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伝統 自然 建築 風土 食|日本人なら行ってみたい あの場所へ|THE定番・極上旅|vol.9 四国三郎・吉野川を遡り、新緑の徳島を満喫する[徳島県鳴門・吉野川]
NATURE 鳴門の渦潮 GOURMET 鳴門鯛 SHRINE 大麻比古神社(おおあさひこじんじゃ) TEMPLE 竺和山一乗院 霊山寺(じくわさんいちじょういん りょうぜんじ) OLD TOWN 藍商人の町・脇町 OLD TOWN 葉たばこ商人の町・貞光 ENTERTAINMENT 阿波人形浄瑠璃 NATURE 大歩危 GOURMET レストラン大歩危峡まんなか TRAIN「大歩危妖怪トロッコ」号  NATURE 祖谷(いや)のかずら橋 HOT SPRING 和の宿 ホテル祖谷温泉
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NATURE
鳴門の渦潮

世界最大級の大きさを誇る鳴門の渦潮は、春と秋がベストシーズン。
徳島県立「渦の道」は、大鳴門橋の橋げたスペースを利用した観潮施設。海上45mのガラス床から渦潮を見下ろすことができる。間近で見られる観潮船、海中の様子が見られる水中観潮船などもあり、楽しみ方はさまざま。
潮流は時速約20km。直径は最大で20m以上にも及ぶ渦潮の迫力を体感したい。

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GOURMET
鳴門鯛

鳴門の渦潮にもまれて育った天然の鳴門鯛は、コリコリとした歯ごたえを感じさせるほど、引き締まった身が特徴。春は産卵を控えているため、脂ののりがよく、とくにおいしいといわれる。
鳴門市内には、新鮮な鳴門鯛を提供する飲食店が充実。

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SHRINE
大麻比古神社
(おおあさひこじんじゃ)

阿波国一之宮。神武天皇の御代の創建。御祭神の大麻比古大神は、「天岩戸(あまのいわと)」神話にも登場する天太玉命(あめのふとだまのみこと)の別名とされる。のちに、大麻山の峰に鎮座していた猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)も祀る。
第一次世界大戦で捕虜となったドイツ兵約1000人が大麻町の収容所にいた。そのため、境内にはドイツ兵が造ったメガネ橋、ドイツ橋が残り、日独両国の友好の懸け橋とされている。

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TEMPLE
竺和山一乗院 霊山寺
(じくわさんいちじょういん
りょうぜんじ)

四国八十八ヶ所霊場の第1番札所。第45代・聖武天皇の勅願により、行基が開創。
弘仁6年(815)、弘法大師・空海は衆生の88の煩悩(ぼんのう)を浄化し、心身を救済する霊場を開こうと修法をした。その際の念持仏を霊山寺に納め、第一番札所「発願の寺」とし、四国巡教の旅に出たという。大師の死後、修行僧らが大師の足跡をたどり歩いたのが「同行二人(どうぎょうににん)」、大師とともに88カ寺をめぐる四国遍路の始まりといわれる。2015年5月まで「霊場開創1200年」として、各札所では御本尊の開帳などの特別行事を開催。

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OLD TOWN
藍商人の町・脇町

江戸時代、国産木綿の生産が近畿を中心に一大発展を遂げるとともに、庶民の着物も麻から、着やすく丈夫な木綿へと変化した。
もともと漢方薬として伝来した藍は防虫、抗菌の効果をもち、藍染め木綿は夏は涼しく、冬は暖かい。吉野川の水害に悩み、稲作から藍作に切り替えた阿波国は、藍市場をほぼ独占。他国がうらやむほどの富を得、藍商人は「阿波大尽(だいじん)」と呼ばれた。
100を超える藍商人が住んだ脇町には、富の象徴である「うだつ」が上がった白壁の家屋が今も残る。

06/12

OLD TOWN
葉たばこ商人の町・貞光

吉野川の南側にある貞光は、葉たばこ商人の町。この町のうだつは、正面に寿福を祈念した鏝絵(こてえ)が施され、さらに二層になっているという、全国的にも珍しいもの。往時の隆盛を雄弁に物語っている。

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ENTERTAINMENT
阿波人形浄瑠璃

阿波国の村々で演じられていた人形芝居は、江戸時代には、徳島藩(阿波国と淡路国)藩主、蜂須賀(はちすか)家の庇護を受け、発展。大正時代には一時衰退したものの、戦後、地元組織の努力により復活。平成11年には、国の重要無形民俗文化財に指定され、今日に続いている。
名作『傾城(けいせい)阿波の鳴門』に登場する阿波十郎兵衛(じゅうろべえ)の屋敷跡に建てられた徳島県立「阿波十郎兵衛屋敷」では、阿波人形浄瑠璃が毎日上演されている。 〔1日2回(11:00~、14:00~)上映、年末年始休〕

徳島県立「阿波十郎兵衛屋敷」月間出演表

08/12

NATURE
大歩危(おおぼけ)

日本列島の成り立ちがわかる貴重な場所として、2014年3月、国の天然記念物(地質鉱物)に指定された大歩危。
結晶片岩が水蝕されてできた渓谷は、一生に一度は見たい美しさを誇る。舟下りも人気。
毎年3月末から5月末までは「レストラン大歩危峡まんなか」周辺に、全国から送られてきた鯉のぼりが掲げられ、訪れる人の目をより一層、楽しませる。

9/12

GOURMET
レストラン大歩危峡まんなか

民俗学者の柳田國男氏が編集した『妖怪名彙(めいい)』で児啼爺(こなきじじい)を紹介し、一躍「児啼爺発祥の地」として有名になった大歩危。ほかにも、60種以上の妖怪にまつわる伝承が残り、水木しげる氏が会長を務める世界妖怪協会から「怪遺産」に認定された。
「レストラン大歩危峡まんなか」では「妖怪シリーズ」のメニューを展開。第1弾として、ひとつ目の妖怪にちなんだ「妖怪づくし ひとつ目丼」を販売(1000円)。ユニークなだけでなく、祖谷の岩豆腐に猪豚肉と、ここならではの味が楽しめる。「ひだるら~めん」(760円)、ソフトクリームの「かっぱ~な」(350円)など、新作も続々登場。

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TRAIN
「大歩危妖怪トロッコ号」

大歩危に伝わる妖怪伝説にちなみ、阿波池田駅~大歩危駅間では夕刻の時間帯に「大歩危妖怪トロッコ号」を運行。3体の妖怪たちが列車に乗り込んで、一緒にトロッコの旅を楽しめる。どんな妖怪に出会えるかは、当日乗車してからのお楽しみ。
阿波池田16:37発~大歩危17:15着、大歩危18:35発~阿波池田19:19着。
運転日:2014年5月10、17、24、31日

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NATURE
祖谷(いや)のかずら橋

JR土讃線の大歩危駅から、さらに車で30分ほど奥に行く祖谷は、平家の落人(おちゅうど)伝説が残る地。源平合戦で、壇ノ浦に沈んだとされる安徳天皇や平教経(のりつね)がこの地に逃れたとされ、平家ゆかりの赤旗などの物証も残る。
シラクチカズラで造られたかずら橋は、毎晩19時~21時にライトアップされ、幻想的な光景となる。4月下旬から5月中旬にかけては山藤も見事だ。

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HOT SPRING
和の宿 ホテル祖谷温泉

「和の宿 ホテル祖谷温泉」の露天風呂は、なんと約170m下の谷底。専用のケーブルカーで絶景を楽しむこと5分。源泉かけ流しの白濁した湯が待つ。日帰り入浴可(7時30分~17時受付終了、大人1500円)。
「祖谷の山里料理」が味わえるレストランも評判。露天風呂付きなど、さまざまなタイプの客室があり、宿泊プランも充実している。

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川あるところに、人の営みあり。吉野川から阿波国の歴史をたどる

 
 徳島は、古くは阿波国。『古事記』には、イザナギ、イザナミから生まれた「大宜都比売(おおげつひめ)」という食物を司る女神が阿波国の国神であると記されています。お隣の淡路島も同じくイザナギ、イザナミから生まれた島。その地名の由来は諸説ありますが、「阿波国へ通じる路」というのも、そのひとつです。
 徳島と淡路島の間にあるものといえば、鳴門の渦潮。特に3月から4月にかけて見られる「春の大潮」と呼ばれる大きな渦潮は迫力満点です。その渦潮にもまれて育ったのが、名物・鳴門鯛。春は「桜鯛」、秋は「紅葉鯛」と、美しい異名をもつように、四季折々に楽しませてくれます。

 さて、「坂東太郎、筑紫次郎、四国三郎」という言葉をご存じでしょうか? 坂東太郎とは関東を流れる利根川、筑紫次郎は九州の筑後川、そして四国三郎とは、徳島、高知を流れる吉野川のこと。源流から全長約194km、雄大なる流れは紀伊水道に注ぎ込んでいます。徳島の歴史を語るとき、切っても切れないこの川を上流まで遡っていくことにいたしましょう。

 まずは、吉野川下流に広がる徳島平野を見下ろす大麻山(おおあさやま)。その南麓にある大麻町に鎮座するのが、阿波国一之宮である大麻比古神社(おおあさひこじんじゃ)です。さらには開創1200年という記念の年を迎えている四国霊場八十八ヶ所の、第1番札所である霊山寺(りょうぜんじ)もあり、大麻町は古く門前町として栄えてきました。
  大麻比古神社の御祭神は、大麻比古大神。その孫にあたる天富命(あめのとみのみこと)が、阿波国に麻や楮(こうぞ)の種を蒔き、麻・木綿産業の礎を築いたとされています。
 阿波国と吉野川の歴史は、洪水との戦いの歴史でした。丹精込めて米を作っても、収穫の時期を目前にして台風の季節がやってきます。荒れ狂う吉野川は米ばかりか、多くの人の命も奪ったことが古くは平安時代初期の記録に残されています。

 そこで人々が思いついたのが、台風の季節が来る前に収穫できる作物を育てること。それが藍であり、葉たばこでした。
 吉野川を上っていくと、川の北側にはかつての脇町(現・美馬市)、南側に貞光町(現・つるぎ町)が現れます。脇町は藍の町、貞光町は葉たばこの町。どちらも羽振りがよかったことの証として、今も「うだつ」の町並みが残っています。

 吉野川沿いには、人形浄瑠璃の芝居小屋も多くありました。でも、それよりも多かったのが農村舞台。淡路島の人形座が奥地の村々まで興行してまわり、それを農民たちが習得したのが阿波の農村舞台の始まり。多いときには300ほど、昭和60年代でも130ほどの農村舞台が確認されていたほどです。

 JR土讃線の阿波池田駅を過ぎれば、いよいよ上流。「大股で歩くと危ない」ことから、その名がつけられたといわれる大歩危(おおぼけ)地区。日本三大秘境に数えられる「祖谷(いや)」の急峻な渓谷美が堪能できるほか、平家の落人伝説や『ゲゲゲの鬼太郎』でもおなじみの「子泣き爺(同地では『児啼爺』)発祥の地」など、興味深い伝承の宝庫。この時期は、数えきれないほどの鯉のぼりが空を泳ぎ、渓谷を彩っています。
 さらにうれしいのが、絶景を満喫できる温泉宿があること。新緑の中、ゆったりと旅の疲れを癒したら、翌日はどこに向かいましょう? 香川へも愛媛へも高知へも行けてしまうとは、なんとも贅沢な悩みです。

写真協力: 徳島県観光協会、徳島県立阿波十郎兵衛屋敷、和の宿 ホテル祖谷温泉
※掲載されているデータは、2014年4月現在のものです。
※イベントや催事等は変更される場合があります。事前にご確認のうえお出かけください。
THE定番・極上旅

文= 秦 まゆな  (はた・まゆな)

PROFILE
日本文化コンシェルジュ、文筆家。歴史と伝統文化に裏打ちされた、真の日本の楽しみ方を提唱すべく、日本全国を駆け回り中。その土地ならではの食、酒、温泉、祭りが大好物。
著書『日本の神話と神様手帖 あなたにつながる八百萬の神々』(マイナビ)。
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