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久住 昌之 Kusumi Masayuki(文・写真・画)

東京都出身。ドラマ化された『孤独のグルメ』(谷口ジローとの共著・扶桑社)、『花のズボラ飯』(水沢悦子との共著・秋田書店)ほか、漫画、エッセイ、音楽など多方面で創作活動を展開中。作曲・演奏をした『孤独のグルメSeason4』サウンドトラック盤(地底レコード)が好評発売中。

武豊線 たけとよせん

大府(大府市)から武豊(武豊町)までの19.3km、10駅。明治19年(1886)全通の古い路線。
今年の3月から全線が電化され、名古屋近郊の通勤通学路線としてさらなる活躍が見込まれる。

 


木の壁が黒い家が多かった。プランターに鳥居が

 道沿いにある瓦葺きの木造家屋は、壁を黒く塗られていることが多いことに気づいた。古い家はたいてい黒く、新しくても黒い家もある。どういう意味があるのだろう。

 道は広い国道に吸収された。少し歩いたがつまらないので一本裏の住宅地を歩く。次第に鉄工所が増えてきた。大工場はないが、いろいろな規模の鉄工所がある。そこで働く人が行くのか、駅前でもないのにスナックや居酒屋もポツリポツリとある。

 小さな川を渡った。道はまっすぐだ。パワーショベルのような作業車が、鉄屑を長大なトラックに積んでいる。よく見ると、作業車の腕の先は巨大な磁石になっているようだ。それに鉄屑をくっつけて、荷台の上で磁力を切ってガラガラと鉄屑を落としている。小学校の時学習雑誌のグラビアで見た。本物だ。

 マンションも現れた。ドン・キホーテ半田店。この辺は半田市なのか。さっきより広い川。渡るために川に沿って迂回。いったん自動車道に入って、また線路に近い住宅地の道に入る。切り干し大根を干している家。どうやら韓国料理店。大量のダイコンの葉が捨ててある。ダイコンのキムチを作っている途中と思われる。大きなポリバケツ多数が外に置いてある。ニラの植わったプランター。持って行かれてもしかたない路上放置だ。


手造りソース。駅前でも何でもない路地の酒屋に

 狭いダイコン畑の横を歩いていたら、武豊線の2両編成の電車が後ろから抜いて行った。空は真っ青に晴れ上がり、全然寒くない。踏切があったので、なんとなく向こう側に行ってみる。気楽なもんだ。路地に酒屋があり「清吉つぁんの手造りソース」と張り紙がある。「徹底的にあくを取り、こくのある旨味をだしました」と手書きでかいてある。買いたくなったが、ソースは重そうなので断念。

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