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フルムーン夫婦グリーンパスで行く新幹線の旅|日本三景“でらうま”フルムーン~名古屋から日本三景もグルメも楽しむ、4400kmの旅~

  • 1日目|天橋立へ日帰り お昼は城崎にて
  • 2日目|宮島を観光して 広島市内に宿泊
  • 3日目|新幹線で九州へ 指宿温泉に滞在
  • 4日目|鹿児島をめぐりいったん、名古屋へ
  • 5日目|松島へ日帰りで 仙台では寿司を

3日目|広島をゆっくり出発し指宿温泉へ 鹿児島の名湯に浸かってのんびりと|山陽・九州新幹線[広島⇒鹿児島中央]/指宿枕崎線[鹿児島中央⇒指宿]

  • 山陽・九州新幹線N700系「さくら」グリーン車。広島から鹿児島中央までは2時間50分ほどだ

  • 広島界隈ではアナゴを用いた弁当もいろいろ。鹿児島中央への新幹線車中で味わってみては?

  • 鹿児島中央駅から指宿へは人気観光列車、特急「指宿のたまて箱」で。斬新な色使いが印象的

  • 特急「指宿のたまて箱」は錦江湾越しの桜島など車窓風景が楽しめる座席配置になっている

  • 夕刻、指宿温泉の海辺にも明かりが灯る。温泉に浸かって、そろそろお待ちかねの夕食タイム

  • 鹿児島といえば黒豚料理。「とんこつ煮」(黒豚の角煮)は柔らかくて美味

 フルムーンパスの夫婦旅。せっかくの旅だから、たまには温泉でのんびりする日があってもいい。3日目は広島をゆっくり出発し、鹿児島の指宿(いぶすき)温泉へ行こう。

 九州新幹線(鹿児島ルート)が全線開業してそろそろ3年、この開業によって、より一層、旅が楽しくなった九州。なかでも新幹線でまっすぐ行ける鹿児島が注目度アップ。一度は日本最南端の新幹線駅、鹿児島中央駅まで乗り通してみたいところだ。

 早起きのご夫婦はさっと広島市内も観光し、広島駅10時51分発、山陽・九州新幹線「さくら549号」に乗車。広島駅名物の駅弁をランチに頬張り、グリーン車でくつろぐうちにもう鹿児島中央駅に到着する。

 ユニークな列車が数多く走る九州。鹿児島中央駅と指宿方面を結ぶ特急「指宿のたまて箱」もその一つ。白と黒の斬新な塗り分けが目を引く列車で、グリーン車こそないものの、車窓に錦江湾が見えるシート配置が好評だ。新幹線とは一味違う在来線の旅、こちらも満喫を。

 14時57分と早い到着の指宿。「砂むし」も有名な指宿温泉は、泉質が塩化物泉。ちょっとしょっぱい湯に浸かれば身体もポカポカに。さまざまなタイプの宿がある指宿温泉。なかには貸切風呂や露天風呂付き客室を備えた宿もあり、夫婦水入らずで湯に浸かるのも乙なもの。

 お待ちかねの夕食はぜひ鹿児島の郷土料理を。キビナゴにさつま揚げ、黒豚の角煮(とんこつ煮)などをぜひ。

3日目●乗車距離:615.3km 運賃合計2人分:51,520円
【個別区間(列車)ごとの運賃と乗車距離】
広島~鹿児島中央:@23,690円(乗9,140円 特グ14,550円)乗車距離569.6km
鹿児島中央~指宿:@2,070円(乗970円 特指1,100円)乗車距離45.7km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

名古屋発5日間・後編【旅の3日目】
3

発着駅 時間 メモ
鹿児島、指宿温泉でのんびり(指宿温泉泊)
~ N700系に乗車 ~
広島 発 10:51 山陽・九州新幹線【さくら549号】グリーン車(N700系)
鹿児島
中央 着
13:40 乗り換え
鹿児島
中央 発
14:02 特急【指宿のたまて箱5号】普通車指定席
指宿 着 14:57 この日は指宿温泉泊

旅のメモ

観光の問合せ
■指宿:
指宿市観光協会 TEL. 0993-22-3252

名古屋発、日帰り弾丸フルムーンコラム(3)中国地方もおまかせ!

 東京から見れば、鉄道利用で日帰りはなかなか難しい中国地方。しかし、名古屋ならそれもお手のもの。
 たとえば出雲大社の最寄り駅、出雲市なら、名古屋6時51分発の「こだま691号」に乗車。新大阪、岡山で列車を乗り継ぎ、出雲市には12時7分の到着。お帰りは出雲市16時31分発の「やくも26号」に乗れば、岡山、新大阪で列車を乗り継ぎ、名古屋には22時13分の帰着。出雲での滞在時間も4時間以上あり、出雲大社の参拝、そして、名物「出雲そば」も堪能できるだろう。
 また、妖怪たちも町おこしに一役買っている鳥取県の境港。こちらも日帰りが可能に。名古屋を上記と同時刻に出発すれば、境港には12時16分の到着。たっぷり観光し、境港を16時21分に出発すると上記と同時刻に名古屋に帰ってこられる。名古屋から見れば、山陰地方も行きやすい。

山陽地方と山陰地方を結ぶ特急「やくも」は、名古屋から中国地方への旅でも欠かせない列車

4日目|指宿温泉から鹿児島で昼食&観光 新幹線に乗って、いったん、名古屋へ|指宿枕崎線[指宿⇒鹿児島中央]/九州・山陽・東海道新幹線[鹿児島中央⇒新大阪⇒名古屋]

  • 指宿温泉の旅館でも朝ごはんには定番の焼き魚が登場。和食好きな方にはたまらない朝の香り

  • 指宿枕崎線の真ん中あたりにある指宿駅。人気の観光列車、特急「指宿のたまて箱」も発着

  • 鹿児島中央駅へ向かう指宿枕崎線、車窓には鹿児島のシンボル、桜島が錦江湾越しに見える

  • 黒豚のヒレカツにキビナゴ、さつま揚げ、とんこつ煮など鹿児島の美味満載のランチをどうぞ

  • 噴煙たなびく桜島へ渡るには桜島フェリーが便利。鹿児島港~桜島港は所要15分ほどの近さ

  • 鹿児島中央駅で撮影した九州・山陽新幹線N700系。先頭車両は流れるようなフォルムが美しい

 一足早い春が訪れる南国、指宿。ゆっくりと滞在した翌日、旅の4日目は鹿児島中央駅に戻り、市内で昼食をとって観光も。そして、いったん、名古屋へ帰ろう。

 指宿から鹿児島中央へは3日目同様、特急「指宿のたまて箱」を利用。鹿児島中央駅へ向かう上り列車は、次第に近づく桜島が錦江湾越しに美しい。これも日本三景に匹敵する絶景と思う。

 南九州きってのグルメシティ鹿児島。一大名物の黒豚料理をはじめ、薩摩料理の数々をランチにどうぞ。鹿児島での滞在時間は5時間ほどもあり、観光ループバス「カゴシマシティビュー」を活用するなど、観光地めぐりはそれぞれの夫婦でご随意に。「指宿のたまて箱」の車窓を飾った桜島もフェリーで行きやすく、こちらへ回ってみるのも鹿児島ならでは。

 鹿児島中央駅17時ちょうど発の九州・山陽新幹線「さくら570号」で帰路につく。新大阪で東海道新幹線「こだま696号」に乗り継ぎ、名古屋には22時35分の到着。

 旅の4日目、乗り鉄派のご夫婦なら、こんなアレンジも。指宿枕崎線に乗ってJR線の南の終着駅、枕崎駅まで出かけてみては?

 指宿駅11時20分発の普通列車に乗車。この列車は途中、JR最南端の駅、西大山駅に2分停車、運転士さんの案内でホームに降りて記念写真を撮ることもできる。南の終着駅、枕崎には12時49分の到着で、折り返し、同駅13時18分の発車。再び西大山駅を経て鹿児島中央駅には15時49分に到着し、本プランで利用する「さくら570号」にも余裕で接続できる。

4日目●乗車距離:1143.5km 運賃合計2人分:81,000円
【個別区間(列車)ごとの運賃と乗車距離】
指宿~鹿児島中央:@2,070円(乗970円 特指1,100円)乗車距離45.7km
鹿児島中央~新大阪:@30,090円(乗11,760円 特グ18,330円)乗車距離911.2km
新大阪~名古屋:@8,340円(乗3,260円 特グ5,080円)乗車距離186.6km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

名古屋発5日間・後編【旅の4日目】
4

発着駅 時間 メモ
鹿児島を観光し、いったん、名古屋へ(自宅泊)
~ N700系に乗車 ~
指宿 発 10:54 特急【指宿のたまて箱2号】普通車指定席
鹿児島
中央 着
11:46 ランチ&市内観光
鹿児島
中央 発
17:00 九州・山陽新幹線【さくら570号】グリーン車(N700系)
新大阪 着 21:21 乗り換え
新大阪 発 21:33 東海道新幹線【こだま696号】グリーン車(N700系)
名古屋 着 22:35 この日は自宅泊

旅のメモ

観光の問合せ
■鹿児島:
鹿児島中央駅総合観光案内所 TEL. 099-253-2500

名古屋発、日帰り弾丸フルムーンコラム(4)四国も楽々です!

 名古屋の「地の利」。中部地方各地や紀伊半島、近畿地方はもともとの日帰り圏で言うに及ばず。そこに瀬戸大橋の開通によって、四国までもがその日帰り圏に。
 たとえば南国、高知。名古屋を朝6時35分発の「ひかり491号」に乗れば、途中1回、岡山駅での乗り換えで高知には午前中、11時29分の到着。初鰹などランチをゆったり味わい、午後は桂浜などを散策。夕方、高知17時13分発の「南風24号」に乗車、途中、岡山と新大阪で乗り換えて名古屋には22時13分の帰着。
 また、夏目漱石ゆかりの道後温泉も日帰りで楽々。名古屋を同時刻に出発すれば、岡山で乗り換えの後、松山には11時14分の到着。帰路は松山17時37分発で、岡山、新大阪で乗り換え、名古屋には22時35分の帰着。松山滞在時間は6時間以上、これだけあれば道後の名湯も漱石さながら思いっきり楽しめるだろう。

名古屋から高知への旅でも利用する特急「南風」は、新幹線接続駅の岡山と高知方面を結ぶ列車

5日目|日本三景・松島へ弾丸フルムーン 海景色も寿司も堪能する日帰り旅|東海道・東北新幹線[名古屋⇔東京⇔仙台]/仙石線[仙台⇔松島海岸]

  • 東北新幹線E5系「はやぶさ」。先頭車をこの角度で見ると本当に鳥のハヤブサのように精悍だ

  • モダンなE5系グリーン車。電動レッグレストやヘッドレスト、読書灯を備えたシートは快適

  • 日本三景・松島の玄関、松島海岸駅に到着した仙石線電車。仙台からは快速電車で30分ほど

  • 日本三景の松島と宮島はともにカキ(牡蠣)の一大産地にあり、カキが一年中食べられる店も

  • 「松島や ああ松島や 松島や」のフレーズが浮かぶ松島の海景色。遊覧船も多く発着している

  • 帰路、仙台に立ち寄り、旅の締めくくりにお寿司でも。仙台では季節の旬のネタを味わおう

 東海道新幹線に乗って西も東も旅できる名古屋。名古屋の自宅をホテル代わりに活用すれば、西への旅と東への旅を分けることができ、一気に5日間の旅をするよりも荷物が減らせて楽ちんだ。

 最終日は、残り一つの日本三景・松島へ日帰り弾丸フルムーンで行ってみよう。南国、鹿児島とは違い、みちのくはまだまだ寒い日も。お出かけは暖かな服装で。

 名古屋8時35分発「ひかり510号」に乗車し、東京で東北新幹線E5系「はやぶさ13号」に乗り継ぎ、仙台を経て松島海岸駅には13時33分の到着。駅からは観光船乗り場をはじめ、伊達政宗創建の瑞巌寺や五大堂と、いずれも徒歩で行ける近さ。本プランでの松島滞在時間は約3時間を確保、ランチに海景色に古刹拝観など、松尾芭蕉も訪れた松島を存分に堪能してほしい。

 「奥の細道」の時代、江戸から松島までやってくるのはそれは大変。しかし、現代は新幹線の時代、松島も東京や名古屋から楽々日帰り圏に。芭蕉も驚くだろう新幹線の旅、名古屋に帰るにはまだ早い。ここは東北随一のグルメシティ、仙台に移動して宮城の味覚に舌鼓を打ってみよう。

 松島海岸駅から仙石線快速電車で約30分の仙台。仙台駅3階には「牛たん通り・すし通り」があり、こちらはいつも大賑わい。仙台ではゆっくりと夕食にお寿司を味わって名古屋への帰路につく。

 西へ東へ自由自在、名古屋発着、5日間用フルムーンパスの旅。「地の利」を生かした夫婦旅をぜひどうぞ!

5日目●乗車距離:1481km 運賃合計2人分:115,400円
【個別区間(列車)ごとの運賃と乗車距離】
名古屋~東京:@14,070円(乗6,090円 特グ7,980円)乗車距離366.0km
東京~仙台:@14,380円(乗5,780円 特グ8,600円)乗車距離351.8km ※「はやぶさ」の運賃
仙台~松島海岸:@400円(乗400円)乗車距離22.7km
松島海岸~仙台:@400円(乗400円)乗車距離22.7km
仙台~東京:@14,380円(乗5,780円 特グ8,600円)乗車距離351.8km ※「はやぶさ」の運賃
東京~名古屋:@14,070円(乗6,090円 特グ7,980円)乗車距離366.0km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

名古屋発5日間・後編【旅の5日目】

5

発着駅 時間 メモ
日本三景、松島&仙台、日帰り旅
~ N700、700、E5系に乗車 ~
名古屋 発 8:35 東海道新幹線【ひかり510号】グリーン車(700系)
東京 着 10:40 乗り換え
東京 発 11:00 東北新幹線【はやぶさ13号】グリーン車(E5系)
仙台 着 12:37 乗り換え
仙台 発 12:58 仙石線、快速
松島海岸 着 13:33 日本三景、松島を観光
松島海岸 発 16:34 仙石線、快速
仙台 着 17:08 乗り換え 旅の締めくくりにお寿司でも!
  仙台 発 19:32 東北新幹線【はやぶさ16号】グリーン車(E5系)
  東京 着 21:08 乗り換え
  東京 発 21:30 東海道新幹線【ひかり537号】グリーン車(N700系)
  名古屋 着 23:24 旅の終わり

旅のメモ

観光の問合せ
■松島海岸:
松島観光協会 TEL. 022-354-2618
■仙台:
仙台市総合観光案内所(仙台駅2階) TEL. 022-222-4069

名古屋発、日帰り弾丸フルムーンコラム(5)九州なら、枕崎までも!

 九州新幹線(鹿児島ルート)の全通もあって、名古屋からなら、博多、長崎はもちろん、鹿児島や枕崎までも日帰りできるように。では、まずは長崎。
 名古屋を6時51分発「こだま691号」に乗車し、新大阪、博多で列車を乗り継ぎ、長崎には12時49分の到着。帰路は長崎を16時21分発「かもめ34号」に乗れば、博多、新大阪で乗り継ぎ、名古屋には22時35分の到着。
 一方、鹿児島へは上記「こだま691号」に乗車、乗り換えは新大阪の一度だけで、鹿児島中央駅12時9分の到着。帰路は同駅17時ちょうど発の「さくら570号」に乗車すれば、新大阪で乗り換えの後、名古屋には22時35分着。
 鹿児島では路線バス利用で枕崎も往復可能に。中央駅前12時38分発のバスで枕崎駅前14時9分着。同所15時ちょうど発のバスで中央駅前16時31分着。バス代が別途1人片道1220円必要になるものの、枕崎まで行けるのは驚きだ!

JR最南端路線、指宿枕崎線の終着駅、枕崎。なんと枕崎は名古屋からも新幹線で日帰り可能に

<名古屋発 「日本三景“でらうま”」フルムーンの運賃総額、総乗車距離>
[運賃総額A]:353,580円 (2名分合計 通常期で算出) ※第三セクター線(5,080円)を含む総額です
[総乗車距離A]:4522.7km ※運賃計算キロ ※第三セクター線(89.3km)を含む総距離です
JR運賃総額:348,500円 (2名分合計 通常期で算出 上記の[運賃総額A]から第三セクター分を除いたもの)
JR総乗車距離:4433.4km ※運賃計算キロ(上記の[総乗車距離A]から第三セクター分を除いたもの)
お得になった金額:268,000円 (JR運賃総額-フルムーン夫婦グリーンパス料金 [5日間用])
乗車倍率:4.32倍 (JR運賃総額÷フルムーン夫婦グリーンパス料金 [5日間用]) )
※運賃計算キロは、JR東日本のサイト、えきねっと「乗換・運賃案内」で表示のものです。
※2014年4月1日より、消費税率引上げに伴い、運賃・料金等は変更になります。

● 旅人(著者)紹介 相澤秀仁&相澤京子

写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で4巡している。これまでに120日フルムーンパスでの旅をし、JR路線も約11万km乗車。著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。また、英語クロスワードパズルを新聞に17年にわたって連載。
夫婦旅ブログ http://fullmoon.aizawa22.com

 

文・撮影:相澤秀仁&相澤京子
※掲載されているデータは2014年2月5日現在のものです。
※JR時刻表2月号を使用。到着時刻等、一部時刻未掲載のものは、えきねっと「乗換・運賃案内」等で表示の時刻を使用。
※運賃は通常期(2月22日)をモデルに算出しました。

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