『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
東京都出身。ドラマ化された『孤独のグルメ』(谷口ジローとの共著・扶桑社)、『花のズボラ飯』(水沢悦子との共著・秋田書店)ほか、漫画、エッセイ、音楽など多方面で創作活動を展開中。文庫版『ひとり飲み飯 肴かな』(日本文芸社)発売中。
高崎(群馬県高崎市)から下仁田(下仁田町)までの33.7㎞、21駅。明治30年(1897)に全線開通。沿線には富岡製糸場があるように、生糸の運搬に活躍した。今回は東富岡から下仁田まで歩いた。
群馬県の高崎駅から下仁田(しもにた)駅まで走る上信電鉄につたい歩いてきた。全部歩くと大変なので、東富岡駅から終点下仁田を目指す事にした。そこまでの2両編成上信電鉄の電車旅がすでに楽しい。駅間が短く、スピードも遅く、くねくね曲がりながら、低い勾配を上り下りする。山は低く水田も多く、関東平野の端っこなのだなぁと思う。
東富岡の駅は教会みたいでかわいかった。前夜の台風一過で空は晴れ渡った夏日。午前10時に歩き始めてすぐ、上半身はTシャツだけになる。道沿いに立派な料亭のような日本料理店があり、大きく「こんにゃく」と書いてある。群馬だ。どんな料理が出るのか。
10時半、上州富岡駅到着。新しくてモダンですごく大きい。富岡製糸場が世界遺産に登録されたからだろうか。
住宅地に入ると、まもなく角地の食堂「新正軒」があった。看板がボク好みでスバラシイ。残念ながら休み。やっていたら飛び込んだ。ドラマ『孤独のグルメ』でロケ地にしたいシブ店だった。
突然踏切の鳴る音がしたので、慌ててそっちに向かう。やってきた電車はなんとシマウマ柄! 「群馬サファリパーク」のラッピング電車。
西富岡の駅は小さな古い無人駅で、昔の地域の集会所みたいだった。駅名が判読できないほど壊れ落ちていた。日が高くなってきて気温は上がってきたが、風もあり、その風がひんやり心地いいので、暑さは気にならない。やはり少し高地だからか。むしろ今年初のTシャツ1枚が身軽で颯爽とした気分。
踏切の音。今度は余裕で近づく。お、また違う、前面下と側面が緑色の「下仁田ジオパーク」号だった。テーマパークみたいだが、自然観察公園的なものだと今調べて知った。列車は地元では「ジオトレイン」と呼ぶそう。
また住宅地歩き。上州七日市駅。広い車道に移る。歩いて行くと、堂々たるテント看板の店「中屋」。「焼肉・ホルモン・お切込み」。お切込みが群馬だ。またも準備中。もう11時半だ。ここでお昼にしたかったなぁ。