生まれた水成岩が、なが~い年月をかけて波に洗われてできたんだって。
島の中にある青島神社は、山幸彦のヒコホホデミノミコトと妻のトヨタマヒメノミコトがまつられている縁結びの神社。神社の境内にある亜熱帯植物をはじめ、島全体が国の特別天然記念物に指定されているのも必見です。
お腹がすいたらぜひ食べたいのが、宮崎発のファーストフード「肉巻おにぎり」。ごはんにまいた醤油味の豚肉がたまりません。宮崎を代表する郷土料理「チキン南蛮」もいいかな~♪
再び、日南線に乗って北郷(きたごう)駅にむかいます。北郷駅のある日南市北郷町の森林は、心理的な緊張や不安をやわらげ、疲れをとる効果がある「森林セラピー基地」に認定されています。ガイドさんと一緒に、世界でも珍しいコケの宝庫、猪八重(いのはえ)渓谷を歩けば、リフレッシュできること間違いなし!時間に余裕のある人は、猪八重渓谷のふもとにある離れの宿「音色香の季 合歓のはな」に泊まるのもおススメ。自然と一体化しながらも、上質なもてなしにますます心が休まります。
最後に訪ねるのは、山幸彦のお兄ちゃん「海幸彦」ゆかりの潮嶽(うしおだけ)神社。弟に追われてたどりついて居を構えたのがこの地だったと伝えられています。弟に比べてちょっと地味ですが、ここは全国で唯一、海幸彦をおまつりする神社だそうです。
特急「海幸山幸」 外観にも内装にもふんだんに木を使った電車でパワスポへGO!
青島 かつて一般人の立ち入りが禁じられていた青島へは橋で渡る
肉巻おにぎり 満足感たっぷり、俵型のおにぎりに甘辛い豚肉を巻いたご当地グルメ
チキン南蛮 揚げた鶏肉を南蛮酢とタルタルソースで食べる地元の定番メニュー
猪八重渓谷 川の流れに沿って数ヵ所の滝があり、岩山と森林が美しい渓谷
「いぶたま」の愛称の「指宿のたまて箱」は、車両の海側が白色、山側が黒の特急列車。斬新な外観だけでなく、ドアが開くとまるで「玉手箱」のごとく煙のような霧がでたり、指宿に関する書籍を集めた図書スペースがあったりと、びっくりしちゃうしかけがいっぱいの楽しい列車です。目前に広がる海を眺められるようにと作られた、カウンターの回転いす席に腰かけて、原料に紫イモを使った発泡酒「サツマパープル」をいただきま~す。
指宿駅に着いたら、「ここに来れば薩摩がわかる」がコンセプトの薩摩伝承館へ。薩摩の文化を象徴する美術工芸品や中国の陶磁器を展示するほか、薩摩出身の明治の元勲たちの功績も紹介。ショップでは、オリジナルグッズや鹿児島土産もそろいます。
ランチは、ご当地グルメ「温たまらん丼」がおススメ。天然砂むし温泉で作った「温泉たまご」をメインにした丼で、“おいしくてたまらない”と“たまご”をかけたネーミングだそう。指宿産の黒豚と季節の野菜を使った「温たまらん豚」もイケます♪
いったん指宿駅に戻り、指宿枕崎線で西大山駅に向かいます。どこまでも田園が続くひろーい空に、開聞岳がどーんとそびえる雄大な景色は、さすが本州最南端の駅! 駅には「幸せの黄色いポスト」が設置されたんだって。たまには、誰かさんに手紙を出すのもいいかも☆
そして、指宿に来たらやっぱりこれ!砂むし会館「砂楽」で、約300年の歴史を持つ砂むし温泉を体験。海岸で約50~55℃の砂をかけられて、暑い~おもい~。10分間寝ていたら汗をびっしょりかいたけど、デトックス効果ですっきり!また明日からガンバロウ。
特急「指宿のたまて箱」 九州新幹線全線開業にあわせてデビュー。外観もびっくり「玉手箱」
温たまらん丼 温泉たまごがメーンのご当地どんぶり。各店が自慢の味を提供する
本州最南端・西大山駅 開聞岳を臨む無人の小さな駅に「JR日本最南端の駅」の碑が立つ
開聞岳 美しい円すい形の火山・開聞岳は「薩摩富士」とも呼ばれている
砂むし風呂 浴衣のまま砂浜に寝転がり、温泉で温まった砂をかけてもらう
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