『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

『新幹線&憧れの豪華寝台特急で行く艶やかフルムーン“桜旅”~桜とともに列島3000キロの旅~』フルムーン夫婦グリーンパスはJRが乗り放題できるお得なフリーパス。夫婦の合計年齢が88歳以上で利用できる。桜咲く季節、京都をめぐり北海道へ、さらに、みちのくも訪ねる大人の周遊旅行へ出かけましょう。

  • 1日目 京都ふたり、さくらめぐり
  • 2日目 憧れの豪華寝台特急で北海道へ
  • 3日目 函館、弘前。北のさくらと出会う旅
  • 4日目 車窓の花見&山形の名湯へ
  • 5日目 やまがた花回廊でさくら漫遊

1日目 東海道新幹線で東京から京都へ 嵐山から嵯峨野を訪ねる桜旅 - 京都ふたり、さくらめぐり[東京⇒京都]

  • 東京発8時3分「ひかり463号」は300系新幹線。先頭車はよく見るとキュートな顔つきをしている

  • ゆったりとくつろげる300系グリーン車のシート。富士山に桜……。車窓からのお花見を存分に楽しみたい

  • 車窓に富士山を望む。富士川あたりから眺めた富士山は山頂の雲がご愛嬌……

  • 嵐山は京都でも特に名高い桜名所の一つ。あたり一面に咲き誇る桜をゆっくりと愛でてみたい

  • 嵐山から嵯峨野を歩いて大覚寺、大沢池へ。秋の名月も風流な大沢池は、桜の季節も美しい

  • 京都の桜めぐり。おやつには京都らしい白味噌のタレも香ばしい「あぶり餅」でちょっと一息

 旅のはじまりは東京駅。いつもの駅がいつもと違った駅に思えるのは、旅の“魔法”にかかったからかもしれない……。

 フルムーン夫婦グリーンパス(以下、フルムーンパス)は新幹線改札口など自動改札を通ることができない。係員のいるところを夫婦そろって通っていく。改札でフルムーンパスを係員に見せる時のちょっとした気恥ずかしさ、それはふたりが出会った頃のときめきに似ている。フルムーンパスには気持ちまで若くする“力”があるようだ。

 それまでふたりで乗る機会のなかったグリーン車。「のぞみ」など一部列車を除き、フルムーンパスならグリーン車も乗り放題できる。窓側の眺めのいい席は、せっかくだから奥様方に座っていただこう。C・D側の席なら、天気に恵まれれば富士山の雄姿もよく見える。ゆったりとした座席、落ち着いた雰囲気の車内、グリーン車を流れる上質の時間は、京都で降りるのがもったいなくなるほど。

 ホテルに荷物を預け、身軽な装いで歩く嵯峨、嵐山。渡月橋に吹く風はなんとも心地よい。早咲きから遅咲きまで京都の桜は4月後半まで楽しめ、仁和寺の御室桜や、千本ゑんま堂の八重桜は遅咲きとして知られている。お花見の後、夜はライトアップされた名刹に出かけてみたい。はかなくも幽玄な日本の美に圧倒されるだろう。夫婦それぞれにある「お気に入りの京都」。フルムーンパスで訪ねる京都は、恋人時代のデートを思い出す。

●1日目 = 乗車距離513.6km、運賃合計(2人分)35,720円

モデルコース

発着駅 時間 メモ
東京発 8:03 【ひかり463号】グリーン車
京都着 10:48 春爛漫の嵐山散策や、遅咲きの桜めぐりを

旅のメモ

観光の問合せ
京都市観光協会●TEL.075-752-0227

京都の桜、日本の春

 初めて知った時にはびっくりしたが、日本の春を代表する花は、その昔、桜ではなく梅だったといわれている。『万葉集』では梅を詠んだ歌が桜の3倍近くもあるという。

 桜が台頭してきたのは平安時代の京都から。平安も中期となると、外来の大陸文化から日本らしい自然や文化への関心が次第に高まり、御所の紫宸殿前庭に植えられていた「左近の梅」が日本に自生する桜に植え替えられ「左近の桜」が誕生。以後、左近はずっと桜となった。大宰府へ左遷された菅原道真を追って京の都から飛んでいったという「飛梅」も、桜の時代になった都が居づらかったからかもしれない。

 『枕草子』や『源氏物語』にはもう桜に興じる高貴な人々が描かれ、そこにはなんと猫も登場。当時も今も猫と桜はお似合いだ。京都は日本で最初に桜を愛でた都といって間違いないだろう。フルムーン桜旅でもぜひ訪ねてみたい。

2日目 「トワイライトエクスプレス」も「北斗星」も!フルムーンパスならではの大旅行 - 憧れの豪華寝台特急で北海道へ[京都⇒函館]

  • 「トワイライトエクスプレス」は大阪と札幌を結ぶ豪華列車。フルムーンパスではB寝台に乗車できる

  • 北陸本線・親不知駅あたりから信越本線・柏崎駅にかけて、進行方向左側の車窓には日本海が広がる

  • 長岡で上越新幹線「とき348号」に乗り換え大宮へ、さらに東北新幹線で仙台へ。そして「北斗星」乗車

  • 2階建て新幹線E1系の「とき348号」。2階にあるグリーン車はぬくもりが感じられる落ち着いた雰囲気

  • 上野と札幌を結ぶ寝台特急「北斗星」。フルムーンパスではB寝台2人用個室「デュエット」が利用可

  • 「北斗星」のB寝台2人用個室「デュエット」。上段の個室は曲面ガラスの窓から星空も見える

 旅の2日目、豪華列車「トワイライトエクスプレス」で日本海沿いに北を目指す。フルムーンパスで追加料金なしの利用は4人用のB寝台だけ。人気列車ゆえ知らない人と相部屋になる率が高いが、それでも乗車したい理由がある。この列車には最高の車窓が楽しめる食堂車とサロンカーがあるからだ。かつての特急には普通に連結されていた食堂車、しかし、ランチが食べられる食堂車は今やこの列車の札幌行きくらいしか見当たらず、また、サロンカーの大きな窓からは日本海の夕陽が一望できる。

 食堂車でランチ。流れる車窓風景が最高のスパイスとなり、どんなレストランでも味わえないひと時を夫婦の記憶に残すだろう。金沢を過ぎ、富山を過ぎ、そろそろ日本海の夕陽がサロンカーを赤く染めるハイライト。ロマンチックな輝きにつつまれて「トワイライトエクスプレス」はひた走る。

 夫婦のふたり旅、できれば夜はふたりだけの個室を望む人が多いのでは。フルムーンパスであれば、長岡で「トワイライトエクスプレス」を下車し、上越新幹線で大宮を経由して東北新幹線に乗れば、19時3分に上野を発車した同じく人気列車の「北斗星」に福島や仙台で乗り継ぐことができる。寝台特急「北斗星」であればB寝台2人用個室「デュエット」が追加料金なしで利用OK。「デュエット」なら夫婦水入らずの夜が過ごせ、函館まで気兼ねなく休めるのが嬉しい。

●2日目 = 乗車距離1584.6km、運賃合計(2人分)119,800円

モデルコース

発着駅 時間 メモ
京都発 12:25 【寝台特急 トワイライトエクスプレス】 B寝台。車窓を眺めつつ食堂車でランチ 日本海の夕暮れも車窓から
※運転日:3月13日~6月14日の月・水・金・土曜と4月23日~5月5日、6月16~30日運転
長岡着 18:56 上越新幹線に乗り換え。駅周辺などで夕食タイム
長岡発 19:45 【Maxとき348号】グリーン車
大宮着 20:54 東北新幹線に乗り換え
大宮発 21:02 【Maxやまびこ131号】グリーン車
仙台着 22:43 「北斗星」に乗り継ぎ。個室寝台へ持ち込むものは駅付近のコンビニで
仙台発 23:30 【寝台特急北斗星】B寝台2人用個室「デュエット」

「トワイライトエクスプレス」と北斗星

 人気の寝台特急「トワイライトエクスプレス」と「北斗星」。フルムーンパスでの追加料金なしの利用は「トワイライトエクスプレス」では4人用B寝台のみ。「北斗星」ではそれに加えて2人用のB寝台個室「デュエット」も利用できる。夫婦水入らずの夜を過ごすには「デュエット」がおすすめ。

 毎日運転し函館にも停車する「北斗星」。一方、「トワイライトエクスプレス」は函館に停車せず、運転も毎日ではない。運転日はぜひご確認を。そして、大阪発はその名の通り、日本海の夕暮れ時、トワイライト・タイムに北上するため特に人気が高く、予約が大変に難しい。本プランの場合、もし予約が取れなかった時は、京都から特急「サンダーバード15号」で金沢駅途中下車。回転寿司などを楽しんでから特急「北越7号」に乗れば長岡駅で元のプラン通りの上越新幹線に間に合う。人気列車を予約の際は、予約が取れなかった時の代替ルートも考えておきたい。

文・撮影:相澤秀仁&京子
※掲載されているデータは平成22年4月現在のものです。
※運賃は4月の通常期で算出しています。

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