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新幹線温泉三昧フルムーン~快適グリーン車で名湯めぐり4336kmの極楽旅行~

  • ●1日目|盛岡にてランチ花巻温泉郷滞在
  • ●2日目|宇都宮で餃子を越後湯沢温泉へ
  • ●3日目|熊谷に立ち寄り熱海温泉へ行く
  • ●4日目|熱海から九州へ玉名温泉に宿泊
  • ●5日目|鹿児島へ寄り道お昼を食べ帰京

3日目|越後湯沢から海一望の熱海温泉へお昼は熊谷で下車し地粉うどんを|上越新幹線[越後湯沢⇒熊谷⇒東京]/東海道新幹線[東京⇒熱海]

  • 越後湯沢駅の西口(新幹線口)。温泉街はもう駅前から続いており、まさに温泉直結型の駅

  • 唯一のオール2階建て新幹線E4系のグリーン車。眺望抜群の2階にあり窓は広くシートも大柄

  • これが地粉の「熊谷うどん」。つるりモチモチの麺を具だくさんのつゆにからめていただく

  • 熱海駅に進入する東海道新幹線N700系。熱海は東京から「こだま」で50分弱と行きやすい

  • 海辺の温泉地、熱海。市内には海一望の貸切露天風呂を持つ宿も。夫婦のんびり湯に浸ろう

  • 熱海の宿では豪勢な舟盛り付き宿泊プランもおすすめ。相模湾のアジなど海の幸が一堂に!

 花巻温泉郷、越後湯沢温泉に続き、旅の3日目は趣を変え、新鮮な海の幸を求め海辺の一大温泉地、「東洋のモナコ」こと熱海へと向かう。

 昭和の一時代、人気の新婚旅行先になっていた熱海。東海道新幹線は開業当初より当地に駅を有し、今でこそ各地の温泉地に新幹線駅ができてきたものの、いわば熱海は新幹線温泉駅の元祖。日本の大動脈、東海道新幹線はビジネス路線の顔のみならず「温泉新幹線」の顔も持っている。

 『雪国』の舞台、越後湯沢から、『金色夜叉』の舞台、熱海へ。途中、いつもなら通過しがちな埼玉県の熊谷でランチ下車。知る人ぞ知る小麦の産地、熊谷はさしずめ新幹線のうどん駅。地粉を用いた「熊谷うどん」をスルスルと味わってみたい。

 温泉足湯が駅前にあっていかにも賑やかな雰囲気の熱海。泉質は塩化物泉が多く、市内には宿泊施設が100軒以上もある。商店街で早速、温泉まんじゅうを買い求め、ハネムーン気分でお好みの宿へ。せっかくだから海を望む客室といこう。

 昭和40年代にかけての高度経済成長期、大勢の団体客がやってきた熱海。やがて個人旅行が増加する時代となり、熱海でも個人客のニーズに合わせて貸切露天風呂や露天風呂付き客室を備えた宿が増えてきた。大浴場もいいけれど、やはり誰にも邪魔されずに湯浴みができる貸切風呂のほうがうれしい。

 目の前の海、相模湾といえばアジが美味。夕食は伊豆のアワビなどと共に豪華な舟盛りでいただく。そして一休みの後、再び徳川家康も愛した熱海の湯に浸ろう。

3日目●乗車距離:303.8km 運賃・料金合計2人分:35,120円
【個別区間(列車)ごとの運賃・料金と乗車距離】
越後湯沢~熊谷:@6,920円(乗2,270円 特グ4,650円)乗車距離134.5km
熊谷~東京:@4,220円(乗1,140円 特グ3,080円)乗車距離64.7km
東京~熱海:@6,420円(乗1,940円 特グ4,480円)乗車距離104.6km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

新幹線温泉三昧フルムーン 3日目
3

発着駅 時間 メモ
越後湯沢から熱海へ
(熱海温泉泊)
~ E4系・E7系・W7系・N700系に乗車 ~
越後
湯沢 発
11:31 上越新幹線【Maxたにがわ410号】グリーン車 E4系

(平成28年3月26日のダイヤ改正後は、越後湯沢11時30分発)

熊谷 着 12:20 ランチタイム
熊谷 発 13:16 北陸新幹線【あさま614号】グリーン車 E7系・W7系

(平成28年3月26日のダイヤ改正後は、熊谷13時33分発【あさま616号】E7系・W7系で東京14時12分着)

東京 着 13:56 乗り換え
東京 発 14:26 東海道新幹線【こだま663号】グリーン車 N700系
熱海 着 15:14 この日は熱海温泉泊

旅のメモ

観光の問合せ
■熊谷:熊谷市観光協会 TEL. 048-524-1111
■熱海:熱海市観光協会 TEL. 0557-85-2222

北海道新幹線で行こう!まるまる函館ガイド(3)温泉

 港町、函館は実は温泉地としても知られている。なかでも函館駅前から路面電車で30分ほどの海辺にたたずむ湯の川温泉が有名だ。
 津軽海峡に浮かぶ漁船の漁り火も見える湯の川温泉は歴史が深く、開湯は17世紀頃だとか。明治18年(1885)には浴場ができ、大正2年(1913)には市街地から温泉場までを路面電車が結ぶようになった。
 交通至便な湯の川温泉は以来、発展を遂げ、現在では和風旅館から大型ホテルまでが建ち並んでいる。
 湯の川温泉の泉質は塩化物泉で、貸切風呂や露天風呂付き客室を備えた宿もあってフルムーン旅行にも好適と思う。
 他方、やはり駅前から路面電車で行ける谷地頭温泉も根強い人気がある。こちらは日帰り温泉で、泉質は鉄分を含んだ茶褐色のナトリウム・塩化物泉。

津軽海峡を望む海辺に位置する函館、湯の川温泉。気分爽快な露天風呂で癒しのひと時を

4日目|熱海から一路、熊本は玉名温泉へ名湯に浸り名物の馬肉料理に満足|東海道・山陽新幹線[熱海⇒三島⇒岡山]/山陽・九州新幹線[岡山⇒久留米⇒新玉名]

  • 熱海の宿で朝食といえば干物はやはりアジの開き。目の前で焼けば食欲をそそる香りが広がる

  • 東海道・山陽新幹線N700系のグリーン席。2人掛けのペアシートはフルムーン旅行にぴったり

  • 関ヶ原の古戦場を東海道新幹線は駆け抜けていく。ここで天下分け目の戦いが繰り広げられた

  • 久留米駅に入線する九州新幹線800系「つばめ」。新玉名駅は近く、ほんの20分で到着する

  • 玉名温泉の宿、半露天風呂付き客室に宿泊。木漏れ日がさす部屋の風呂は源泉かけ流しだ

  • 玉名温泉のある熊本県は馬肉料理が名物。夕食の「馬肉のたたき」はすっきりとした味わい

 関ヶ原の合戦前にも熱海で入湯したと伝えられる徳川家康。4日目は東海道新幹線の車窓にゆかりの地を眺め、山陽新幹線、九州新幹線と乗り継いで九州まで旅をしよう。

 西へ行く東海道新幹線。グリーン車の座席は、できれば海側(AB席)ではなく進行方向右側の山側(CD席)を予約。山側席なら富士山ビューに加え、家康の足跡も容易に見て取れる。

 新幹線は彼が最晩年を過ごした静岡、今川氏を倒して手に入れた掛川城のある掛川、30代を生きた浜松と駆け抜けていくが、いずれも城は山側に位置し、このうち再建された掛川城は車窓から見える。また、家康が築いた名古屋城は山側にあり、名古屋を発車すれば、信長と家康が同盟を結んだ清洲城(模擬天守)も山側に見える。岐阜羽島駅を過ぎ、ほどなくすると新幹線は天下分け目の戦いといわれた関ヶ原の合戦場跡へ。

 トンネルが比較的少なく景色がよく見渡せる東海道新幹線は歴史新幹線と言いたいほど。戦国時代の日本史の授業を見ているようだ。

 岡山で山陽・九州新幹線「さくら」に乗り換えて九州に入り、久留米でもう一度乗り換えて熊本県の新玉名に到着。

 九州新幹線は温泉とはあまり関係なさげに思われそうだが、阿蘇山そびえる熊本県は「火の国」と称され、各地に名湯が湧いている。新幹線駅の新玉名もまさしく温泉駅で、玉名温泉の玄関になっている。

 美人の湯で名高い玉名温泉は泉質は単純温泉。半露天風呂付き客室を備えた隠れ家のような宿があり、フルムーン旅行にぴったり。熊本名物の馬肉料理にも満足し、くつろぎの夜が更けていく。

4日目●乗車距離:1160.7km 運賃・料金合計2人分:95,480円
【個別区間(列車)ごとの運賃・料金と乗車距離】
熱海~三島:@3,330円(乗320円 特グ3,010円)乗車距離16.1km
三島~岡山:@21,380円(乗9,610円 特グ11,770円)乗車距離612.2km
岡山~久留米:@19,670円(乗7,950円 特グ11,720円)乗車距離477.7km
久留米~新玉名:@3,360円(乗1,110円 特指2,250円)乗車距離54.7km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

新幹線温泉三昧フルムーン 4日目
4

発着駅 時間 メモ
熱海から、九州は玉名へ
(玉名温泉泊)
~ N700系・800系に乗車 ~
熱海 発 9:15 東海道新幹線【こだま639号】グリーン車 N700系
三島 着 9:22 乗り換え
三島 発  9:48 東海道・山陽新幹線【ひかり465号】グリーン車 N700系
岡山 着 13:20 乗り換え
岡山 発 13:46 山陽・九州新幹線【さくら557号】グリーン車 N700系
久留米 着 15:53 乗り換え
久留米 発 16:04 九州新幹線【つばめ331号】普通車指定席 800系
新玉名 着 16:24 この日は玉名温泉泊

旅のメモ

観光の問合せ
■玉名:玉名市 観光ほっとプラザ たまララ(JR新玉名駅構内) TEL. 0968-57-9663

北海道新幹線で行こう!まるまる函館ガイド(4)グルメ

 横浜や神戸などと共に幕末に開港した函館。貿易を通じ、函館にも外国のさまざまな文化がやってきた。食べものもしかりで、明治初期には西洋料理がもうこの地で開花。今も歴史あるレストランが営業を続けており、伝統のカレーを味わってみるのもおすすめだ。
 一方、函館は漁業も盛んで、なんといってもイカが一大名物に。イカ刺し、イカソーメン、イカポッポ焼きとお好みで。そして、イカをはじめとした海の幸を盛り込んだ海鮮丼もおいしい。
 北海道と聞くとやはり思い浮かぶのはラーメン。札幌の味噌、旭川のしょう油に対し、函館には塩ラーメンが定着。すっきり澄み切ったスープはハイカラな感じがする。
 中華風の流れでいえば、ご当地バーガーで評判の「チャイニーズチキンバーガー」もご賞味あれ。

海の幸の宝庫、函館。駅すぐそばの函館朝市でも各種の海鮮丼がお手頃価格で食べられる

5日目|東京への帰路はお好みのコースで鹿児島に行き美食散歩もおすすめ|九州新幹線[新玉名⇒熊本⇒鹿児島中央]/九州・山陽・東海道新幹線[鹿児島中央⇒新大阪⇒東京]

  • 玉名温泉の最寄駅は九州新幹線の新玉名駅(写真)と在来線の玉名駅。温泉街は両駅から近い

  • 九州新幹線800系はグリーン車こそないものの、普通車は2席+2席の横4席で広々とした雰囲気

  • 鹿児島のシンボル、桜島。市内中心部の目と鼻の先、錦江湾にそびえる雄姿に圧倒される

  • 鹿児島でランチに食べた地鶏「黒さつま鶏」。握り寿司やたたき、炭火焼きなど召し上がれ

  • 鹿児島中央駅で出発の時を待つN700系「さくら」。終点の新大阪には4時間ちょっとで着く

  • 座り心地抜群のN700系「さくら」グリーン席。電動リクライニングをはじめ至れり尽くせり

 九州新幹線(鹿児島ルート)の全線開業により、ぐっと便利になった九州の旅。旅の最終日はフリープラン。それぞれのご夫婦お好みのコースで東京へお帰りを。

 博多に立ち寄ったり、大宰府や柳川の探訪、そして、九州一の名城、熊本城に登ったり、日本最南端の新幹線終着駅、鹿児島中央まで行ってみるプランもいいだろう。このモデルコースでは熊本プランと鹿児島プランをご案内。

 玉名温泉ではのんびり朝湯に浸り、宿のチェックアウトは遅めにしよう。九州新幹線で新玉名のお隣、まずは熊本へ移動。乗車時間わずか10分弱で到着する。

 熊本プランの方はここで下車を。駅前からは路面電車が出ていて市内観光に便利だ。熊本での滞在はおよそ5時間。お城に水前寺成趣園の散策、ご当地グルメのランチもOK。

 さて、鹿児島コースの方は熊本で後続の「さくら」に乗り換えて南下。新幹線は速く、1時間もしないうちに鹿児島中央に着いてしまう。

 熊本と同じく鹿児島も路面電車が走る街。繁華街の天文館まで10分ほどだ。鹿児島での滞在時間は約3時間だが、ランチを食べ、西郷隆盛の銅像と記念写真を撮ったり、あるいはドルフィンポートで桜島を眺めたりと、南国時間を思い思いに過ごしてみたい。

 フル規格新幹線でめぐる極楽温泉フルムーン。快適なグリーン車が利用でき、シニア世代のご夫婦も疲れ知らずの旅ができると思う。ただ、フルムーンパスには利用できない期間(春では3月21日~4月5日、4月27日~5月6日)があり、その他の注意点を含め、ご確認だけはどうぞ怠りなく。

5日目●乗車距離:1662.3km 運賃・料金合計2人分:121,320円
【個別区間(列車)ごとの運賃・料金と乗車距離】
新玉名~熊本:@2,310円(乗560円 特指1,750円)乗車距離28.0km
熊本~鹿児島中央:@8,480円(乗3,240円 特グ5,240円)乗車距離170.5km
鹿児島中央~新大阪:@30,950円(乗12,090円 特グ18,860円)乗車距離911.2km
新大阪~東京:@18,920円(乗8,750円 特グ10,170円)乗車距離552.6km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

新幹線温泉三昧フルムーン 5日目

5

発着駅 時間 メモ
お好みプランで観光し、帰京
~ 800系・N700系・700系に乗車 ~
新玉名 発 10:54 九州新幹線【つばめ319号】普通車指定席 800系
熊本 着 11:03 乗り換え(熊本観光の方は下車)
熊本 発 11:20 九州新幹線【さくら547号】グリーン車 N700系
鹿児島
中央 着
12:07 ランチ&プチ観光
鹿児島
中央 発
15:01 九州・山陽新幹線【さくら562号】グリーン車 N700系
熊本 発 15:58 (熊本観光の方は上記列車に熊本駅からご乗車を)
新大阪 着 19:24 乗り換え
新大阪 発 19:40 東海道新幹線【ひかり482号】グリーン車 700系
東京 着 22:40 旅の終わり

旅のメモ

観光の問合せ
■熊本:熊本駅総合観光案内所(JR熊本駅構内) TEL. 096-352-3743
■鹿児島:鹿児島中央駅総合観光案内所(JR鹿児島中央駅構内) TEL. 099-253-2500

北海道新幹線で行こう!まるまる函館ガイド(5)おみやげ

 フルムーンパスが発売開始になった昭和56年(1981)頃、北海道みやげの定番といえば民芸品の「木彫りの熊」があった。ご記憶の方も多いと思う。当時の函館では駅前にみやげ物店が軒を連ね、「木彫りの熊」や名物の「いか徳利」等々が売られていた。
 それから時代が移り、函館みやげも様変わりの雰囲気。懐かしい味がする「トラピストクッキー」こそ変わらないものの、ここ20年ほど毎年、函館に出かけていて気づくのは、地元産の昆布製品が台頭してきていること。
 特に注目なのは函館周辺でのみ獲れる特産の「がごめ昆布」。希少な天然物で、「フコイダン」を豊富に含み、刻んで食べる際の粘りやとろみがなんともうまい。
 健康や美容にも良いといわれる「がごめ昆布」。函館の地元特産のおみやげとして、ぜひお見知りおきを。

函館で購入した地元産「がごめ昆布」のおみやげ。ぬるま湯に浸すと納豆みたいによく粘る

<東京発 新幹線温泉三昧フルムーンの運賃・料金総額、総乗車距離>
運賃・料金総額:349,000円 (2名分合計 通常期で算出)※このコースはすべてJR線を利用
総乗車距離:4336km ※運賃計算キロ ※このコースはすべてJR線を利用
JR運賃・料金総額:349,000円(2名分合計 通常期で算出)
JR総乗車距離:4336km ※運賃計算キロ
お得になった金額:266,200円(JR運賃・料金総額-フルムーン夫婦グリーンパス料金[5日間一般用82,800円])
乗車倍率:4.21倍 (JR運賃・料金総額÷フルムーン夫婦グリーンパス料金[5日間一般用82,800円])
※運賃計算キロは、JR東日本のサイト、えきねっと「乗換・運賃案内」で表示のものです。

● 旅人(著者)紹介 相澤秀仁&相澤京子

写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で4巡している。これまでに140日以上フルムーンパスでの旅をし、JR路線も約13万キロ乗車。著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』、『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。
また、英語クロスワードパズルを新聞に17年にわたって連載。
夫婦旅ブログ http://fullmoon.aizawa22.com

 

文・撮影:相澤秀仁&相澤京子
※掲載されているデータは平成28年(2016)2月5日現在のものです。
※時刻等は、時刻表2月号、えきねっと「乗換・運賃案内」、JRおでかけネット「マイ・ダイヤ」等のものを使用。
※運賃例は、全JRが通常期の平成28年(2016)3月14日付で算出。

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