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フルムーン夫婦グリーンパスで行く新幹線の旅 列島縦断6,000kmウルトラ弾丸フルムーン ~JR最南端の有人駅、山川から最北端の稚内へ~

  • 1日目 新幹線を乗り継ぎ 鹿児島は指宿へ
  • 2日目 「太平燕」を食べて 熊本から博多へ
  • 3日目 九州から北海道へ 列島縦断大旅行
  • 4日目 札幌から稚内へ 宗谷岬は日本最北
  • 5日目 札幌、函館を経由 「北斗星」で帰京

1日目 東京から新大阪を経て指宿温泉へ 山陽・九州新幹線「さくら」の旅|東海道新幹線[東京⇒新大阪]/山陽・九州新幹線[新大阪⇒鹿児島中央]/指宿枕崎線[鹿児島中央⇒指宿]

  • 東海道新幹線「ひかり503号」で新大阪へ行き、山陽・九州新幹線「さくら」に乗り継ぐ

  • 山陽・九州新幹線N700系「さくら」グリーン車。フルムーンパスなら追加料金なしで利用OK

  • 指宿枕崎線の車窓に望む錦江湾越しの桜島。ふいに噴火を始めた光景に思わず息を呑む

  • 露天風呂が部屋に付いた指宿の宿でくつろぐ。かけ流しの湯に浸り、のんびりと海を眺める

  • 鹿児島の海の幸といえば、キラキラと輝く「きびなご」。刺身は酢みそにつけていただく

  • 鹿児島といえば「さつま揚げ」もお忘れなく。ショウガ醤油につけて食べるのがおすすめ

 九州新幹線鹿児島ルート(以下、九州新幹線)がこの春、全線開業し、新大阪から鹿児島中央まで直通の山陽・九州新幹線が走り始めた。最速達の「みずほ」はフルムーンパスでは利用できないが、「さくら」はOK。追加料金なしでグリーン車に乗車できる。

 フルムーンパスで東京から鹿児島中央へ行く際、乗り換えは新大阪の1回だけとなり、「ひかり」も「さくら」も全区間グリーン車、到達時間も従来より1時間近く短縮され、さらに快適で楽ちんな旅ができるようになった。

 東京駅7時33分発「ひかり503号」で指宿へ向かう。以前のダイヤでは指宿駅着が18時過ぎになってしまったが、「さくら551号」と快速「なのはな」の接続で今や16時38分着。到着時間のこの差は大きい。南国の温泉をのんびりと楽しめる。指宿温泉では名物の「砂むし」体験も。温泉街には公営の砂むし会館があり、ここなら雨天であっても砂むし入浴が可能。さて、お待ちかねの夕食、キビナゴやさつま揚げなどなど、宿では鹿児島らしい味覚が供される。

 夫婦水入らずのフルムーン、せっかくだから専用露天風呂付きの客室を予約。かけ流しの温泉に存分に浸ると、いつしか旅の疲れも消えていく。

 東京から鹿児島へ、そして、一気に北海道を周って東京へ帰る6,000kmの旅。これまでなら過酷と思われた旅も、九州新幹線全線開業、東北新幹線新青森延伸等、新幹線という高速ネットワークの発達により、時間的にも身体的にも余裕のある“楽々”弾丸旅行に変わってゆく。

1日目●乗車距離:1509.5km 運賃合計2人分:98,900円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
東京~新大阪:@18,390円(乗8,510円 特グ9,880円) 乗車距離552.6km
新大阪~鹿児島中央:@30,090円(乗11,760円 特グ18,330円) 乗車距離911.2km
鹿児島中央~指宿:@970円(乗970円) 乗車距離45.7 km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

東京発5日間・前編 【旅の1日目】
新幹線を乗り継ぎ、鹿児島は指宿へ
1日目 駅名 時間 メモ
山陽・九州新幹線「さくら」で、
指宿へ(指宿温泉泊)
東京 発 7:33 東海道新幹線【ひかり503号】グリーン車
新大阪 着 10:30 乗り換え
新大阪 発 10:59 山陽・九州新幹線【さくら551号】グリーン車
 鹿児島中央 着 15:09 在来線に乗り換え
鹿児島中央 発 15:37 快速【なのはな】
指宿 着 16:38 車窓に桜島を眺めて
  指宿温泉でゆったり

旅のメモ

観光の問合せ
■指宿:指宿市観光協会 TEL.0993-22-3252

駅コラム① 南の指宿駅と北の稚内駅は「姉妹駅」の間柄

 鹿児島市とイタリアのナポリ市など、姉妹都市という言葉は知られているが、鉄道の世界にも姉妹駅という間柄がある。その一つが鹿児島県の指宿駅(指宿枕崎線)と北海道の稚内駅(宗谷本線)。指宿駅は日本最南端の「みどりの窓口」設置駅であり、一方の稚内駅は日本最北端の駅であるとともに、日本最北端の「みどりの窓口」設置駅でもある。指宿駅前には姉妹駅を記念する碑があり、鉄路で結ばれた両駅の距離はざっと3,000km以上。列車を乗り継ぎ、まるまる1日以上の時間がかかる。到達時間は新幹線網の一層の発達で、もっともっと短縮されていくのだろう。

 日本最北端の駅、稚内駅は周辺の再開発もあり、この春、駅舎が新しくなった。フルムーンパスを活用し、姉妹駅である両駅をぜひ訪ねてみたい。

日本最南端の「みどりの窓口」設置駅・指宿駅と、同最北端の稚内駅は姉妹駅になっている

2日目 JR最南端の有人駅、山川駅を訪ね ランチを熊本で食べて博多へ 指宿枕崎線[指宿⇒山川⇒鹿児島中央]/九州新幹線[鹿児島中央⇒熊本⇒博多]

  • 指宿駅前にある無料の足湯。おそらく日本最南端の駅前足湯だろう。列車待ちの時間にぜひ!

  • JR日本最南端の有人駅、山川駅。日本最北端の北海道、稚内駅へ行く旅がここから始まる

  • 熊本で食べた名物の「太平燕」(タイピーエン)。春雨の麺のつるつるとした食感が特徴

  • 「太平燕」を食した後は、「燕」にちなみ、熊本から九州新幹線800系「つばめ」で博多へ

  • 博多の夜、ライトアップされた赤煉瓦文化館は設計が辰野金吾。東京駅も手掛けた建築家だ

  • 博多では本場の明太子もどうぞ。明太子の軍艦巻きはピリッと辛いのにまろやかな味わい

 朝湯につかり、ゆっくりチェックアウトする旅の2日目。朝、せわしなく出発していく団体旅行とは違い、フルムーンは自由な夫婦旅行。朝から贅沢な気分で時間を過ごそう。

 指宿駅から鹿児島中央駅へ戻る前、ちょっと一駅、南へ。指宿駅のお隣、山川駅はJR日本最南端の有人駅だ。すぐ前に海が広がる山川駅は南国旅情に満ち、駅横に立つ「JR日本最南端の有人駅」の碑をバックに記念写真をパチリ。JR日本最南端の駅はここより2つ先の西大山駅だが、こちらは駅員さんのいない無人駅。山川駅には駅員さんのぬくもりがある。訪問の記念に「山川→西大山」の乗車券(220円)や入場券(160円)を購入。

 山川から指宿へ、そして観光特急「指宿のたまて箱2号」と九州新幹線「さくら412号」を乗り継ぎ、熊本には12時52分到着。ここ熊本では名物「太平燕」(タイピーエン)をランチに食べたい。春雨を麺にみたてた料理で、つるつるとした食感を味わう。

 熊本駅からは「太平燕」の「燕」にちなみ、「つばめ350号」に乗車。800系はグリーン車こそないが、横2席の指定席は快適だ。博多到着は16時56分、この日はあまり移動せずに博多泊。いくら6000kmの大旅行とはいえ、とんぼ返りの大移動ばかりでは味気ない。九州で2泊すれば体調的にもゆとりができる。

 うまいものが盛りだくさんの博多は、夜、一段と輝きを増す。それぞれの夫婦の好みに合った名物料理を味わってほしい。翌3日目はいよいよ新幹線を乗り継いで北海道を目指す。

2日目●乗車距離:343.2km 運賃合計2人分:31,420円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
指宿~山川:@200円(乗200円) 乗車距離4.3km
山川~指宿:@200円(乗200円) 乗車距離4.3km
指宿~鹿児島中央:@2,070円(乗970円 特指1,100円) 乗車距離45.7km
鹿児島中央~熊本:@8,250円(乗3,150円 特グ5,100円) 乗車距離170.5km
熊本~博多:@4,990円(乗2,070円 特指2,920円) 乗車距離118.4km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

東京発5日間・前編 【旅の2日目】
「太平燕」を食べて、熊本から博多へ
2日目 発着駅 時間 メモ
熊本でランチを食べて博多へ (博多泊)
指宿 発 10:03 普通列車
山川 着 10:09 6分の乗車で山川着
  JR日本最南端の有人駅は南国旅情いっぱい
山川 発 10:43 普通列車
指宿 着 10:49 乗り換え
指宿 発 10:53 特急【指宿のたまて箱2号】指定席
鹿児島中央 着 11:45 乗り換え
鹿児島中央 発 11:53 九州新幹線【さくら412号】グリーン車
熊本 着 12:52 熊本でランチタイム
  名物「太平燕」を食べて、「つばめ」で博多へ
熊本 発 16:05 九州新幹線【つばめ350号】指定席
博多 着 16:56  「つばめ」も速い!もう到着
  JR博多駅はグルメの宝庫に!

旅のメモ

観光の問合せ
■熊本:熊本駅総合観光案内所 TEL. 096-352-3743
■博多:福岡市観光案内所(博多駅) TEL.092-431-3003

駅コラム② JR日本最南端の有人駅、鹿児島県、山川駅

 指宿枕崎線で指宿駅のお隣、山川駅はJR日本最南端の有人駅。日本最南端の駅は山川駅から2駅先の西大山駅だが、こちらは無人駅になっている。山川駅は駅前から海が見え、南国風情あふれる駅。駅横には「JR日本最南端の駅」の碑が立っており、ここではぜひ記念写真を撮りたい。

 JR時刻表の地図を眺めると、山川駅には「みどりの窓口」を表す緑色の印はついていないが、普通の自動券売機に加え、窓口には「POS端末」が設置されている。この「POS端末」では入場券や、山川→西大山といった乗車券も発券でき、入場券にはJR日本最南端の駅を示すスタンプも押してもらえる。また、「POS端末」では九州島内等の指定券も発券でき、私たちもフルムーンパスを提示して発券していただいた。「山川駅POS発行」と印字された切符は旅情に満ちている。

JR日本最南端の有人駅、山川駅の改札口。窓口にはPOS端末があり、記念に入場券等を購入

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