『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
始発駅の名古屋駅を発車して東海道本線を走ってきた特急「ひだ」は、岐阜駅で進行方向が変わる。ここからがいよいよ高山本線。”ワイドビュー“の愛称で呼ばれるキハ85系ディーゼルカーに乗って、四季それぞれの美しい風景が展開する車窓の旅を楽しみたい。
高架の岐阜駅を発車して荒田川を渡ると、車窓左には金華山。山頂には岐阜城天守閣も望まれる。長森駅を過ぎると車窓右に名鉄各務原線が並走する。那加駅、蘇原駅、各務ケ原駅と通過し、名鉄線が右にカーブして分かれて鵜沼駅。鵜沼駅を過ぎると、木曽川が車窓右に近づき、大きく左に回るあたりが日本ラインの景勝地。短いトンネルを3つ抜けて木曽川と別れると、坂祝駅を通過。その先で盆地が開け、車窓左に長良川鉄道の線路が合流して、列車は美濃太田駅に停車する。
美濃太田駅を発車して古井駅を過ぎ、短いトンネルを抜けると国道41号の向こうに飛騨川が現れる。中川辺駅、下麻生駅と通過すると、左右に山が迫ってくる。上麻生駅を過ぎれば飛騨川の谷も急に深くなり、このあたりが飛水峡。トンネルを2つくぐって飛水峡信号場を通過し、天神山トンネルと柿ケ野トンネルを突き進む。車窓右に満々と水をたたえたダムを見て、白川口駅に到着する。特急「ひだ」も、一部の列車が停車する。
さらに飛騨川の谷を上っていく。屈曲の激しい川の流れに逆らうかのように、列車はトンネルを抜け、飛騨川を何度も渡る。下油井駅を通過して、車窓左に水力発電所とダムが次々に現れ、短いトンネルを抜けると美濃から飛騨へと進み、まもなく飛騨金山駅に至る。飛騨金山駅の先で、飛騨川は益田川とも呼ばれるようになり、中山七里の峡谷を刻み始める。福来信号場の先で第1益田川橋梁を渡り、いくものトンネルを抜ければ、列車はやがて、下呂温泉の下車駅・下呂に到着する。
下呂駅に到着した特急「ひだ」。特急「ひだ」は、名古屋駅~高山・飛騨古川・富山駅間を一日10往復の運転で、ほかに、大阪駅発着の列車が1往復ある(高山本線内は名古屋駅発着の「ひだ」と併結運転)。名古屋駅からの所要時間は、下呂駅まで最速列車で1時間28分、高山駅まで同2時間9分
飛水峡をゆく高山本線の普通列車。上麻生駅~白川口駅
ダムによって堰き止められて満々と水をたたえる益田川に沿って走る高山本線の普通列車。飛騨金山駅~焼石駅
下呂駅を発車して、下呂の温泉街を見ながら益田川の鉄橋を渡る。下呂駅~禅昌寺駅
下呂駅の上り線ホームには温泉塔があり、天下の三名泉・下呂温泉の湯が湧きでている
草津・有馬と並んで天下の三名泉と称される下呂温泉