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車窓で旅する日本列島:磐越東線

桜の名所と新緑の夏井川渓谷へ

 阿武隈(あぶくま)山地を東西に貫いて、福島県浜通りのいわき市と中通りの郡山市を結ぶ磐越東線は、「ゆうゆうあぶくまライン」の愛称のとおり、のどかな車窓風景が展開するローカル線。今回は、郡山駅からいわき駅に向かって、車窓の旅を進めよう。

 郡山駅を発車した列車は、車窓左に郡山の市街地を見ながら東北新幹線・東北本線と分かれ、阿武隈川を渡る。次の駅は舞木。春ともなれば、構内のソメイヨシノが満開で出迎えてくれる。山間の田園地帯を走って三春駅。三春の地名の由来は、梅、桃、桜が一斉に花開くことから付けられたという。

 三春駅を発車して上り勾配を進む。トンネルを抜けて要田駅。さらにトンネルを抜けて上っていくと、タバコや桑の畑が目立つ田園地帯となって船引駅に到着する。次の磐城常葉駅へと進めば、車窓右には「田村富士」の愛称で親しまれている片曽根山の姿も望める。住友セメントへの専用線があって、かつては郡山駅に向かう貨物列車も発着していた大越駅、入水鍾乳洞への下車駅・菅谷と過ぎ、車窓左に山肌の一部が切り崩された石灰岩の山が見えてくると、あぶくま洞への下車駅・神俣に到着。田園風景の中を進めば、小野小町伝説の温泉・小町温泉にも近い小野新町駅に着く。

 小野新町駅を発車して列車は、なおも山間の田園地帯を進み、夏井駅に近づくと、車窓右には「夏井の千本桜」が展開する。夏井駅を出て勾配を上り、トンネルをいくつか抜けると川前駅。ここからが磐越東線最大の見どころ、夏井川渓谷だ。新緑の季節ともなれば、芽吹き始めた木々の隙間から木漏れ日が差し込み、勢いよく流れる夏井川の渓谷美に輝きを与えてくれる。江田駅、小川郷駅と車窓を額縁に見立て、移りゆく渓谷と山間の景色を堪能したい。小川郷駅を発車して、夏井川の流れを車窓左に見ながら、ブドウ畑もある田園地帯を進む。赤井駅を出て、左に大きくカーブして進めば、列車は終点のいわき駅に到着する。

通勤・通学客でにぎわう舞木駅。この時間帯には5両編成の列車も運行される

樹齢1000年以上とも言われ、日本三大桜として知られる「三春の滝桜」。三春駅からタクシー15分。見頃は例年、4月中旬~下旬

川の両岸に咲き並ぶ「夏井の千本桜」は、夏井駅の前後約2.5 kmにわたって続く。夏井駅付近

新緑さわやかな夏井川渓谷を車窓に映して列車は走る。川前駅~江田駅

江田駅~小川郷駅間では、山間の風景の中を進む

磐越東線

 常磐線いわき駅と東北本線郡山駅を結ぶ営業キロ85.6 kmの非電化・単線の路線。平郡(へいぐん)線として、大正3年(1914)7月に郡山駅~三春駅間が開業、同6年10月に平駅(現・いわき駅)~郡山駅間が全通し、磐越東線と改称された。阿武隈山地ののどかな田園地帯を走る路線の愛称は「ゆうゆうあぶくまライン」。すべて普通列車で、全線を通して走る列車のほか、郡山駅~小野新町駅間と、いわき駅~小川郷駅間に区間運転の列車がある。車両は、キハ110・111・112形の2~5両編成。

船引駅

※掲載されているデータは平成21年4月現在のものです。詳しい運転時刻については『JR時刻表』をご確認ください。

次回は、アルプスの山々と伊那谷を行く「飯田線」(予定)です。

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