『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

北海道最初の鉄道「幌内鉄道」が開通してから今年で130周年を迎えます。起点の小樽から運炭鉄道が敷かれ、各地に路線が延伸。鉄道の発展にともない町や村ができていきます。しかし戦後、炭鉱閉山と共に廃止された鉄路もありました。これら北海道の鉄道130年の歴史をふりかえります。

“小樽市総合博物館学芸員が語る「北海道鉄道130年」の歴史 総延長約2500km、鉄道14路線を有する北海道の鉄道。その礎は、開拓使が敷設した石炭輸送の官営鉄道

“青函トンネル開業やDMV開発。“開拓使魂”が今なお息づく

 官営「幌内鉄道」は、明治13年(1880)に小樽の「手宮」から「札幌」まで開業しました。明治15年(1882)には幌内炭鉱(三笠市)まで開通し、本来の目的であった石炭輸送が始まります。

 開拓使が敷設した「幌内鉄道」は明治22年(1889)、「北海道炭礦鉄道(北炭)」に譲られ私設鉄道になります。北炭では鉄道による石炭輸送と石炭販売に重点を置き、産炭地への路線建設、施設や車両の整備、規模の拡大を進めました。

 また、北海道庁に臨時鉄道敷設部を置き、鉄道が「開拓」の推進に最も必要な物と考え「北海道官設鉄道」として、道北や道東方面への路線を建設します。

 当時、もう一つの私設鉄道である「北海道鉄道」は北海道から本州までを鉄道で結ぶために「函館」から「高島(現:小樽、着工当時は小樽中央)」までを敷設しました。

 政府は明治39年(1906)に鉄道国有法を公布し、日本にある17の私鉄会社を買い取って国有化を進めます。北海道では「北海道炭礦鉄道」「北海道鉄道」が買収され、組織の一元化により、新たな鉄道網が形成されていきました。青函航路の運航もこの頃開始されます。

 そして大正5年(1916)に路線延長が1000マイル(1600㎞)に達します。当時の貨物輸送は主に石炭・木材でしたが、豆類や雑穀、澱粉などが急増し、食料と資源の供給地として北海道の役割が大きくなります。そして、昭和の初期に向けて地方鉄道が増加、各地に新線が開通するのです。

 昭和24年(1949)には国営の鉄道組織は公共企業体「日本国有鉄道」となり、昭和40年代まで景気上昇にともない順調に伸びをみせます。一方で地方の過疎化や炭鉱の閉山も進み、石炭輸送が目的の鉄道は廃止が続きます。

 また、昭和55年(1980)の「日本国有鉄道経営再建促進特別措置法」により道内の22路線が「特定地方交通線」として廃止、バス転換されました。

 昭和62年(1987)に「日本国有鉄道」は分割民営化され、「北海道旅客鉄道株式会社(JR北海道)」が発足。その翌年、完成までに42年の歳月が費やされた青函トンネルが開業し、輸送網も拡大しました。現在の鉄道は安全やエネルギーの節減、環境に配慮した新技術の開発など新たな取り組みが行なわれています。

開業100周年! 宇野線・宇高連絡船 お宝アルバム 大きな写真で見る 大きな写真で見る 大きな写真で見る 大きな写真で見る 大きな写真で見る 大きな写真で見る

※クリックで大きな写真が見られます

記念SLの運行やスタンプラリー、グッズの販売も「北海道鉄道130周年」記念イベント開催中!

 道内初の鉄道として明治13年(1880)11月28日、手宮~札幌間で官営幌内鉄道が開業してから今年で130周年。その節目の年を記念して、JR北海道ではスタンプラリーや写真パネル展、ヘルシーウォーキングなどを好評開催中です。
  また、11月28日には「SL北海道鉄道130周年記念号」を札幌~小樽間で1往復運転。SL運転にあわせて、小樽市総合博物館では「DMV」の体験乗車も楽しめます。
 「手宮~札幌間復刻版入場券セット(1300セット限定)」や「サッポロクラシック『北海道鉄道130周年記念缶』(数量限定)」、「北海道ワイン『北海道鉄道130周年記念ラベル』(数量限定)」など記念グッズも充実。数量限定発売のためお求めはお早めに!

北海道鉄道のとっておき情報

小樽市総合博物館学芸員 佐藤卓司さん

札幌市出身。大学時代に小樽市博物館で博物館学の実習を受けたのがきっかけで小樽交通記念館の建設準備に携わる。同館の社員となるが06年に館が閉館、その後現在の小樽市総合博物館に採用となり、SLの運行や鉄道部門を担当する学芸員として現在にいたる。

幌内炭山(明治30年代)。採掘した石炭を運ぶために幌内鉄道が敷設された
手宮停車場(明治30年代)。明治13年11月28日開業
万字線第5幌向川橋梁(岩見沢市、大正3年)。 2年後には全道の路線が1000マイル(約1600㎞)に達する
釧網本線原生花園を走行するレールバス(キハ03形)
記念オレンジカード(思い出の幌内線)
青函トンネル開業記念の入場券

文=佐藤卓司 写真=小樽市総合博物館所蔵
※掲載されているデータは平成22年10月現在のものです。

バックナンバー

このページのトップへ