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車窓で旅する日本列島:富良野線

美瑛の丘を越えて富良野盆地へ

 北海道のほぼ中央、旭川駅と富良野駅を結ぶ富良野線。沿線の絶景ポイントを車窓からじっくり眺められるのが、人気の観光列車「富良野・美瑛ノロッコ号」。のびやかな美瑛の丘や、十勝岳連峰の麓に広がる富良野盆地の田園風景を求め、トロッコ列車の旅に出かけよう。

 旭川駅の7番ホームでは、美瑛の丘のイラストが描かれたカラフルな機関車と、木のぬくもりが優しいトロッコ風の客車が出発を待っている。車内の随所にあしらわれた手作りの飾り付けや、専用のシャツを着た車掌さんとノロッコアテンダントの笑顔に、旅への期待が高まる。

 汽笛一声。いよいよトロッコ列車の旅の始まりだ。走り出すとすぐに列車は右に大きくカーブを描きながら忠別(ちゅうべつ)川を渡り、神楽岡駅を過ぎた辺りから上川盆地の田園風景の中に。先頭の客車からは、どこまでも続くように思えるまっすぐな線路が見え、北海道に来たことを実感させてくれる。

 このノロッコ号は、ディーゼル機関車が牽引する客車列車だが、富良野駅に向かう下り列車は、機関車が最後部から押すかたち。そのため、先頭の客車からはさえぎるものなく前方の風景が楽しめるのだ。旭川近郊の住宅地も混じる田園風景の中を軽快に走り抜け、美瑛駅に到着する。

 美瑛駅を発車すると美瑛川を渡り、いよいよハイライトである丘陵地帯へ。列車は速度を落とし、アップダウンの激しい線路を、文字どおりノロノロと走ってゆく。乗客はみな大きく窓を開き、木々の間から見え隠れする丘からは、さわやかな風が車内に流れてくる。美馬牛駅の手前で、ノロッコアテンダントのアナウンスで車窓左を見ると、丘の上に教会のような美馬牛小学校が。その風景はさながらヨーロッパの農村のよう。写真家、画家、陶芸家など多くの芸術家が、この風景に引き寄せられるのも、うなずける。

 美馬牛駅を発車し、上富良野駅の手前で丘の風景が終わりを告げると、突然、車窓左に十勝岳連峰の山並みが姿を現す。噴煙を上げる十勝岳の荒々しくも美しいその山容は、息をのむほどの絶景だ。手前には、日の出公園のラベンダー畑も見える。上富良野駅を発車、次の西中駅を通過すると、やがて車窓右には色とりどりの花が咲く丘が見えてくる。ここは臨時駅のラベンダー畑。「ファーム富田」は徒歩7分の近さだ。

 列車はなおも富良野盆地を走り、中富良野駅、鹿討駅、学田駅と進む。車窓右に富良野西岳が迫ってくると、列車は左に大きくカーブ、富良野川を渡って終点の富良野駅に到着する。

「富良野・美瑛ノロッコ号」は写真のDE15形ディーゼル機関車1534号機が専用で引くが、C11形SL牽引で運転される日もある

美瑛の丘の緑に、白いボディーとラベンダー色の帯のキハ150形が映える。美瑛駅~美馬牛駅

木製のベンチが並ぶ「富良野・美瑛ノロッコ号」の車内。大きな窓を全開すれば、トロッコ列車の開放感が味わえる

美瑛石の外壁が美しい美瑛駅

富良野西岳を前方に望むようになれば、終点の富良野駅は近い。鹿討駅~学田駅

アップダウンを繰り返しながら美瑛の丘を越えるキハ150形ディーゼルカー。美瑛駅~美馬牛駅

富良野線

 函館本線旭川駅と根室本線富良野駅を結ぶ営業キロ54.8kmの単線・非電化の路線。道央から道東への鉄道は、旭川から建設が進められた。まずは明治32年(1899)9月に、北海道官設鉄道として旭川駅~美瑛駅間が開業。翌年8月には旭川駅~下富良野駅(現・富良野駅)間が全通した。明治38年には、当時の逓信省鉄道作業局に移管され、同40年9月には旭川駅~下富良野駅~釧路駅間が釧路線と改称されたが、大正2年(1913)11月の滝川駅~下富良野駅間の開業に伴って、旭川駅~下富良野駅間は富良野線となった。

 昭和37年(1962)4月には、急行「狩勝」が新設されたが、現在は、普通列車のみの運転で、朝の下りと夜間の上りに帯広駅直通列車が各1本ある。この列車は根室本線内で快速「狩勝」を名乗る、急行時代の面影を残す列車だ。車両は、キハ150形が主力。キハ40形を連結した列車や、キハ150形の代わりにキハ54形が運用されることもある。

富良野・美瑛ノロッコ号は、例年6~10月の週末と夏休み期間中に運転される臨時列車。旭川駅~富良野駅間1往復と美瑛駅~富良野駅間2往復の運転。

西聖和駅に停車するキハ150形

※掲載されているデータは平成21年6月現在のものです。詳しい運転時刻については『JR時刻表』をご確認ください。

次回は、「予土線」(予定)です。

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