氷点下15度の凍てついたローカル駅。猛吹雪で視界もままならない状況でしたが、作品にその時の「寒さ」を表現することができました。
※作例は安全な場所より撮影しています
【アクセス】
JR深川駅などから留萌本線を利用。
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【おすすめ情報】
寒さを表現した鉄道写真を撮影するには、厳冬のシーズンに雪国へ行けばよいというものではありません。体感的にいくら寒い地域で撮影したとしても、その寒さが作品に写っていなければ、それを伝えることはできないのです。
寒さを伝えるためにまず思い浮かべるのが「雪」ですね。雪と言っても、穏やかな雪景色ではあまり寒さを感じないし、逆にほんわかした温かさを感じてしまうことさえあります。また、降雪を写真に写そうとしても、吹雪のような悪天候でないとなかなか写真に写すことはできません。吹雪に耐えて撮影することも傑作を撮るためには必要なことですが、体力的にも厳しいですし危険も伴うため、撮影に自信がない人も多いと思います。
では、雪を写すためのテクニックをお話ししましょう。雪が降っている日中は当然のことながら空は曇っています。曇りは普通に撮影しても背景が白っぽくなってしまう条件ですから、白い雪は背景に溶け込んでしまい、実際に降っているほどの雪を表現することができません。そこで背景を黒っぽくして、雪を浮かび上がらせるテクニックがあります。背景を杉林のような濃い背景にしてみたり、トンネルの出口を狙うことにより背景を黒くしてしまうのです。そうすることによって、雪の粒をはっきりと写真に写すことができるのです。
ストロボを使って雪を表現する方法もあります。少し難しいかも知れませんが、ブルーモーメントや夜間撮影時にストロボを発光してあげるのです。夜間撮影ですからおのずとスローシャッターになります。そのままだと雪が流れてしまい、はっきりと写すことができません。そこにストロボを発光させてあげると、雪が丸い玉になって写すことができるのです。ストロボは「後幕シンクロモード」で撮影するのがコツです。ただし、列車先頭に向けてストロボは発光してはいけません。運行の妨げになり大変危険です。駅を撮影する時や、風景写真を撮影する時のみのテクニックと覚えておいてください。
寒さを表現するのは雪だけではありません。冬の日本海のような、厳しい海の表情を写すのも一興です。荒波というと風雪などが強いのではないかという心配もありますが、風雪が弱くても海のうねりなどで荒々しい表情を見せる日が意外と多くあります。そういう日を狙ってチャレンジしてみるのもよいでしょう。
冬の北海道など-10度以下になる地域では、霧氷や樹氷、ツララを狙うというのもアイデアです。霧氷などを捉えるならば早朝が勝負。お天気の日ならば、午前9時を過ぎればみるみるうちに溶けていってしまいます。始発列車から撮影に挑むのが基本で、傑作が撮影できれば、「早起きは三文の徳」ということが実感できるでしょう。
どのようなシチュエーションであれ、冬の撮影は危険を伴います。少しでも危ないと感じたり、体力に自信がなくなった場合は直ちに撮影を中止することが大切です。無理することなく冬の傑作を撮影してくださいね。あと、しっかりとした防寒対策を忘れずに!
厳冬の日本海を撮影しに、日本海に一番近い駅を訪れました。撮影地に行く前から、駅名標と荒波の海を撮ることをイメージしていました。
【アクセス】
JR新潟駅などから信越本線を利用。
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ブルーモーメントの時間帯に「後幕シンクロモード」でストロボを発光しました。雪が丸く写り、ファンタスティックな世界になりました。くれぐれも列車先頭にはストロボ発光をしてはいけません。
【アクセス】
JR釧路駅・網走駅などから釧網本線を利用。
【便利なきっぷ】
【おすすめ情報】
短いトンネルを利用して、トンネルの闇の部分に雪を浮かび上がらせました。このように背景を暗いものにすることによって、雪を表現することができます。
※作例は安全な道路から撮影しています
【アクセス】
JR塩尻駅などから中央本線を利用。
【便利なきっぷ】
【おすすめ情報】
駅舎のツララが印象的だったので、ツララをアップにして撮影しました。背景の列車をはっきり写してしまうと、ツララの存在感が弱くなるので、浅い絞り値で列車をボカしました。
【アクセス】
JR深川駅などから留萌本線を利用。
【便利なきっぷ】
【おすすめ情報】
横浜市生まれ。大学卒業後、鉄道写真家・真島満秀氏に師事。青春18きっぷなどのJRポスターを撮影する他、JR時刻表では「ごちそう路線旅」を担当。(社)日本写真家協会会員、日本鉄道写真作家協会会員。