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はじめての寝台列車寝台特急「トワイライトエクスプレス」に乗ってみよう!大阪~札幌
大阪~札幌間、約1500km。日本で一番長い距離を走る寝台特急列車「トワイライトエクスプレス」。
多彩なニーズに応えるルームプラン、美しい沿線の風景、そして優雅な食の楽しみ……。
まさに“プレミアムトレイン”と呼ぶにふさわしい豪華寝台列車の旅にご案内しましょう。

サロンカー「サロンデュノール」は4号車。
2段床になった室内は全席から車窓の眺望が楽しめる

写真左=レストランカー「ダイナープレヤデス」でのディナータイムは、列車内にいることを忘れてしまうほどの至福のひととき
写真右=4号車にはシャワールームも。310円のシャワーカードを購入すれば利用できる(スイートとロイヤルは室内にシャワールームがある)

寝台列車「トワイライトエクスプレス」は、運転日限定のプレミアムトレイン

 みなさん、寝台列車の旅、楽しんでますか? 「北斗星」、「サンライズエクスプレス」と、人気の寝台特急をご紹介してきた「はじめての寝台列車」シリーズですが、今回バーチャル乗車いただくのは、寝台列車「トワイライトエクスプレス」。大阪~札幌間を日本海に沿って北陸から東北地方を縦断し、青函トンネルをくぐり、北の大地へと夢を運ぶ、日本一長い距離を走る豪華寝台特急列車です。

 スイートからBコンパートメントまでの多彩なルームプラン、フランス料理のフルコースディナーが楽しめるレストランカー、海側を向いたソファが並ぶサロンカーなど、その車内はまさにプレミアム。約22時間におよぶ長い旅路も、もっと乗っていたいと思ってしまうことまちがいなしの列車といえるでしょう。

 さて、この寝台列車「トワイライトエクスプレス」、“私の持っている時刻表には載っていないのだけど”、という人もいるかもしれません。それもそのはず、「トワイライトエクスプレス」は、「北斗星」や「サンライズエクスプレス」のように毎日運転される定期列車ではなく、曜日限定で運転するいわゆる臨時列車の仲間なのです。ですから、全国版の大型時刻表『JR時刻表』では本文ページに掲載されていますが、小型版の『コンパス時刻表』などでは、黄色の巻頭ページ「臨時列車ご案内」に掲載されています。こんなところにもますます特別な列車なんだという、プレミアム感が漂いますね。

 ちなみに、2013年2月現在の運転ダイヤは、札幌行きが大阪11時50分発・札幌9時52分着で、大阪発=月・水・金・土曜(2/1~13は毎日)、大阪行きが札幌14時05分発・大阪12時52分着で、札幌発=火・木・土・日曜(2/2~14は毎日)の運転となっています。

2室限定のスイートルームからBコンパートまで多彩な客室が旅を演出

寝台列車「トワイライトエクスプレス」の客車は、かつて“ブルートレイン”といわれた24系25形という寝台特急列車用の客車を、この列車専用にリニューアルしたものです。
最高級の2人用スイートルームから、気軽に利用できる2段式のB寝台まで多彩な客室が揃っています。ご夫婦や恋人同士からグループ旅行、そして一人旅まで、お好みの客室が選べるはうれしいですね。

寝台「スイート」 (寝台料金:1室5万980円)

1号車の車端(1号車1番)と2号車の中央(2号車3番)に1室ずつ設けられた2人用の個室寝台。室内にはツインベッドに2人分のソファ、液晶テレビ、オーディオサービス、冷蔵庫、シャワールーム、トイレなどを完備し、日本でも屈指の設備を誇るプレミアムルームです。室内のレイアウトは1号車と2号車では異なり、1号車は客車先端の眺望を独占できるのが最大の魅力。
一方、2号車はシャワールームとトイレが独立したゆとりのレイアウトがうれしい(1号車はユニットタイプ)。どちらにしてもたった2部屋のみですので、発売と同時にチケットが完売することも珍しくなく、早めの旅行計画と予約が必要です。

A寝台「ロイヤル」 (寝台料金:1万7180円)

1・2号車に4室ずつ設置された1人用A個室寝台。ソファ兼ベッドと、シャワー、トイレを完備して、まさに走るホテルといった趣。シートは、昼間はソファ、夜はベッドとして利用できます。スイートと同様にウエルカムドリンクやアメニティキット、朝刊のサービスも。
プラス9540円(寝台料金)で2人での利用もOKですので、一時も離れていたくないカップルにもぴったり。

B寝台「Bコンパート」 (寝台料金:6300円)

上下2段の開放形B寝台が向かい合った部屋に扉が付いた簡易コンパートメントルーム。4人グループでの利用にはぴったりですが、もちろん1人での利用もOK。「トワイライトエクスプレス」では一番リーズナブルな寝台で、8号車が禁煙、9号車が喫煙車両となります。

B寝台「シングルツイン」「ツイン」 (寝台料金:シングルツイン9170円/ツイン1室1万6320円)

5・6号車に6室ずつ設置された1人用B個室寝台がシングルツイン。昼間はソファ、夜間はベッドになるシートが備えられ、天井部にはエキストラベッド(プラス5250円)があるので2人での利用も可能。
部屋は通路を挟んで3室ずつ並んでいて、日本海側の部屋はB-8~10番(反対側はB-11~13)。2人用B個室寝台のツインは5・6号車に7室ずつ、7号車に9室。上下2段のベッドが備えられ、昼間は下段ベッドが2つのソファになります。

トワイライトエクスプレス

客車と同じカラーリングの専用機関車が牽引する「トワイライトエクスプレス」。個室から2段ベッドまでの多彩な寝台客車に、食堂車、サロンカーまでも連ねた豪華寝台列車だ

寝台「スイート」 (寝台料金:1室5万980円)

食堂車「ダイナープレヤデス車内」。 フルコースディナーはもちろん、ランチやパブタイム、朝食も楽しめる

A寝台「ロイヤル」 (寝台料金:1万7180円)

7号車にはソファと飲み物の自動販売機が設置されたミニサロンも

寝台のタイプを決めたら、きっぷは早めに手配しよう

 きっぷの購入方法は「北斗星」などの寝台列車と同じで、乗車する区間の乗車券(運賃)+特急券(特急料金)+寝台券(寝台料金)が必要となります。特急券や寝台券の料金の仕組みは、「北斗星」の回で詳しく説明していますので、興味のある方はぜひご覧ください。

 とはいっても、実際にきっぷを買うときには、例えば「○月○日のトワイライトエクスプレスで、大阪から札幌まで、ロイヤルを大人2名」などと窓口で頼めばOK。購入は全国のJRの駅のみどりの窓口のほか、旅行会社の窓口などでできます。寝台列車ですのでネットでの予約はできませんが、JR西日本では電話予約サービス(TEL.0088-24-5489)があり、予約後にJR西日本・JR四国・JR九州の主な駅のみどりの窓口や券売機などできっぷを受け取れるほか、きっぷの宅配サービスも頼むことができます(クレジットカードが必要)。

 運賃+料金の一例を示しますと、大阪~札幌間でスイート(A寝台2人個室)が4万4810円(1人分)、ロイヤル(A寝台1人個室)が3万6500円、シングルツイン(B寝台1人個室)が2万8490円、ツイン(B寝台2人個室)が2万7480円(1人分)、Bコンパート(B寝台上・下段)が2万5620円となります。

寝台「スイート」 (寝台料金:1室5万980円)

ランチタイム(札幌行きのみ)では、ハンバーグステーキやオムライスなどのアラカルトメニューに、パン、サラダ、スープを追加したランチセットもオーダーできる

A寝台「ロイヤル」 (寝台料金:1万7180円)

オードブル、スープ、魚料理、肉料理、デザート……、本格的なフランス料理のフルコースが楽しめる食堂車「ダイナープレヤデス」(3号車)。
※写真はディナーの一例で季節により内容など変更になる場合があります

A寝台「ロイヤル」 (寝台料金:1万7180円)

朝6時から9時までのモーニングタイムは洋朝食と和朝食の2種類(各1575円)

朝・昼・晩の三食が楽しめるのは寝台列車「トワイライトエクスプレス」だけ!

 寝台列車「トワイライトエクスプレス」の旅は、その多彩なルームプランはもちろんですが、“食”の楽しみを抜きに語ることはできません。大阪発の列車の場合、大阪を発車するのはお昼前。ということは、食堂車でランチを楽しむことができるのです(札幌発はティータイムメニュー)。メニューはハンバーグステーキやビーフシチューといった本格的なものから、ビーフカレー、オムライス、海老マカロニグラタンやサラダなどのアラカルトまで。厨房で調理されたあたたかい料理がお昼から味わえるのは、日本の列車では「トワイライトエクスプレス」だけなのです。

 そしてお待ちかねのディナータイムは、17時30分と19時30分からの2回で、シェフが腕によりをかけたフランス料理のフルコースディナーが楽しめます。メニューは季節ごとに変わり、この冬のメニューでは、フォワグラのコンフィ、すっぽんのコンソメ、クエのソテー、黒毛和牛のステーキ、デザートにコーヒー・紅茶など、日本海に沈みゆく夕日を眺めながら優雅なひとときを過ごすことができます。このディナーコースの料金は1万2000円。きっぷの購入と同時にみどりの窓口などで予約することが必要です。また、お部屋にデリバリーされる和食メニューの「日本海会席御膳」(6000円)もありますので、お好みに合わせてチョイスしてください。

 寝台列車「トワイライトエクスプレス」の味覚は、これだけではありません。ディナータイムが終わったあとはパブタイムの営業(21~23時)もあります。シャンパン、ワイン、ウイスキー、ビール、ソフトドリンクなど豊富なドリンクメニューに、スモークサーモンやソーセージなどのおつまみも充実。漆黒の闇の中に流れゆく町の灯りを見つけながらのひとときは、きっと素晴らしい思い出になることでしょう。パブタイムは予約不要で利用できます。

 深夜に青函トンネルを抜けて北海道へと渡った「トワイライトエクスプレス」(札幌行きの場合)は、目覚めれば北の雄大な大地の中を疾走しています。食堂車では6時からがモーニングタイム。洋朝食と和朝食からセレクトできるメニュー(各1575円)は、前日に車内で予約がとられ、指定の時間に食堂車へと向かいます。朝日が差し込むテーブルで味わうモーニングコーヒーもまた格別です。

 さあ、いかがでしたか、日本一のプレミアムトレインの旅は。「トワイライトエクスプレス」は、まもなく札幌に到着です。もっとずっと乗っていたいところですが、シャワーでも浴びてシャキッとしましょうか。それともサロンカーでもうすぐお別れとなる快適な乗り心地を堪能しましょうか。
 大阪~札幌間、1500km。日本にもこんなに豪華で素敵な旅が楽しめる列車があるんです。
 一生の思い出の旅に、「トワイライトエクスプレス」へようこそ!



文・写真=坂本達也 写真協力=高松大典、ぽっぽさんの写真館
※掲載されているデータは平成25年2月現在のものです。

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