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風光明媚な紀伊半島の大自然が待っている 2泊3日で! ココロ和やかに。ツウ旅、和歌山 vol.2

和歌山デスティネーションキャンペーン(わかやまDC)和み、和らぐ。和歌山からはじまる旅。2014年9月14日~12月13日
聖地から猫駅長、絶景スパまで。千両役者揃いぶみ

高さ48.5mの根本大塔は壇上伽藍のシンボル。内部にはご本尊の大日如来を祀っており、曼荼羅の世界を立体的に表現している。拝観料200円。 

1日目 高野山・和歌山市|来年で開創1200年 日本仏教の聖地を求め天空へ

 初日、和歌山駅からJR和歌山線、南海高野線、高野山ケーブルとバスを乗り継いで辿り着いたのは、この旅のハイライトとなる高野山。弘法大師が真言密教の根本道場として約1200年前に開山した、世界遺産登録の霊場だ。標高およそ800mの山上に広がり、周りを8つの峰に囲まれた盆地には数々の寺院が点在する。

 なにはともあれ参拝したい聖地は、壇上伽藍。丹(に)塗りの朱が色鮮やかな根本大塔(こんぽんだいとう)をはじめ、外陣に十大弟子の肖像が並ぶ御影(みえ)堂、国宝の不動堂など順次、お参りしよう。

 壇上伽藍と並ぶ同山の二大聖地が奥之院だ。弘法大師が入定(にゅうじょう)した聖地で、表参道入り口の一の橋から弘法大師御廟まで通じる約2kmの参道両側には、樹齢千年に及ぶ杉が凛と立ち並び、厳かな雰囲気に満ち溢れている。

 ほかにも高野山真言宗の総本山・金剛峯寺などを拝観したら、山内52カ寺にある宿坊に泊まるのも貴重な体験。温泉でゆっくり羽を伸ばしたい人は、和歌山駅に戻り、送迎バスなどを使って和歌浦温泉「萬波」へ向かおう。和歌浦湾を見晴らす露天風呂に入れば、心身の疲れを波が洗ってくれるかのよう。

金剛峯寺から徒歩すぐの高野山大師教会の写経室では、般若心経の写経を毎日受け付け中。14行の般若心経を浄書すれば、自ずと心清らかになれるはず。実修のみ100円。実修+奥之院奉納は1000円。

和歌浦湾に突き出た岬に位置するため、お風呂やテラスから海を一望できるのが和歌浦温泉「萬波」の魅力。なめらかな湯は神経痛や筋肉痛に効くと評判だ。夕食は当然地元の海の幸が主役。

江戸初期に作庭され、昭和48年に復元整備された「西之丸庭園」(別称・紅葉渓庭園)。池の中央に鎮座する御舟石やのどかに泳ぐ鯉、滝の音が耳目を和ませる。入園料無料。

2日目 和歌山市・紀の川市(和歌山電鐵 貴志川線)|名城で紅葉にウットリ。ローカル線で猫駅長にキュン

 翌朝はタクシーなどで、一旦北に向かい、紀州徳川家の栄華を今に伝える和歌山城へ。歴史好きや城好きには、青石を野面(のづら)積みした石垣や天守閣に展示された徳川家の遺品などが見どころとなるが、その辺りにさほど興味が無い人にもぜひ訪ねてほしいのが、11月下旬~12月上旬に紅葉が見頃となる西之丸庭園(別称・紅葉渓庭園)だ。堀の中に浮かぶ鳶魚閣(えんぎょかく)や紅葉渓橋などが、艶やかな錦秋をさらに味わい深いものに。

 和歌山駅まで徒歩で戻ったら、大人気のローカル線・和歌山電鐵貴志川線にライドオン! 目的は“鉄界”の大スターで、終点の貴志駅で勤務する猫のたま駅長とのご対面だ。白い車両の外側に101匹のたま駅長が描かれた「たま電車」に揺られること約30分、ついに貴志駅に到着。コンコースに設置された駅長室でのんびり勤務するたま駅長の姿、か、かわいすぎ! つぶらな瞳ときれいな三毛の毛並みを目に焼き付け、駅構内の「たまカフェ」で一服したら和歌山駅へ引き返そう。

 和歌山駅から紀勢本線で紀三井寺駅まで南下したら、徒歩5分の紀三井寺温泉「紀三井寺ガーデンホテル はやし」に投宿。ミネラル豊富な湯でリラックスし、また明日の旅のエネルギーをチャージ!

和歌山電鐵の社長代理でもあるたま駅長(左)は、火~金曜の4日間、貴志駅で勤務。土・日曜と祝日の月曜はニタマ駅長代行(右)がたま駅長に代わってお勤め。

猫の顔をイメージした貴志駅内には「たまカフェ」を併設。とびつきたまシュー&コーヒーのセット520円やたまカラーのジェラート660円などで、ちょっと一服を。

自家精米にこだわり、米の旨みを最大限に引き出す「名手(なて)酒造」。温故伝承館本館で見学料400円を払った人は、黒牛茶屋で純米酒の利き酒を1杯無料サービス。

3日目 和歌山市・海南市|懐かし街で漆器や銘酒にふれ シメは夕暮れ望む絶景露天

 最終日、まずは紀三井寺駅から10分ほど歩き、約1240年前に開基された古刹・紀三井寺を参拝しよう。新仏殿に立つ日本最大の総漆金箔寄木立像で、高さ11m余の千手十一面観世音菩薩は必見。

 さらに紀勢本線で海南駅へ南下したら、漆器の街・黒江をそぞろ歩き。紀州漆器職人の住居・工房や直売店が並ぶ川端通りは、紀州連子格子(れんじこうし)が連なり、懐かしい雰囲気だ。駅から北西へ20分ほど歩けば、銘酒「黒牛」で有名な「名手(なて)酒造」も。蔵見学は基本不可だが、清酒製造器具や道具類などを展示する温故伝承館が併設されているので日本酒党はぜひ足を運びたい。同館内の黒牛茶屋では清酒「黒牛」「一掴(ひとつかみ)」などの利き酒もOK!

 同蔵から徒歩15分ほどの場所にあるのが、「琴ノ浦 温山荘園」。大阪の実業家・新田長次郎が大正~昭和初期にかけて造った庭園で、各池は海から水を引いているため、潮の満ち引きで水位が変わり、庭の表情も変化し趣き深い。松林が美しく繁る園内で、時おり魚の跳ねる音が静寂を一層引き立ててくれる。

 名庭で心やすらいだ後は、紀勢本線を引き返し、和歌山市駅で南海線に乗り継ぎ加太(かだ)駅へ向かおう。駅から徒歩でおよそ15分の「大阪屋ひいなの湯」では絶景露天風呂がお待ちかね! 湯船からは紀淡海峡を一望でき、夕方になると沈む太陽が海にその朱色を溶かしていく。旅のシメを飾る最高の温泉なのだ。

「琴ノ浦 温山荘園」は国指定の名勝。伝統的な和風建築の主屋、茶室などを鑑賞したり、座敷に座り庭の全景をのんびり眺めたりが心地よい。12月まで浜座敷は修復工事中。入園料400円(65歳以上300円)。

11:00~14:30、15:00~19:00は900円で日帰り入浴もOKの「大阪屋ひいなの湯」。夕陽の美しい加太の海に面して建つので、ぜひ夕暮れ時を狙って入浴したい。混雑時は入場制限もあるのでご注意を。

わかやまDC TOPICS(1)“列車”編この列車に乗って、もっと和み。

NHKの連続テレビ小説『ごちそうさん』でも食のシーンを手掛けたフードスタイリスト・飯島奈美さんがプロデュースした和歌山DC特製駅弁が「和み わかやま駅弁」だ。里芋とシシトウの素揚げ金山寺味噌添えなどが入った「梅ちらし弁当」に加え、梅酢アジフライなどがセットになった「めはり寿司弁当」の2種を用意(各900円)。JR和歌山駅、特急「くろしお」車内などで購入できる。
アクティブ派におすすめなのが、ユーピーパラグライダースクールでのパラグライダー体験。インストラクターと一緒に飛べるタンデム体験もあるので、初心者でも挑戦しやすい。JR和歌山線の打田駅から1日2本送迎車がある。

↑色鮮やかで、目にも美味しい「梅ちらし弁当」。実は和歌山県はシシトウ生産量が全国3位!

↑タンデム体験1万円のほかに、自分で翼を操るパラグライダー体験も。1日コース(9200円)や半日コース(5100円)がある。

わかやまDC TOPICS(2)“グルメ”編これを食して、もっと和み。

ご当地麺として全国的に有名な和歌山中華そば・ラーメン。その味には主に2種類の系統があり、ひとつは濃い茶色したスープだが、味わいは意外とあっさりの醤油系。ふたつめはコクのあるまろやかな豚骨スープと醤油が味わい深い豚骨醤油系。この両者の範疇に収まらない新店も最近は増加中のため、何店かはしごしたい人も多いのでは? そんな人におすすめなのがラーメンタクシーだ。和歌山市が実施の研修や試験を通過した認定タクシードライバーが、客の好みに応じて店を案内してくれる! タクシーで3店舗をめぐる「半玉ラーメン味めぐり」も開催中!

麺はストレートでやや細めが一般的な和歌山中華そば・ラーメン

タクシーでめぐる特別企画「半玉ラーメン味めぐり」は計4コースを用意。

わかやまDC TOPICS(3)“イベント”編これを見て、もっと和み。

西国三十三所の第二番札所で、早咲き桜の名所でもある紀三井寺。12月13日までの土曜に限り、本堂や国の重要文化財指定である多宝塔をライトアップ! 昼の参拝とはまた違った艶やかな夜の寺院の参拝を楽しもう。境内から望む和歌浦や市街地の夜景もお見逃しなく。
黒江の町歩きを一層楽しむなら、紀州漆器に関する各種体験がおすすめ。JR紀勢本線黒江駅から徒歩20分の「紀州漆器伝統産業会館 うるわし館」では、週末に職人の実演披露や蒔絵の体験を実施中だ。また「黒江ぬりもの館」では要予約で根来(ねごろ)漆とぎ出し体験を楽しめる。

↑紀州木地師の素朴な椀と、根来塗の高い技術が一体となって紀州漆器が生まれる。

→紀三井寺周辺を幻想的にライトアップ! 該当日の日没~22時まで。
 

●和歌山駅
 JR和歌山線
●橋本駅
 南海高野線
●極楽橋駅
 高野山ケーブルとバス
●高野山
壇上伽藍や金剛峯寺など世界遺産を参拝
高野山大師教会では写経体験も
 高野山ケーブルとバス・
 南海高野線・JR和歌山線
●和歌山駅
 送迎バスなど
和歌浦温泉で1泊

●和歌浦温泉
 タクシー
●和歌山城
和歌山城の西之丸庭園にうっとり
 徒歩
●和歌山駅
大人気のローカル線・和歌山電鐵貴志川線に乗車!
 和歌山電鐵貴志川線
●貴志駅
たま駅長にご挨拶
土・日曜と祝日の月曜はニタマ駅長が代行で勤務
駅舎内のたまカフェで一服
 和歌山電鐵貴志川線
●和歌山駅
 JR紀勢本線
●紀三井寺駅
紀三井寺温泉で1泊

 

●紀三井寺駅
紀三井寺を参拝
 JR紀勢本線
●海南駅
黒江の懐かしい町並みを散策
名手酒造店で利き酒をしたり、
紀州漆器伝統産業会館に立ち寄ったり
琴ノ浦 温山荘園の名庭を観賞
 JR紀勢本線
●和歌山市駅
 南海加太線
●加太駅
「大阪屋ひいなの湯」で旅の疲れを癒す
 JR紀勢本線ほか
●帰宅

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文・構成=鈴木健太
写真協力=JR西日本、和歌山県、和歌山電鐵、両備ホールディングス
※掲載されているデータは2014年11月現在のものです。

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