『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

フルムーン夫婦グリーンパスで行く新幹線の旅日本の秋、紅葉狩りフルムーン~東北・北海道、京都・山陰。燃ゆる秋の旅~

  • 1日目|東北の秋を眺め一路、北海道へ
  • 2日目|大沼公園を訪ね秋景色を楽しむ
  • 3日目|深まる秋の京都夫婦で紅葉狩り
  • 4日目|京都から山陰へ三朝温泉に滞在
  • 5日目|秋の松江を散策新幹線で東京へ

3日目|雅な紅葉に彩られた古都の美しさ京都~山陰へ、2泊3日旅の始まり|東海道新幹線[東京⇒京都]

  • 東京駅を出発していく700系新幹線。正面から眺めると目や口の雰囲気が誰かに似ている

  • 700系「ひかり」グリーン車、ゆとりのシートに柔らかな光が当たる。新幹線の旅は素敵だ

  • 京都で食べた「京湯葉の握り」。豆腐料理が盛んな京都らしく、はんなりと優美な味わい

  • 京都、嵯峨野、大沢池周辺の紅葉も美しい。二尊院をはじめ、今秋は嵯峨野の紅葉に注目

  • 紅葉散る京都の散歩道、猫が気持ちよさげに寝転んでいた。雅な紅葉に和風の猫が似合う

  • 朝晩、肌寒くなる秋、夕食には鍋料理が恋しくなってくる。京都の旅館で寄せ鍋をつつく

 紅葉の季節も見どころいっぱいの古都、京都。旅心をかきたてるJR東海「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンでは、今秋は嵯峨野、二尊院にスポットをあてている。紅葉の美しさはひとしおだろう。

 東海道新幹線(「のぞみ」を除く)を含めJR全線が乗り放題できるフルムーンパス。700系が主体の「ひかり」も便利で、「のぞみ」との到達時間の差は東京~京都間で20分ほど、快適なグリーン車で過ごせば時間の流れはとても速く感じられる。東京~京都間はお好みの時間の「ひかり」にご乗車を。

 自宅泊だった前夜。自宅をホテル代わりに使う価値は大きく、5日分の荷物すべてを携行する旅に比べ、かなり荷物を減らすことができる。旅は身軽なほど楽ちんだ。北への旅の装いから西への装いにチェンジし、秋色の京都を夫婦で歩こう。

 この秋は二尊院をはじめ、嵯峨野をゆっくりと散策してみたい。JR嵯峨嵐山駅から大覚寺、大沢池へ、そして、一休み二休みしつつ、祇王寺、二尊院、常寂光寺へ。いずれの寺院も紅葉は見事で、かつて「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンでは秋のポスターになっている。

 京都の紅葉、見頃は11月にピークを迎えるのだろうが、たとえば大覚寺では11月9日~12月9日の期間、紅葉のライトアップを開催。夕闇、光に照らされた紅葉の美しさは心の琴線に触れ、古都ならではの趣に感動すると思う。

 錦秋の日本、フルムーンパスでもっともっと旅したい。

3日目●乗車距離:513.6km 運賃合計2人分:35,720円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
東京~京都:@17,860円(乗7,980円 特グ9,880円) 乗車距離513.6km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

「紅葉狩りフルムーン」3日目
秋の京都へ[京都泊]
深まる秋の京都 夫婦で紅葉狩り
3

発着駅 時間 メモ
秋の京都へ(京都泊)
~ 700系に乗車 ~
東京 発 9:03 東海道新幹線【ひかり465号】グリーン車(700系)
京都 着 11:47 秋の古都は素敵。京都泊

旅のメモ

観光の問合せ
■京都:京都市観光協会 TEL.075-752-7070

山陰あれこれガイド 3 山陰の鉄道

 山陰地方を象徴する路線、山陰本線。京都駅から下関市の幡生(はたぶ)駅までおよそ670km、日本有数の長大路線だ。かつては京都~博多間を特急「まつかぜ」が13時間以上かけてロングランした時代もあった。
 現在の山陰本線は特急「スーパーまつかぜ」や「スーパーおき」などが快走し、山陽側の岡山と山陰側の米子、松江、出雲市を特急「やくも」が伯備線経由で結んでいる。また、同線経由で東京とを結ぶ寝台特急「サンライズ出雲」も走っている。
 一方、特急「スーパーはくと」が途中、智頭急行線を経由して京都・大阪から鳥取・倉吉までの区間を走行。ただし、智頭急行線内はフルムーンパスが使えないのでご注意を。
 楽しげな列車も走る山陰地方。境線(米子~境港)の鬼太郎列車や、木次(きすき)線のトロッコ列車「奥出雲おろち号」(不定期運転)にも乗ってみたい。

米子駅に停車する特急「スーパーおき」。ぱっちりした黄色い顔立ちで山陰路を軽快に走る

4日目|岡山、米子を経由し鳥取県倉吉へ山陰の名湯、三朝温泉でのんびり|東海道・山陽新幹線[京都⇒岡山]/伯備線・山陰本線[岡山⇒倉吉]

  • 岡山に入線の特急「やくも11号」。米子で特急「スーパーまつかぜ10号」に乗り換え倉吉へ

  • 近代的な駅舎に生まれ変わったJR倉吉駅。エキパル倉吉観光案内所や駅ヨコプラザもある

  • 倉吉、打吹公園の色づくカエデ。カエデは漢字で「楓」と書くように、秋風にそよいでいた

  • 三朝温泉といえば、三徳川(みとくがわ)ほとりの「河原風呂」。野趣満点の露天風呂だ

  • 三朝温泉の宿、部屋食で味わう夕食はカニのコース料理。夫婦水入らず、お腹もいっぱいに

  • 天然温泉100%、三朝温泉の貸切露天風呂。夫婦でゆったりと浸かれば旅の疲れも消えていく

 旅の4日目は、山陰の名湯、鳥取県三朝温泉へ向かう。三朝温泉の最寄駅は山陰本線倉吉駅。京都からはいくつかのルートがある。

 まず最初に思い浮かぶのは、京都発倉吉行き特急「スーパーはくと」の利用。所要時間3時間半ほど、乗り換えいらずの直通列車だが、フルムーンパスの場合、追加料金が必要になる。「スーパーはくと」は途中、上郡~智頭間は智頭急行線を走り、フルムーンパスが使えないからだ。追加料金はグリーン車の場合、通常一人あたり2,280円。

 追加料金不要のルートであれば、新幹線で岡山へ行き、伯備線で米子、さらに山陰本線で倉吉へ。こちらは少し遠回りになるものの、いろいろな列車に乗れ、変化に富んだ車窓が楽しめる。

 前者のルートなら、京都10時51分発の特急「スーパーはくと5号」で倉吉14時23分着、後者なら本プランの列車がちょうどよい時刻と思う。どちらのルートにするかはそれぞれのペアにお任せ。

 宿によっては倉吉駅より送迎をしてくれる三朝温泉。倉吉市内の打吹(うつぶき)公園で紅葉狩りの後に温泉へ行くのもよし、紅葉は11月上旬には見頃を迎える。

 三朝温泉は世界でも屈指のラジウム泉。宿の貸切露天風呂にのんびり浸かり、旅の疲れをほぐそう。さてさて、お楽しみの夕食、山陰地方の秋といえば松葉ガニ(ズワイガニ)だろう。11月~3月にかけて味わえる。部屋食で夫婦水入らず、カニ料理の数々に舌鼓を打てば、三朝の夜はしっとりと更けてゆく。

4日目●乗車距離:431.3km 運賃合計2人分:41,440円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
京都~岡山:@10,820円(乗3,570円 特グ7,250円) 乗車距離219.3km
岡山~米子:@7,290円(乗2,520円 特グ4,770円) 乗車距離159.1km
米子~倉吉:@2,610円(乗950円 特指1,660円) 乗車距離52.9km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数 数

モデルコース

「紅葉狩りフルムーン」4日目
山陰の名湯、三朝温泉へ[三朝温泉泊]
京都から山陰へ 三朝温泉に滞在
4

発着駅 時間 メモ
山陰の名湯、三朝温泉へ(三朝温泉泊)
~ 700系に乗車 ~
京都 発 9:48 東海道・山陽新幹線【ひかり461号】グリーン車(700系)
岡山 着 11:22 在来線に乗り換え
岡山 発 12:05 特急【やくも11号】グリーン車
米子 着 14:13 乗り換え
米子 発 14:45 特急【スーパーまつかぜ10号】指定席
倉吉 着 15:16 この日は名湯、三朝温泉泊

旅のメモ

観光の問合せ
■倉吉:くらよし観光・MICE協会 (旧倉吉市観光協会) TEL.0858-24-5371
■三朝温泉(三朝町):三朝温泉観光協会 TEL.0858-43-0431

山陰あれこれガイド 4 山陰の温泉

 温泉派も大満足の山陰地方。山陰本線に沿って名だたる温泉地がひしめいている。
 鳥取では岩井温泉をはじめ、倉吉エリアには、はわい温泉、東郷温泉、三朝温泉、関金温泉がある。はわい温泉は漢字で「羽合温泉」と書くが、常夏の島、ハワイを連想させて愉快だ。ラジウム温泉の三朝温泉も特徴的で、のんびり浸かると心地よい。そして、米子エリアには皆生(かいけ)温泉もある。
 島根県の温泉では、まずは松江駅からほど近い松江しんじ湖温泉。ここはその名の通り、宍道湖畔に宿が並ぶ。同じく松江市内には玉造(たまつくり)温泉もあり、こちらは美人の湯として有名、ほのかな硫黄臭が温泉らしくていい。石見銀山の周辺には湯抱(ゆがかえ)温泉や温泉津(ゆのつ)温泉もある。
 山陰の温泉地は難読地名の勉強ができるのも効能の一つかもしれない。

“日本のハワイ”こと鳥取県「はわい温泉」。東郷湖の湖畔から眺めれば水面に浮かぶよう

5日目|山陰本線の特急で倉吉から松江へ城下町、松江の秋を楽しむ最終日|山陰本線[倉吉⇒松江]/山陰本線・伯備線・山陽・東海道新幹線[松江⇒東京]

  • 倉吉駅で乗車し、松江駅で下車した特急「スーパーおき3号」。キハ187系は軽快な乗り心地

  • 松江で出会った出雲大社風の縁結び猫さん「しまねっこ」。島根県の観光キャラクターだ

  • 松江市内の観光に便利な「ぐるっと松江レイクラインバス」。日中20分間隔で運行される

  • 島根県の県庁所在地であり、城下町でもある松江。松江城のお堀端も紅葉がきれいだった

  • 城下町、松江らしい風雅な紅葉狩り。和の情緒あふれる松江は京都や金沢と並ぶ和菓子処

  • 松江から岡山へ、特急「やくも22号」で帰路につく。グリーン車は横3席で広々としている

 紅葉狩りフルムーンの最終日、城下町として、そして、水の都として落ち着いたたたずまいを見せる島根県の県庁所在地、松江を夫婦で散策してみたい。

 三朝温泉の朝湯をゆっくり楽しみ、倉吉10時12分発の特急「スーパーおき3号」に乗車。キハ187系による「スーパーおき」は通常2両編成ながらも山陰路を気持ちよく快走、松江には11時10分に着く。市内の観光には「ぐるっと松江レイクラインバス」が便利。1乗車につき200円、ここは500円の1日乗車券がおすすめ。駅を起点に、松江城や遊覧船乗り場、小泉八雲旧居、宍道湖と周り、再び駅に戻ってくる。運行本数も日中20分間隔と多く、松江めぐりにもってこい。紅葉の見頃は、松江城あたりで11月初旬~中旬とされている。

 「山陰デスティネーションキャンペーン」(12月31日まで開催)で盛り上がる鳥取&島根県。鳥取では「国際まんが博」(11月25日まで)が開かれ、島根では「神話博しまね」(11月11日まで)も。『ゲゲゲの鬼太郎』の作者、水木しげるさんの出身地、鳥取県の境港を訪ねたり、神話で知られる島根県の出雲大社に出かけたりと、5日目のプランはお好みでアレンジも可能だ。

 島根にもっともっと滞在するのなら、お帰りは寝台特急「サンライズ出雲」で。出雲市18時55分発(松江19時26分発)で東京着は翌朝7時8分。フルムーンパスでは「ノビノビ座席」に乗車(追加料金不要)できる。

 神無月の10月、出雲地方だけは全国の神々が集まって神在月という。旅する神々のように、新幹線に乗ってフルムーン旅行に出かけよう!

5日目●乗車距離:1002.7km 運賃合計2人分:66,580円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
倉吉~松江:@3,110円(乗1,450円 特指1,660円) 乗車距離81.8km
松江~岡山:@8,030円(乗3,260円 特グ4,770円) 乗車距離188.0km
岡山~東京:@22,150円(乗10,190円 特グ11,960円) 乗車距離732.9km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

「紅葉狩りフルムーン」5日目
松江に立ち寄り、帰京
秋の松江を散策 新幹線で東京へ

5

発着駅 時間 メモ
松江に立ち寄り、帰京
~ 700系に乗車 ~
倉吉 発 10:12 特急【スーパーおき3号】指定席
松江 着 11:10 城下町、松江で紅葉さんぽ
松江 発 14:59 特急【やくも22号】グリーン車
岡山 着 17:38 新幹線に乗り換え
岡山 発 18:18 岡山始発の山陽・東海道新幹線【ひかり482号】グリーン車(700系)
東京 着 22:40 紅葉狩りフルムーンの終わり

旅のメモ

観光の問合せ
■松江:松江観光協会 TEL.0852-27-5843

山陰あれこれガイド 5 山陰のおみやげ

 おみやげを見つけるのも旅先での大きな楽しみ。米子駅や松江駅など山陰地方の主な駅でもいろいろなものが販売されている。
 鳥取では、うさぎ形の愛らしい饅頭、銘菓「因幡の白うさぎ」がまずは目に留まる。宿でお茶請けにも出されたりするポピュラーなお菓子だ。同じく銘菓といえば倉吉の「打吹(うつぶき)公園だんご」もおすすめしたい。妖怪で賑やかな境港には鬼太郎関係のグッズがいっぱい。妖怪ファンにはたまらないと思う。
 島根では、やはり「どじょう掬(すく)いまんじゅう」と目が合ってしまった。どじょうすくいの安来節(やすぎぶし)、その“ひょっとこ”の面をイメージした愛嬌たっぷりのお菓子。こちらも山陰銘菓の一つだ。
 城下町、松江では和菓子の伝統も根付く。「若草」などの和菓子も情緒があって好まれるだろう。

“どじょうすくい”にちなむ山陰銘菓「どじょう掬いまんじゅう」は、ユーモラスなお饅頭

<東京発 「紅葉狩りフルムーン」 の運賃総額、JR総乗車距離>
JR運賃総額:283,760円 (2名分合計 通常期で算出)
JR総乗車距離:3790.6km ※運賃計算キロ
お得になった金額:203,260円(JR運賃総額-フルムーン5日間パス定価80,500円)
乗車倍率:3.52倍(JR運賃総額÷フルムーン5日間パス定価80,500円)
※運賃計算キロは、JR東日本のサイト、えきねっと「乗換・運賃案内」で表示のものです

● 旅人(著者)紹介 相澤秀仁&相澤京子

写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で3巡している。これまでに110日「フルムーン旅行」をし、JR路線も約10万キロ乗車。著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』、『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。また、英語クロスワードパズルを新聞に17年に渡って連載。
ホームページhttp://www.aizawa22.com

 

文・撮影:相澤秀仁&相澤京子
※掲載されているデータは平成24年10月1日現在のものです。
※JR時刻表10月号を使用。到着時刻等、一部時刻未掲載のものは、えきねっと「乗換・運賃案内」等で表示の時刻を使用。
※時刻および運賃は通常期の「平成24年10月20日」をモデルに算出しました。

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