「フルムーン夫婦グリーンパス」(以下「フルムーンパス」)は、新幹線「のぞみ」が利用できないなど一部に制約はあるものの、新幹線を含めグリーン車が乗り放題できる“国内最強のフリーきっぷ”といって間違いない! そう確信している。
そんな最強フリーきっぷを使っての今回の旅。初日は「木曽路」へ。東京から名古屋へ東海道新幹線で行き、中央本線に乗り換えて宿場を歩き、長野を経由して長野新幹線で東京へ帰る、名付けて「トライアングル・ルート」だ。
名古屋からは特急「(ワイドビュー)しなの」7号で中津川下車。ここから旧中山道の宿場「馬籠(まごめ)」へ向かう路線バスがある。時刻は確認をお願いしたいが、馬籠から妻籠(つまご)へ、さらに南木曽(なぎそ)駅まで便がある。
木曽路散策の後は、南木曽から特急「(ワイドビュー)しなの」17号に乗車。途中、上松(あげまつ)の手前、進行方向左手に名勝「寝覚の床(ねざめのとこ))」が見え、松本を過ぎ、姨捨(おばすて)あたりでは右手に「田毎(たごと)の月」で知られる棚田や善光寺平が望める。長野からはすぐに接続の新幹線「あさま」もあるが、冬は新そばの季節。ちょっと時間をとって長野でツルり、そばを味わって帰るのもいいだろう。
翌日は完全休養日としたが、全行程グリーン車の旅ゆえ、あまり疲れていないかもしれない。そんな時の“秘策”として、私たちはよく“休養日”の午後、仙台へ寿司を食べに行っている。東京から東北新幹線「はやて」で片道約100分。昼過ぎに東京から仙台へ行き、夜7時頃戻るプランでも現地滞在時間が2時間以上も確保できる。グリーン車での往復だからあまり疲れず、翌日のプランにもほとんど差し支えないのでオススメだ。
冬といえば“カニ料理”を堪能したい! それも“名湯”で!! 日帰り旅行を交えた「弾丸フルムーン」であれば費用をかなり節約でき、その分豪勢な料理にもあてられる。
3日目は東海道・山陽新幹線「ひかり」461号で岡山へ行き、途中下車してランチ。当地ではドミグラスソースをかけた「ドミかつ丼」が名物の一つなのだ。腹ごなしに岡山城あたりを歩いたら、特急「やくも」15号で美肌・姫神の湯「玉造温泉」へ。落ち着いたたたずまいを見せる山陰の名湯にのんびり浸かり、お待ちかねの夕食はカニ料理を贅沢に楽しもう。
4日目は玉造温泉をゆっくり出発し、岡山、博多を通って長崎へ。夜は「ちゃんぽん」や「皿うどん」を食べに中華街へと繰り出そう。食後、“1000万ドル!”ともいわれる夜景を眺めれば、もう夢見心地。闇にきらめく光のシャワーを浴びて心身ともにリフレッシュできるはずだ。
旅の最終日。鎖国時代から海外との窓口になった長崎を「さるく」(長崎弁で「ぶらぶら歩く」の意)し、一気に東京へと戻るプランだ。オランダ坂を上っては下り、路面電車で賑橋(にぎわいばし)へ。眼鏡橋を渡って寺町から再び坂を上ると、坂本龍馬ゆかりの「亀山社中」に着く。平成21年8月から待望の公開が始まったので、龍馬ファンならずともぜひ立ち寄っておこう。龍馬通りを上りきったところには「龍馬のぶーつ像」が置かれ、彼も見たであろう長崎を一望できる。
さて、東京へ帰る時間だ。長崎には午後3時頃まで滞在できて驚くが、15時25分発の特急「かもめ」32号で博多へ行き、17時41分発の山陽新幹線「ひかり」576号で新大阪20時27分着。ほぼ乗り換え標準時分の6分で東海道新幹線「ひかり」534号に移り東京へ。1,328kmを弾丸のように駆け抜ける旅も、東京駅着23時26分、フィナーレの時を迎える。