『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

秋のステキなフルムーン~海の幸も、お肉も、ステーキで味わう美食旅~

  • ●1日目|東京から鳥羽へアワビを味わう
  • ●2日目|鳥羽から別府へ温泉も豊後牛も
  • ●3日目|佐世保に滞在しレモンステーキ
  • ●4日目|列車を乗り継ぎマグロの清水へ
  • ●5日目|富士見を楽しみ盛岡を経て帰京

3日目|別府から列車を乗り継ぎ佐世保へレモンステーキを食べ夜景を観賞|日豊本線・山陽・九州新幹線・長崎本線・佐世保線[別府⇒小倉⇒新鳥栖⇒佐世保]

  • 特急「ソニック」は列車によって白い885系電車(写真)と青い883系電車で運転されている

  • 博多から新鳥栖を経て佐世保方面を結ぶ特急「みどり」のグリーン車は落ち着いた雰囲気

  • 佐世保の絶景スポット、弓張岳周辺では佐世保港や九十九島、そして、五島灘が一望できる

  • これが佐世保名物レモンステーキ。レモンしょう油風味の独特なソースが爽やかな香りを運ぶ

  • 初体験のレモンステーキ。恐る恐る食べてみれば、さっぱりとした味わいが絶妙で旨かった

  • 「夜景ビュー」の部屋より眺めた夜の佐世保。素敵な光がロマンチックな時間を演出する

 のんびりと朝湯に入り、ゆっくり別府を出発する3日目。ところ変われば味覚も変わるもの。この日はちょっと変わったステーキを求め、西九州の佐世保へ行こう。

 別府から佐世保へ鉄路で向かう時、ざっと2つのルートが心に浮かぶ。一方は、小倉に戻り、新幹線で新鳥栖へ出て佐世保行きの特急に乗り継ぐもの。他方は大分から久大本線回りで久留米に出て、鳥栖や新鳥栖から佐世保行き特急に乗り継ぐコース。

 フルムーンパスの旅では、もし夫婦の一方が小倉経由、もう一方が久大本線経由を選び、佐世保行きの特急で合流するといった別行動をしようとしても、それは不可のルールに。フルムーンパスは夫婦二人が同一行程の旅をする時に限って有効となる。

 このコースでは小倉経由としたが、途中に人気リゾート地、由布院がある久大本線回りもお好みで。デート気分で過ごすひと時の由布院も素敵だ。

 港町、佐世保。同じ長崎県にあって、やはり港町の長崎とはかなり異なるユニークな食文化、いわば「佐世保グルメ」を育んできた。その代表がレモンステーキだろう。

 レモンステーキと聞くと、レモンそのものを焼いた料理と思われるかもしれないが、実は、ステーキ肉をレモンしょう油風味のソースで焼いたもの。よもやの組み合わせと思いつついただけば、なんとも爽やかな味わいに食欲も全開モードに!

 佐世保で迎える夜。当地も夜景の美しさで知られ、特に中心部に近い弓張岳周辺からの眺めが良く、お泊りは「夜景ビュー」の客室がおすすめ。素敵な夫婦の一夜をどうぞ。

3日目●乗車距離:302.1 km 運賃・料金合計2人分:29,480円
【個別区間(列車)ごとの運賃・料金と乗車距離】
別府~小倉:@5,280円(乗2,480円 特グ2,800円)乗車距離120.8km
小倉~新鳥栖:@5,850円(乗1,720円 特グ4,130円)乗車距離95.8km
新鳥栖~佐世保:@3,610円(乗1,650円 特グ1,960円)乗車距離85.5km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

素敵なフルムーン 3日目
3

発着駅 時間 メモ
佐世保でレモンステーキ(佐世保泊)
~ N700系に乗車 ~
別府 発 10:53 特急【ソニック24号】グリーン車
小倉 着 12:03 ランチ&乗り換え
小倉 発 13:18 山陽・九州新幹線【さくら553号】グリーン車 N700系
新鳥栖 着 13:49 乗り換え
新鳥栖 発 14:02 特急【みどり13号】グリーン車
佐世保 着 15:24 この日は佐世保泊

旅のメモ

観光の問合せ
■佐世保:佐世保観光コンベンション協会
TEL. 0956-23-3369

秋の「旬」コラム(3)秋刀魚

 鮭とならび秋を代表する魚、サンマ。漢字では「秋刀魚」と、ここにも秋の字が含まれている。
 落語にも登場するサンマ。江戸の殿様にすれば、サンマは「目黒に限る」となったものの、現代の産地としては、北海道東部の漁業都市、根室が水揚げ日本一に。例年、9月には「根室さんま祭り」が盛大に開かれ、会場では脂ののったサンマが無料で振る舞われる。
 漁場に近いとあって鮮度が違う根室のサンマ。もし殿様が来れば「サンマは根室に限る」となったはずだ。
 サンマの季節、根室に出かけてみれば花咲港も大賑わい。漁船から大型トラックにサンマを積み込み、続々と出発する光景を目撃。サンマといえば塩焼きが一般的だが、鮮度抜群の生サンマは寿司で食べても最高に旨い。殿様もきっと腰を抜かすだろう。

サンマが多く水揚げされる東北地方。仙台の寿司店でも脂がのったサンマの握りが味わえる

4日目|佐世保から静岡県清水へ弾丸旅行夕食にはマグロほほ肉ステーキを|佐世保線・長崎本線[佐世保⇒新鳥栖]/九州・山陽・東海道新幹線・東海道本線[新鳥栖⇒新神戸⇒静岡⇒清水]

  • 佐世保で迎えた気持ちのいい朝。この日は列車を乗り継ぎ、駿河湾に面した清水まで行く

  • 佐世保発の特急「みどり」。写真の先頭車両は中間車を改造した独特の顔立ちをしている

  • 山陽・九州新幹線「さくら」グリーン車。2席+2席、横4席のシートが6列で計24席の空間

  • 清水駅の駅名標。以前は清水市だったが、2003年4月1日から静岡市と合体合併し清水区に

  • マグロの水揚げで知られる清水港。清水ではマグロほほ肉ステーキ(写真)も食べられる

  • ほほ肉はマグロ一匹からごく少量しかとれない貴重な部位。ステーキでは肉に近い味がする

 2日目、3日目と牛肉を異なる味付けのステーキで食べたグルメ旅。4日目はお肉ではなく、お口直しとばかり、魚をステーキでいただこう。

 この日の目的地は静岡県の清水。清水といえば次郎長に森の石松、大政、小政もさることながら、マグロ漁の基地としても有名だ。マグロが数多く水揚げされる土地だけに、貴重な部位をステーキで味わうことができる。

 佐世保発の特急「みどり」を新鳥栖駅で降り、九州・山陽新幹線「さくら」に乗り継ぐ。フルムーンパスでは、夫婦二人が同一行程の旅をすることが必要だが、その意味は「夫婦が同一の区間を同一の列車に乗車して旅をする」こと。つまり、同一区間を同一列車に乗車すればよく、座席は夫婦横並びが一般的なものの、さまざまな事情で離れて座ってもルール違反とはならない。

 たとえば、N700系8両編成「さくら」のグリーン車は、1両の約半分、2席+2席の横4席が6列で計24席となっている。時期や時間帯によっては夫婦が横並びで座席予約ができない場合も。このような時は通路を挟んだり、離れて座ることとなるが、これはもちろんルールで認められている。他にも、同一区間&同一列車の旅であれば、一人がグリーン席でもう一人が普通席に分かれての乗車もOK。混み合う列車を予約する際はちょっと覚えておこう。

 駿河湾に面した清水到着はちょうど夕刻。そろそろお腹もすく頃だ。マグロ料理の本場では、魚とは思えない味、まるでお肉のような味がするマグロほほ肉ステーキをさあ召し上がれ!

4日目●乗車距離:1120km 運賃・料金合計2人分:86,960円
【個別区間(列車)ごとの運賃・料金と乗車距離】
佐世保~新鳥栖:@3,610円(乗1,650円 特グ1,960円)乗車距離85.5km
新鳥栖~新神戸:@21,720円(乗9,670円 特グ12,050円)乗車距離614.0km
新神戸~静岡:@16,640円(乗6,800円 特グ9,840円)乗車距離409.3km
静岡~清水:@1,510円(乗240円 特指1,270円)乗車距離11.2km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

素敵なフルムーン 4日目
4

発着駅 時間 メモ
清水でマグロほほ肉ステーキ(清水泊)
~ N700系、700系に乗車 ~
佐世保 発 10:43 特急【みどり12号】グリーン車
新鳥栖 着 12:07 乗り換え(名物「かしわうどん」を!)
新鳥栖 発 12:28 九州・山陽新幹線【さくら552号】グリーン車 N700系
新神戸 着 15:10 乗り換え
新神戸 発 15:25 山陽・東海道新幹線【ひかり474号】グリーン車 700系
静岡 着 17:32 乗り換え
静岡 発 17:40 特急【(ワイドビュー)ふじかわ11号】普通車指定席
清水 着 17:49 この日は清水泊

旅のメモ

観光の問合せ
■清水:静岡市清水駅前観光案内所
TEL. 054-367-9613

秋の「旬」コラム(4)戻り鰹

 春から初夏に「初鰹」として食卓にのぼるカツオ。黒潮に乗って夏場にかけて三陸の海まで北上し、秋口になると反転、「戻り鰹」となって南下を始める。  春はあまり脂ものっていなく、さっぱりした味わいが爽快なカツオ。それが「天高く馬肥ゆる秋」は、馬ならぬカツオも魚体が大きくなって脂のりもアップ、「戻り鰹」ではその濃厚な味わいが最大の魅力となる。
 またの名を「トロ鰹」ともいう「戻り鰹」。脂のりは背中側よりも腹側のほうがよく、この「トロ鰹」が好物という方も!
 カツオの食べ方としては、一般に「初鰹」はサッと火を通したタタキがおいしく、「戻り鰹」は刺身に向くと言われている。一方、カツオ料理の本場、高知のように、スライスした多めのニンニクと一緒に食べても刺激的で旨い。

秋に南下を始めたカツオは脂がのっている。まるでトロのような味わいをお寿司でどうぞ

5日目|素敵な富士山を眺め東北は盛岡へ前沢牛ハンバーグステーキを堪能|東海道本線・東海道新幹線[清水⇒静岡⇒東京]/東北新幹線[東京⇔盛岡]

  • 駿河湾越しの富士見ができる清水。この時は猫の次郎長さんもやってきた(写真は冬場のもの)

  • 清水では駿河湾の地魚を盛り込んだお寿司も旨い。マグロもいいが駿河湾のアジもまた絶品

  • 従来からの東海道新幹線N700系は、さらなる改良を加え「N700A」に進化。「A」が誇らしげだ

  • 北へ向かって走る東北新幹線の主役、E5系「はやぶさ」。メタリックな顔も今はおなじみに

  • 盛岡で味わった岩手の銘柄牛、前沢牛ハンバーグステーキ。上質な肉ゆえの素敵なおいしさ

  • 素敵なフルムーンを締めくくるE5系グリーン車の快適な座席。東京までくつろぎの時間を

 清水で迎えた5日目の朝。最終日は午前中を清水で過ごし、やはり名物のお寿司をお昼に味わってから盛岡へ。

 晴れて世界遺産となった名峰、富士山。同じく世界遺産に選ばれた三保の松原もある清水では、あちらこちらから富士見が楽しめる。駿河湾越しの富士山など、まさに絶景中の絶景だ。

 東海道新幹線の車窓も飾る富士山。深まりゆく秋とともに雪をいただき、富士山はより富士山らしい姿を見せる。東京へ向かう「ひかり」グリーン車では、ぜひCD席の予約を。天気が良ければ新富士駅付近で清水とは一味違う絶景が広がる。

 東京駅で大きな荷物をコインロッカーに預け、身軽な装いとなって盛岡へ東北新幹線「はやぶさ」に乗って行こう。

 最高速度320km/hで走行しているとは思えないほど静かで乗り心地の良いE5系グリーン車。この「はやぶさ」にはグリーン車のさらに上を行くグランクラスもある。フルムーンパスでグランクラスを利用する場合、乗車券部分のみが有効となり、別途、特急券とグランクラス券を購入すればよい。グランクラスで、もっと素敵なフルムーンもどうぞ。

 盛岡にはちょうど夕食時に到着する。現代のフルムーン世代にとって、子供の頃、夕食のご馳走といえばハンバーグステーキだったという方も多いのでは。ハンバーグステーキは、いわば思い出グルメ。旅の最後の夕食は地元銘柄牛の前沢牛ハンバーグステーキを味わってみよう。とろけるようなハンバーグステーキとともに、懐かしい思い出の数々も素敵に甦ってくる。

5日目●乗車距離:1262km 運賃・料金合計2人分:90,960円
【個別区間(列車)ごとの運賃・料金と乗車距離】
清水~静岡:@240円(乗240円)乗車距離11.2km
静岡~東京:@8,580円(乗3,350円 特グ5,230円)乗車距離180.2km
東京~盛岡:@18,330円(乗8,420円 特グ9,910円)乗車距離535.3km ※「はやぶさ」の運賃・料金
盛岡~東京:@18,330円(乗8,420円 特グ9,910円)乗車距離535.3km ※「はやぶさ」の運賃・料金
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

素敵なフルムーン 5日目

5

発着駅 時間 メモ
盛岡で前沢牛ハンバーグステーキ
~ N700系、E5系に乗車 ~
清水 発 13:19 東海道本線 普通
静岡 着 13:30 乗り換え
静岡 発 13:37 東海道新幹線【ひかり466号】グリーン車 N700系
東京 着 14:40 乗り換え
東京 発 15:20 東北新幹線【はやぶさ25号】グリーン車 E5系
盛岡 着 17:33 前沢牛ハンバーグステーキの夕食
盛岡 発 19:50 東北新幹線【はやぶさ36号】グリーン車 E5系
東京 着 22:04 旅の終わり

旅のメモ

観光の問合せ
■盛岡:いわて・盛岡広域観光センター(JR盛岡駅2階)
TEL. 019-625-2090

秋の「旬」コラム(5)新米

 日本にとって欠かすことのできない大切な作物、米。秋の「旬」コラム、最後はやはり新米を取り上げてみたい。
 実りの季節だけに、美味なる食べものは数知れず。しかし、秋の味覚といえば新米が一番という「お米派」の方もいっぱいいる。
 日本を代表する銘柄といえば、新潟県魚沼地区で収穫されたコシヒカリをはじめ、ひとめぼれ(宮城ほか)、つや姫(山形ほか)、あきたこまち(秋田ほか)などなどがある。そして、ここ最近は、ゆめぴりかを筆頭に北海道産の米もおいしくなったといわれている。戦国時代さながら、群雄割拠の様相を見せる銘柄米競争。熊本からはネーミングが面白い「森のくまさん」も頭角を現しつつある。
 秋、鮭やイクラや秋刀魚や戻り鰹をおかずに、新米を思いっきり食べてみよう。

この頃、日本各地のお米は一段と美味になったように思う。写真は北海道産「ゆめぴりか」

<東京発 秋のステキなフルムーンの運賃・料金総額、総乗車距離>
運賃・料金総額:313,780円 (2名分合計 通常期で算出)※伊勢鉄道線を含む 
総乗車距離:4157.6km ※運賃計算キロ ※伊勢鉄道線を含む
JR運賃・料金総額:311,740円(2名分合計 通常期で算出)
JR総乗車距離:4113km ※運賃計算キロ
お得になった金額:228,940円(JR運賃・料金総額-フルムーン夫婦グリーンパス料金[5日間一般用82,800円])
乗車倍率:3.76倍 (JR運賃・料金総額÷フルムーン夫婦グリーンパス料金 [5日間用 82,800円] )
※運賃計算キロは、JR東日本のサイト、えきねっと「乗換・運賃案内」で表示のものです。

● 旅人(著者)紹介 相澤秀仁&相澤京子

写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で4巡している。これまでに140日以上フルムーンパスでの旅をし、JR路線も約13万キロ乗車。著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』、『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。
また、英語クロスワードパズルを新聞に17年に渡って連載。
夫婦旅ブログ http://fullmoon.aizawa22.com

 

文・撮影:相澤秀仁&相澤京子
※掲載されているデータは平成27(2015)年8月25日現在のものです。
※時刻等は、時刻表8月号、えきねっと「乗換・運賃案内」、JRおでかけネット「マイ・ダイヤ」等のものを使用。
※時刻は臨時に変更となる場合があります。
※運賃例は、全JRが通常期の2015年9月4日付で算出。

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