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1泊2日で北の大地へ!北海道新幹線で行く「春旅」
北海道新幹線(新青森~新函館北斗間)、2016年3月26日開業!!
 昭和62年の完成時から新幹線規格で建設されていた青函トンネル。長い年月を経て、遂に新幹線がそのトンネルを抜け、北海道へと到達した。 車両は、JR東日本のE5系と基本仕様を同じくするH5系。「グランクラス」(写真)は、幾何学的な模様の青色のカーペットで津軽海峡・函館湾を表現。グリーン車は、乳製品をイメージさせるクリーム色の壁と流氷の海明けをデザインしたカーペット、普通車は木目を取り入れた壁と天井や雪の結晶をアクセントにした通路部のカーペット、といった具合に随所に北海道らしさが光る。
 新函館北斗~函館間には、新幹線アクセス列車「はこだてライナー」を新設。函館~札幌間を結ぶ特急「スーパー北斗」「北斗」も全列車、新函館北斗駅に停車し、新函館北斗駅はまさに北の大地の起点駅になった。
 もちろん道内だけでなく、奥津軽いまべつ駅が誕生する津軽半島も非常に便利に。太宰治の生家「斜陽館」など魅力的な観光地が豊富なので、あわせてチェックしたい。
PLAN1[新函館北斗駅から]函館へ瀟洒な修道院や教会をめぐり路面電車を撮影 PLAN2[名古屋発]海の京都へ|観音様を拝んで心身美しくなり紅葉を堪能

雄大な自然のなかに佇む「トラピスト修道院」。赤レンガの建物は明治41年(1908)に建てられたもの

きじひき高原パノラマ展望台からの眺望。昨年4月には屋内展望台もオープンした

函館まちあるき「きらめきのライトアップ教会編」コースは、函館ハリストス正教会(写真)など7つの建造物をめぐる

大正5年(1916)築、ペパーミントグリーンの相馬株式会社社屋前を走る路面電車「箱館ハイカラ號」

函館へPLAN1[仙台発]特急「スーパー白鳥」で行く、美しくなる紅葉旅(1泊2日)東北新幹線、津軽線・津軽海峡線・江差線・函館本線
瀟洒な修道院や教会をめぐり洋館と路面電車の光景を撮影

 東京から最速で4時間2分、北海道新幹線の終着駅・新函館北斗駅に到着。函館本線の小さな駅だった渡島(おしま)大野駅が新幹線の開業と同時に生まれ変わった。北斗市内の名所「トラピスト修道院」へ続くポプラ並木をイメージした大きな柱が特徴的な駅だ。

 新函館北斗駅で駅レンタカーを借りたら、トラピスト修道院へ。駅内部の白い柱のポプラ並木も壮観だが、まっすぐに続くトラピスト修道院のポプラ並木は本当に素敵。ここで作られるバターやクッキーは有名な北海道みやげのひとつなので、直売店でのショッピングも楽しみだ。

 4月末以降の旅なら、「きじひき高原」への道路が開通(例年4月下旬)となるので、高原ドライブを楽しもう。「パノラマ展望台」はその名の通り360度の大パノラマが自慢で、巨大な弧を描く北海道新幹線の高架橋や大沼公園、北海道駒ヶ岳、遠くには羊蹄山(ようていざん)や噴火湾も望める。同じ函館ブロックで乗り捨て料金もかからないので、そのままレンタカーで移動し、函館駅で返却しよう。

 函館の町並みをより深く楽しんでもらうため、函館市では「函館まちあるき」を実施中で、25コースの「函館まち歩きマップ」を発行している。いずれも魅力的なコースだが、今回は「きらめきのライトアップ教会編」コースをめぐり、函館の瀟洒(しょうしゃ)な雰囲気を思い切り堪能しては。ガイドさんに案内してもらえるコースもあるので予約して、2日目の旅の行程に組み込むのもいいだろう。

 鉄道好きなら、2日目の函館で楽しみたいのが路面電車の撮影。洒落た洋館の多い函館には、路面電車の線路沿いにも洋館が点在している。そこかしこで、洋館と路面電車の取り合わせをカメラに収められる。しかも函館市電の車両は、30形の「箱館ハイカラ號」などそれぞれに魅力がある。撮影に満足したら、函館駅から「はこだてライナー」で新函館北斗駅に戻り、帰路につこう。

1泊2日 旅のスケジュール

★1日目
東京駅→(北海道新幹線「はやぶさ」)→新函館北斗駅→(駅レンタカー)→トラピスト修道院→(駅レンタカー)→きじひき高原→(駅レンタカー)→函館駅→(徒歩)→函館まちあるき「きらめきのライトアップ教会編」コース→函館泊

★2日目
函館まちあるき(別コースなどで散策)路面電車撮影→(徒歩)→函館駅→(はこだてライナー)→新函館北斗駅→(北海道新幹線「はやぶさ」)→東京駅

観光の問合せ

北斗市観光協会 TEL.0138-74-3566
函館国際観光コンベンション協会 TEL.0138-27-3535

カニを使った駅弁は各地で発売されているが、元祖は長万部「かにめし本舗かなや」の「かにめし」

函館本線・室蘭本線の分岐点として栄えた長万部の歴史を伝える長万部町民センター「鉄道村」

石灰華ドームが見られるのは、世界でアメリカのイエローストーン国立公園マンモス温泉群と二股らぢうむ温泉の2カ所のみ

有珠山ロープウェイ山頂駅からすぐの洞爺湖展望台からの眺め。約11万年前の噴火でできた洞爺湖の青い湖面が美しい

長万部・洞爺湖へPLAN2[新函館北斗駅から]北海道新幹線、函館本線・室蘭本線
生ける地球の恩恵である温泉や火山など迫力あふれる自然を体感

 北海道新幹線開業と同時に新函館北斗駅に乗り入れる特急「スーパー北斗」「北斗」。まずは長万部へ向かい、名物の「かにめし」でランチ。駅弁のかにめしがなんといっても有名で、町内には「かにめし」弁当を販売する店が多数あるが、現地を訪れたらホカホカのできたてを食べてみよう。

 腹ごしらえを済ませたら、駅から徒歩12分ほどの「長万部町民センター」へ。「郷土資料室」と、長万部の元鉄道職員から寄贈された鉄道グッズを展示する「鉄道村」とがある。鉄道村の一押しは実際に展示物に触れられること。計器類や信号、踏切の非常ボタンなど、自分の手で操作してみることができる。鉄道模型をマスコンで動かすこともでき、入館料も含めてすべて無料なのもうれしい。

 宿泊は火山の恩恵である温泉宿に。洞爺湖に移動して洞爺湖温泉に泊まるのもいいし、「二股らぢうむ温泉」もいい。石灰岩に何万年もかけて湯の華が堆積してできた放射性石灰華ドームがみごとで、周囲の自然や巨大なドームを眺めながらの露天風呂入浴がたまらなく心地いい。長万部駅から車で30分ほどかかるが、宿泊者は送迎してもらえる。

 北の大地の温泉で寛いだ翌日は、「有珠山ロープウェイ」に乗り、火山の迫力を体感しに行こう。山頂駅のすぐ右手にある洞爺湖展望台から望む昭和新山や洞爺湖は圧巻。左手に歩いて7分ほどの火口原展望台からは、大有珠山、小有珠山、新有珠山を間近に展望でき、ゴツゴツとしたむき出しの溶岩から水蒸気が昇るさまは、地球の生命を感じる眺めだ。5〜12月は「外輪山遊歩道」が開通するので、トレッキングを楽しみたい。外輪山展望台まで往復約2時間。昭和52年の山頂噴火で誕生した銀沼大火口など、噴火の威力を目の当たりにできる。

 洞爺湖・有珠山エリアは「洞爺湖有珠山ジオパーク」として「世界ジオパーク」に認定され、散策路・フットパスが12コース設定されている。世界的に貴重な地質遺産を間近に味わってみよう!

1泊2日 旅のスケジュール

★1日目
東京駅→(北海道新幹線「はやぶさ」)→新函館北斗駅→(特急「北斗」)→長万部駅→(徒歩)→駅近くのかにめし店→(徒歩)→長万部町民センター→(徒歩)→長万部駅→(送迎車)→二股らぢうむ温泉泊

★2日目
二股らぢうむ温泉→(送迎車)→長万部駅→(室蘭本線)→洞爺駅→(バス)→洞爺湖温泉→(バス)→昭和新山→(有珠山ロープウェイ)→山頂駅→外輪山遊歩道散策など→(有珠山ロープウェイ)→山麓駅→(バス)→洞爺湖温泉好みの散策路・フットパスコースを散策→洞爺駅→(特急「北斗」)→新函館北斗駅→(北海道新幹線「はやぶさ」)→東京駅

観光の問合せ

長万部観光協会 TEL.01377-6-7331
洞爺湖温泉観光協会 TEL.0142-75-2446

文=大友康子
写真提供=長万部観光協会
※掲載されているデータは2016年2月現在のものです。

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