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冬こそ出会える“京と”の“ほんと”其の二|桜の京都は美しい。紅葉の京都も艶やかだ。けれど、冬の京都は寺宝の特別公開や雪景色の庭、冬こそおいしい漬け物や湯豆腐、冬季限定の体験など、この時期ならでは楽しさがいっぱい。そんな、山眠る季節の京の魅力が詰まった旅をおとどけします。ページ最後では定期観光バスや各種体験プランを扱うHPもご紹介!

冬の京都を巡るモデルコース

京の冬の旅 非公開文化財を特別公開中!
普段は見学できない庭園、建築、襖絵、仏像に加え、NHK大河ドラマ『平清盛』放映記念として平家ゆかりの寺宝、そして今年の干支「辰」にちなみ「龍」に会える寺院といった今年ならではの文化財などを、期間限定で特別公開!
期間 ●平成24年1月7日(土)~3月18日(日)
公開時間●10:00~16:00(受付終了)
料金●1カ所600円
*寺社により拝観期間・時間・料金が異なる場合もあります。また、法要等によって拝観期間・時間が変更の場合もあります。最新情報は下記HPまで。
http://www.kyokanko.or.jp/huyu2011/2011huyutabi_1.html

妙心寺隣華院 金泥を引いた上に墨で四季の風景を描いた『水墨山水図』。禁裏御用絵師・狩野永岳の華麗で緻密な障壁画も、つい見入ってしまう。方丈の前には、枯山水の庭園も。10:00~16:00受付終了、特別公開期間は無休。600円

妙心寺玉鳳院 狩野安信(やすのぶ)筆といわれる方丈の『竜図』は、構図や龍の表情がド迫力。「微笑庵」の枯山水庭園には妙心寺開山・関山慧玄(かんざんえげん)が側で入滅したとされる井戸も。10:00~16:00受付終了、2月7日午前・11日14:00~・3月11日14:00~休。600円

東寺観智院 本堂のご本尊は、獅子や孔雀などの背に乗った「五大虚空蔵菩薩像」。弘法大師が唐から帰国した際の航海の様子をあらわした枯山水「五大の庭」もお見逃しなく。9:00~16:00受付終了、特別公開期間は無休。600円

東福寺三門 室町時代初期の建立。重層入母屋造りの立派な構えは、棟高22mという大きさとあいまって堂々たる佇まい。楼上には室町幕府4代将軍・足利義持の筆による額も。10:00~16:00受付終了、特別公開は2月29日まで。600円

■観光の問合せ

 京都市観光協会●TEL.075-752-0227

永く古都の歴史を紡いできた文化財にうっとり 国宝と障壁画 旅の贅沢フルコース 京都市

通常非公開の寺院4つを巡るこの旅では、室町時代まで歴史を遡る文化財や寺宝も鑑賞できるとあって、胸が高鳴りっぱなし。洛西で最初に訪ねたのは、妙心寺塔頭(たっちゅう)で、豊臣秀吉に仕えた武将・脇坂安治が慶長4年(1599)に創建した隣華院。見どころは美しい障壁画で、桃山時代を代表する絵師・長谷川等伯(とうはく)筆の『水墨山水図』や京狩野派の絵師・狩野永岳(えいがく)の作品などが方丈を華やかな空間に演出する。

続いても、妙心寺塔頭の玉鳳院へ。方丈は狩野派の襖絵で飾られ、その奥には花園法皇像を安置した昭堂(しょうどう)がある。方丈と渡り廊下で繋がる開山堂「微笑(みしょう)庵」(重文)は同寺最古の建物で、室町時代の中期の唐様建築が重厚な雰囲気。

洛南に移動したら、東寺の塔頭の中でも第一とされ、別格本山の格式を持つ観智院を参拝しよう。真言宗の学びの場=勧学院だった観智院の客殿は、江戸時代初期に再建された国宝。武家風書院造で、上段の間では宮本武蔵筆の水墨画を鑑賞可能。床の間の『鷲の図』、襖の『竹林図』の力強い筆運びを見て、「天は二物を与えたか」と唸る。

旅のシメは東福寺。お目当ての三門は日本最古にして、禅宗寺院三門としては最大! 通常非公開の楼上内部には、光背(こうはい)が神々しい宝冠釈迦如来像を安置するほか、天井には画僧・明兆(みんちょう)らの筆による極彩色の天女などの絵が残る。屋根裏の秘密基地じゃないけれど、こんな素敵な寺宝が楼上内部に隠されていたとは!

龍は仏法護持(ぶっぽうごじ)の神将の一つとして重んじられてきたため、法堂をはじめ禅宗の寺院で目にすることが多い。辰年にちなみ、京のお寺の龍を探す旅も面白いのでは。例えば、泉涌寺(せんにゅうじ)雲龍院の本堂では、しっかりとした筆運びで描かれた大迫力の襖絵『双龍風雷図』を特別公開。妙心寺三門の楼上内部の天井にも鮮やかな色彩で飛龍が描かれているほか(3月1日~18日公開)、東福寺龍吟庵(りょうぎんあん)にある枯山水の西庭「龍の庭」では、龍が昇天する姿を石組で表現!(2月29日まで公開)

日本最古の法堂建築でもある相国寺法堂の天井には、龍の姿が! 狩野光信筆の『蟠龍図(ばんりゅうず)』で、手を打つとカラカラと音が反響することから「鳴き龍」との呼び名も

体験で感じる古都その1 彫って、摺って、木版画絵ハガキをつくる|体験で感じる古都その2 京都・東山花灯路 2012

京都1200年の木版印刷技術を受け継ぐ木版摺りの「老舗手摺匠 竹中木版」が展開する「竹笹堂」にて開催。木版画教室の講師として活躍の森愛鐘さん指導のもと、木版画を彫って摺り、絵ハガキ作りを体験できる。
開催日は2~3月の第1・第3土曜。14:00~16:30頃。9000円(額装代・送料込)。予約は京のたしなみ推進協議会(TEL.080-3848-3293)へ電話。開催日の2週間前に締切
高台寺ほか名刹の多い東山周辺は、白壁や石畳など懐かしい雰囲気の色濃いところ。そんな東山エリアを通る約5kmの散策路や周辺が、約2500基のLED露地行灯やいけばな作品で彩られる、情緒溢れるイベント。オレンジ色の暖かな灯りが、古都の夜の風情を一層高める。TEL.075-212-8173(京都・花灯路推進協議会事務局)。3月10~20日の18:00~21:30(雨天決行)。散策無料
文:鈴木健太
写真協力:京都市観光協会、京都・花灯路推進協議会事務局
※掲載されているデータは平成24年1月現在のものです。

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