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ウマイ! といわれる 「鉄道写真」を撮りに行こう!|Lesson18.「SL撮影の魅力とコツ」

磐越西線(山都~喜多方 間)

山都駅に近い有名撮影地、一ノ戸川橋梁を走る「SLばんえつ物語」。有名撮影地ではSLの煙を最も期待できます。雲の表情が美しかったので、ワイドな風景写真にしてみました。

【アクセス】

JR郡山駅などから磐越西線を利用。

【便利なきっぷ】

北海道&東日本パス(普通列車限定)

週末パス

【おすすめ情報】

郷愁の蒸気機関車「SLばんえつ物語」

極意|一 SLは煙が命。駅発車、上り勾配で撮影しよう|二 ノスタルジックな情景を想像して撮影に挑もう|三 鉄道趣味誌などで運転予定をチェックしよう

 今や全国各地で運転されているSL列車。モクモクと煙を上げて、まるで生き物かのように走り抜ける姿は、鉄道好きのみならず一度は撮影してみたい被写体ではないでしょうか。SLの魅力はなんといっても「煙」の存在。機関車と煙をセットで撮影しなければ、「SL」というもの自体を表現することが難しいと想像ができますよね。

 SLは走行中どこでも煙を出して走っているわけではありません。煙が出る場面はパワーを必要とされる時駅を出発する時や、峠などの上り坂を力行する時に煙がたくさん出ます。下り坂では基本的に煙がモクモクと出ることはありません。そうすると、撮影地はおのずと決まってきます。SL運転時、多くの鉄道ファンが集まっている場所は煙が期待できる撮影地と思っても良いでしょう。ただし、上り坂できっと煙が出るだろうと予想していた撮影地でも、まったく煙が出ないということもよくあります。前回の運転は煙が出たのに、今回は全く出ないということも私の経験上よくあることです。これだけは運次第なのですが、煙が出る条件の場所で待ち構えるというのは、結果はどうであれ第一の基本です。駅発車は高確率で煙を期待できるシーンですので、確実性を重視するのならば停車駅周辺の撮影地を探すと良いでしょう。

 SL撮影は機関車の雄姿をとらえる撮り方がポピュラーですが、歴史のある機関車ということを思いながら撮影してみたり、煙や蒸気をうまく利用してSLを表現してみることもおすすめします。例えば、古いレンガや石積みのトンネルとSLを組み合わせれば、はるか昔の時代へタイムスリップしたような作品にすることができます。SLが通過した後に空を漂う煙を利用して、感動の余韻を表現してみるということもアイデアです。

 終着駅では復路のためのSL整備が行なわれるため、SLを間近にして撮影することができます。ターンテーブルを利用したSLの方向転換シーンを楽しむことができる路線もあります。山口線の津和野駅や上越線の水上駅、磐越西線の会津若松駅などではその様子を見学させてもらうことができます。SLは停車していますから、機関車のメカニカルな部分をアップにして撮影することも可能です。その場合も、ただアップで撮影するのではなく、SLから湧き出してくる蒸気を絡めて撮影したり、逆光を利用して金属部分をキラキラと光らせて撮影するなど、SLならではの臨場感や、マテリアルの質感を共に表現することが大切です。

 さて、SLを撮影したいと思っても、いつ、どこで運転されているか分からない人もいるかと思います。山口線の「SLやまぐち号」や磐越西線の「SLばんえつ物語」などのように、定期列車としてすっかり有名になったSLの他に、イベント等で定期では走っていない路線へ出張して運転されることが多くあります。身近な路線であれば情報は入って来るかも知れませんが、全国規模となるとすべてを把握するのは難しいものがあります。『JR時刻表』の臨時列車ページで確認するのも良いですが、『鉄道ダイヤ情報』といった鉄道趣味誌のSL情報ページをこまめにチェックするのが一番分かりやすいでしょう。同じ機関車であっても、いつもとは違う路線を走るシーンは全くの別物です。記録としての撮影はもちろん、新たな感動を得られるのは間違いありません。

 ゴールデンウィークや夏休みが近づいてくると、全国各地で数多くのSLが運転されます。今からどの路線のSLを撮影するか計画を立てるのが楽しみです。今年は釜石線でC58形機関車が復活したり、SLばんえつ物語に展望グリーン車が連結されるなどニュースも盛り沢山ですね。

東北本線(平泉~前沢 間)

東北本線を走るC61形機関車。普段は上越線をメインに活躍していますが、他線区での出張運転もよくあります。写真は2011年11月に運転された「SLがんばろう岩手」です。

【アクセス】

JR一ノ関駅、盛岡駅などから東北本線を利用。

【便利なきっぷ】

東北ローカル線パス(普通列車限定)

小さな旅ホリデー・パス(いわて・あおもりフリーエリア)

【おすすめ情報】

男子も歓迎!列車で女子旅~東北編~

肥薩線(球泉洞~一勝地(いっしょうち) 間)

ノスタルジックなトンネルから飛び出てくる「SL人吉」を狙いました。大正生まれの機関車を輝かせる最高の舞台はどこだろうと考えて、この撮影地を選びました。

【アクセス】

JR八代駅などから肥薩線を利用。

【便利なきっぷ】

人吉・球磨のんびりきっぷ

霧島のんびりきっぷ

【おすすめ情報】

鉄道遺産を訪ねて vol.16 「旧人吉機関区」

釧網本線(南弟子屈(みなみてしかが)駅)

小さな駅を通過する「SL冬の湿原号」。このかわいい駅舎を撮影するのが目的だったのですが、SLの煙だけを入れて郷愁感を出してみました。

【アクセス】

JR網走駅、釧路駅などから釧網本線を利用。

【便利なきっぷ】

北海道フリーパス

北海道全線フリーきっぷ

【おすすめ情報】

絶対乗りたい!トレたび列車図鑑 「SL冬の湿原号」

山口線(津和野駅)

津和野駅でメンテナンス中のC57形機関車の動輪をアップで撮影しました。湧き出す蒸気が自分好みの形になるまで、何度もシャッターを切りました。

【アクセス】

JR新山口駅などから山口線を利用。

【便利なきっぷ】

こだま指定席往復きっぷ

【おすすめ情報】

郷愁の蒸気機関車 「SLやまぐち号」

講師●長根広和 Hirokazu Nagane

横浜市生まれ。大学卒業後、鉄道写真家・真島満秀氏に師事。青春18きっぷなどのJRポスターを撮影する他、JR時刻表では「ごちそう路線旅」を担当。(社)日本写真家協会会員、日本鉄道写真作家協会会員。

http://hirokazu-nagane.com

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