『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

冬こそ京都! 「おもてなし」の食文化と非公開文化財にふれる旅

例えばこんなめぐり方|【1日目】京都駅→今出川駅→妙顕寺→報恩寺→俵屋吉富 京菓子資料館→下鴨神社→京都市内泊
例えばこんなめぐり方|【2日目】大徳寺 聚光院→大徳寺 興臨院→北大路駅→北山駅→京都府立植物園→上賀茂伝統的建造物群保存地区→上賀茂神社→京都駅|*色の寺社は、2014年1月10日~3月18日に非公開文化財特別公開の寺院(寺院により公開休止日あり)。
1 茶道の「総本山」で、戦国武将ゆかりの品や美しい庭を堪能|妙顕寺、報恩寺

 地下鉄烏丸線の今出川駅から歩いて約10分。尾形光琳ゆかりの妙顕寺や「鳴虎(なきとら)」の通称で知られる報恩寺がある堀川寺之内界隈は、表・裏、両千家が軒を並べる、いわば「茶道の総本山」。お稽古に向かう着物姿の女性や袴姿の男性が行き交い、独特の雰囲気が漂います。
 まずは、元亨元年(1321)に京都での日蓮宗最初の道場として創建された妙顕寺。災禍などで引っ越しを繰り返し、天正13年(1585)に現在地に移転、天明の大火(1788)ののち再建されました。一方の報恩寺は豊臣秀吉がときおり訪ね、谷川の水を飲む虎を細密に描いた中国伝来の掛け軸「鳴虎図」があります。
 2014年1月10日からスタートするキャンペーン「京の冬の旅」非公開文化財特別公開では、普段は非公開の「鳴虎図」の複製を展示。織田信長や豊臣秀吉の肖像画も公開されます。妙顕寺でも「龍華飛翔の庭」「光琳曲水の庭」と呼ばれる美しい二大庭園を公開。この機会に、普段は見られない武将ゆかりの品々や庭園美を楽しんで。

【非公開文化財特別公開】 妙顕寺

拝観時間:10:00~16:00(受付終了)。拝観料:600円。交通:地下鉄今出川駅から徒歩10分。または、京都駅からバス約30分の「堀川寺ノ内」下車、徒歩3分。TEL.075-752-7070(京都市観光協会)
*1月12日14:00~15:00は本堂のみ拝観できません。2月28日~3月9日は拝観休止。

【非公開文化財特別公開】 報恩寺

拝観時間:10:00~16:00(受付終了)。拝観料:600円。交通:地下鉄今出川駅から徒歩15分、または、京都駅からバス約30分の「堀川寺ノ内」下車、徒歩3分。TEL.075-752-7070(京都市観光協会)
*1月19・25・26日、2月9・11・22・23日、3月8・9日は13:00まで拝観休止。

2 日本の「おもてなし」の心、京菓子の世界を学ぶ|俵屋吉富「京菓子資料館」

 お祝い事の紅白まんじゅう、七五三の千歳飴、ひな祭りの菱餅、端午の節句の柏餅など、和菓子は私たちの日常生活に深く根付いています。
 江戸時代から続く京菓子店・俵屋吉富の「京菓子資料館」は、そんな和菓子の歴史を紹介するミュージアム。職人が腕によりをかけて作った「糖芸菓子」の展示など、美しく芸術的な数々の菓子を目にすることができます。鑑賞した後は、お呈茶席で一服☆ 正座に不慣れな外国人も利用しやすい椅子席に、日本人の「おもてなし」の心を感じます。
 京菓子資料館は、2014年1月10日からのキャンペーン「京の冬の旅」スタンプラリーに参加。スタンプを3つそろえると、和菓子、洋菓子、カフェ、レストランなど好きな接待箇所で“ちょっと一服”の特典が受けられます!

俵屋吉富「京菓子資料館」

開館時間:10:00~17:00。水曜休(ただし「京の冬の旅 スタンプラリー」期間中は開館)。入館料:無料(茶席は有料)。交通:地下鉄今出川駅から徒歩3分。TEL.075-432-3101(俵屋吉富 烏丸店)

京の冬の旅 スタンプラリー

期間:2014年1月10日~3月18日。

3 平安衣装に身を包み、江戸時代からの銘土産を食す|下鴨神社、さるやの「申餅」

 下鴨神社は、平安期以前の創建で京都最古の社の一つ。緑あふれる広大な境内には、国宝の本殿や重要文化財の社殿が並び、「糺(ただす)の森」と共に世界文化遺産に登録されています。
 境内を散策するだけでも、スピリチュアルな空気を感じられるけれど、時間に余裕があったらぜひ特別拝観を予約してみて。境内の案内に加えて、現在も葵祭に使われている十二単(じゅうにひとえ)の着付けと衣装の解説、神様の台所「大炊殿(おおいどの)」の拝観など特別な体験ができます。心が満足したら、境内にある茶屋「さるや」で、江戸時代の京土産のガイドブック「出来斎京土産(できさいきょうみやげ)」にも描かれた名物「申(さる)餅」を召し上がれ!
 このほか年間を通じて、1300年の歴史を持つ京都の「奥深い上質な魅力」を体験する観光プランがたくさんあります。自分にぴったりなプランを探してみて♪

下鴨神社

拝観時間:6:30~17:00(夏時間は5:30~18:00)。拝観料:無料(「大炊殿」の特別拝観は、初穂料500円、小学生250円)。交通:京都駅からバス約30分の「下鴨神社前」下車すぐ。TEL.075-781-0010

さるや

営業時間:10:00~16:30。無休。交通:下鴨神社境内。

京都 千年の心得

京都市観光協会 TEL.075-752-7070

4 優美な障壁画や千利休ゆかりの庭、禅宗建築を眺める|大徳寺聚光院、大徳寺興臨院、紫野和久傳「陶筥弁当」

 大徳寺聚光院(じゅこういん)は、茶人・千利休と茶道三千家の菩提寺として知られる大徳寺の塔頭(たっちゅう)寺院。毎月28日に茶の供養が行われます。方丈は、狩野永徳による国宝「琴棋(きんき)書画図」「花鳥図」をはじめ、桃山時代の代表的な障壁画(複製)で飾られています。2014年1月10日からスタートするキャンペーン「京の冬の旅」非公開文化財特別公開では、永徳の下絵を基に利休が作庭した松と一面の苔の緑が美しい「百積(ひゃくせき)の庭」や、千利休好みの茶室「閑隠席(かんいんせき)」などが見どころ。
 また、能登の守護・畠山家と加賀百万石の前田家の菩提寺・大徳寺興臨院は「京の冬の旅」初公開。室町時代の禅宗建築の代表作である優美な桧皮葺(ひわだぶ)きの屋根と素朴な造りの客殿の姿を愉しんで。
 そして、大徳寺に行ったらぜひ味わってほしいのが、紫野和久傳 大徳寺店の「陶筥(とうばこ)弁当」(4,725円)。大徳寺真珠庵に伝わる永正ますを写した陶製の箱に、旬の京料理がぎっしりと詰まっています。
 また、京の味覚と京都スタイルの「食」の楽しみを発信する「食遊菜都」の体験企画もおすすめです。

【非公開文化財特別公開】 大徳寺聚光院

参拝時間:10:00~16:00(受付終了)。拝観料:600円。交通:京都駅からバス約40分の「大徳寺前」下車、徒歩7分。 TEL.075-752-7070(京都市観光協会)
*期間中、本堂屋根の修復工事を行っています。1月27・28日、2月1・2・,27・28日、3月8・9日は拝観休止。

【非公開文化財特別公開】 大徳寺興臨院

参拝時間:10:00~16:00(受付終了)。拝観料:600円。交通:京都駅からバス約40分の「大徳寺前」下車、徒歩5分。TEL.075-752-7070(京都市観光協会)

紫野和久傳 大徳寺店

営業時間:10:00~18:00。月曜休(祝日の場合は営業、翌火曜休)。交通:地下鉄北大路駅からタクシー10分、または、京都駅からバス約40分の「大徳寺前」下車すぐ。TEL.075-495-6161

京の食文化キャンペーン「食遊菜都 冬」

食遊菜都2014事務局 TEL.075-212-2116

5 植物園、神官の屋敷町、バラエティ豊かな洛北エリアを散策|京都府立植物園、上賀茂伝統的建造物群保存地区、上賀茂神社

 1年を通じて約1万2000種の植物を栽培、展示する京都府立植物園。国内最大級の観覧温室には熱帯植物が生い茂り、トロピカルムード満点。冷えた身体を温めるのにもいいかも!? 
 北山駅から北に進路をとり、上賀茂方面へ向かいます。上賀茂は、平安京の地主神・上賀茂神社を中心に神官と農民によって門前集落が作られ、室町時代以降は神官の屋敷町として発展してきました。「豕扠首(いのこさす)」という独特の妻飾りをもつ屋敷が建ち並ぶのが、上賀茂伝統的建造物群保存地区。社家町の歴史に思いを馳せ、最後は世界遺産・上賀茂神社へ。
 飛鳥時代の天武天皇7年(678)創建と伝えられる上賀茂神社の正式名称は「賀茂別雷(かもわけいかづち)神社」。名前のとおり電気の守り神、また、必勝の神として信仰されています。

京都府立植物園

開園時間:9:00~17:00(温室観覧時間は10:00~16:00)。12月28日~1月4日休。入園料:200円(温室観覧料200円)。交通:地下鉄北山駅下車すぐ。 TEL.075-701-0141

上賀茂伝統的建造物群保存地区

交通:地下鉄北山駅から徒歩20分

上賀茂神社

拝観時間:9:00~17:00(閉門)、境内一円は参拝自由。拝観料:無料(国宝・本殿特別参拝は500円)。交通:京都駅からバス約40分の「上賀茂神社前」下車すぐ。TEL.075-781-0011

「味な旅コラム☆知って食べたらなお、うまい!」#7 1300年の歴史と進化を重ねた「京料理」

 「京都に行ったら京料理を食べたい!」と思う人も多いはず。では、京料理とは、いつ生まれたものなのでしょうか。また、平安時代の貴族や室町時代の武士は、どんな形式で食事をしたのでしょう。今回は日本の料理の歴史をひもといてみます。

 平安時代、宮中の年中行事のための「有職(ゆうそく)料理」がありました。有職料理が儀式のための料理なのに対して、平安貴族の宴会用の料理は「大饗(だいきょう)料理」と呼ばれました。台盤に1人前ずつの料理を並べて、塩、酢、酒、醤(ひしお)の4つの調味料で、自分で味つけしながら食べたそうです。

 室町時代には、精進料理の調理法を取り入れた「本膳料理」が生まれ、数々の料理をのせた膳がいくつも客の前に並ぶ料理様式ができました。戦国時代には、本膳料理から茶の湯の影響を受けた「懐石料理」が発達。さらに江戸時代には酒の肴に重点を置いた「会席料理」へと展開しますが、本膳料理は長く日本料理の基本となり、現在でも婚礼の際などで、その形式が継承されています。

 京料理・上方料理は、こうした本膳料理や懐石料理をルーツに、薄口醤油を使って素材の味を生かした薄味が特徴で、器などとの調和や盛り付け、彩り、季節感に工夫をこらした料理のことをさします。1300年以上の歴史をもつ京都。先人たちが積み重ねた食文化にも思いを馳せて、京料理を味わってみてはいかが。

(参考文献『総合調理用語辞典』社団法人 全国調理師養成施設協会)

 

文=本間朋子 写真協力=京都市、京都府立植物園、俵屋吉富「京菓子資料館」
※掲載されているデータは2014年1月現在のものです。
※実際の営業日・時間等が異なる場合がありますので、事前にご確認ください。

バックナンバー

このページのトップへ