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『鉄道写真家・南正時が案内する ローカル線de昭和レトロ旅』平成の世になり早21年。「昭和」という言葉が郷愁を帯びた響きになってきました。激動の時代ではありましたが、一方で熱きパワーみなぎるよき時代でもありました。鉄道写真家・南正時さんが、そんな昭和の面影を探して今日も旅に出かけます。(写真・文=南 正時)

第弐回 モンローも! 阪妻も! 昭和にタイムスリップ(青梅線・東京都青梅市)

青梅線は立川~奥多摩駅間37.2kmを走るローカル線。ほぼ多摩川上流域に沿って走る風光明媚な路線です。沿線の青梅市は、青梅街道に沿って昭和の町並みが色濃く残り、レトロな町を観光面でアピール。鉄道にも昭和の雰囲気が多く残っています。

昭和の旅人・南 正時

1946年福井県武生市生まれ。鉄道写真家、旅エッセイスト。
鉄道写真を撮り、旅を続けて40年以上。『JR全路線』『昭和の鉄道風景』『寅さんが愛した鉄道』など鉄道書のほかに、全国の名水を訪ねた『ご利益のある名水』など著書多数。ラジオ、テレビの旅番組、コメンテーターとして出演も多い。日本旅行記者クラブ会員。

【南正時のホームページ】
http://homepage2.nifty.com/masatoki/

南正時のショーワ!な1枚「レトロ待合室に張られている往年の鉄道映画のポスター。昭和の鉄道を思い出さずにはいられない」(青梅駅ホームにて)

名画の看板絵や大衆食堂など、町が昭和ミュージアム

 東京駅から直通電車で約1時間10分。その名も「青梅特快」で青梅へと向かいます。立川から青梅線に入ると、JR東日本ご自慢の新型電車E233系もスピードダウン。ローカル線の風情が一気に漂ってきました。

 青梅駅に到着すると、駅ホームの待合室は木造のレトロな建物で、壁面には昭和30年代の古い映画の看板が掲げられています。新型電車との対比が面白く、昭和人にとっては懐かしい風景です。改札口への地下道にも映画の看板がギャラリーのように展示してあります。『大いなる旅路』『鉄道員』……などの鉄道映画もうれしく、その光景に思わず立ち止まってしまうほどです。

 さて、改札口を出てまず眺めてほしいのが青梅駅舎。鉄筋コンクリートながらレトロな雰囲気の昭和的ロマン漂う駅舎は、大正13年(1924)に青梅鉄道の本社として建てられたもので、今なお現役の駅舎として使われているものです。

 駅前から青梅街道に沿って歩くと、そこには昭和の懐かしい町並みが残り、商店街の軒先には往年の名画の看板絵が掲げられています。マリリン・モンロー、オードリー・ヘプバーン、ジョン・ウェインがいて、阪妻や市川右太衛門もいる。この風景が旧青梅街道の観光活性化につながったのです。

 漫画家の赤塚不二夫さんもこの風景に魅せられたひとりでした。平成15年秋、当地に「青梅赤塚不二夫会館」をオープンして町興しに協力。ここではバカボンやおそ松くんに出会えます。また、路地裏には昔ながらの中華そば屋があったり、大衆食堂があったり。それが青梅市民の生活に息づいていて、違和感はありません。

 また、鉄道ファンならずともぜひ訪れたいのが「青梅鉄道公園」です。昭和37年、当時の国鉄が鉄道開業90年記念事業の一環として開設したもので、屋外展示場にはD51やC11、E10形などの昭和の名機関車などが保存されており、館内にはブルートレインのヘッドマークも展示されています。

 そこかしこに「昭和」が薫る町。懐かしの時代に手軽にタイムスリップできる青梅は、町自体が“昭和ミュージアム”のようです。

インフォメーション

マップ

アクセス
青梅へは、東京駅から中央線青梅特快で約1時間10分の青梅駅下車。または東京駅から中央線中央特快で約40分の立川駅で青梅線に乗換えて約30分の青梅駅下車。
主な昭和スポット
青梅赤塚不二夫会館⇒青梅駅から徒歩約5分
昭和レトロ商品博物館⇒青梅駅から徒歩約5分
青梅鉄道公園⇒青梅駅から徒歩約15分
観光の問合せ
青梅観光案内所TEL.0428-20-0011
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ホームから改札口への地下道にも鉄道映画の看板が展示され、映画館のロビーさながらの雰囲気を醸し出している

青梅駅はコンクリート建築ながら大正末期のレトロ駅舎。昭和的ロマンを色濃くとどめている

昭和レトロ商品博物館内の駄菓子屋さん。店番をするのはお年寄りで懐かしさもひとしおのものがある

旧青梅街道に面して建つ昭和レトロ商品博物館と青梅赤塚不二夫会館。ここではバカボンやニャロメなど懐かしい赤塚キャラに会える

青梅鉄道公園には昭和の名車が保存展示されている。C11やD51、0系新幹線のほかにED16形機関車も保存されている

南正時の昭和☆みにこらむ

「ゲタ電」と「旧型機関車ED16」

 国電とは「国鉄電車」のこと。現役のオレンジ色の201系も「国電」だ。青梅線にはかつて旧型国電「ゲタ電」と呼ばれた電車が走っていた。下駄履きで気軽に乗れることからそう呼ばれていた昭和初期の電車で、車体がチョコレート色で車内は木造の雰囲気が漂っていた。青梅線にはクモハ40・72系電車などのゲタ電が活躍していたが、昭和53年に廃止された。このゲタ電と共に貨物列車を引いて活躍していたのが電気機関車ED16形。昭和6年に誕生した古豪機関車で、前後にデッキがあるスタイルが特徴だった。奥多摩地区で産出された石灰石輸送に携わっていたが、昭和58年に廃車され、現在「青梅鉄道公園」に1号機が保存されている。

ED16の引く列車とゲタ電と呼ばれた旧型国電が走っていた青梅線の懐かしい風景

イラスト:素材ダス

*掲載されているデータは平成21年5月現在のものです。

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