『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

駅でほっこり 湯のある駅
元祖・駅の温泉はホーム露天風呂

 昭和60年に国鉄長野鉄道管理局が「一駅一名物」運動を展開。その一環として昭和61年8月8日にオープンしたのが、中央本線上諏訪駅1番線ホームに設置された「露天風呂」。列車の待ち時間を利用して温泉入浴が楽しめることから人気を博し、当時としては珍しいホーム露天風呂を目当てに途中下車する人も増加。売店では入浴記念のタオルや石鹸のセットも販売され、タオルを頭の上にのせて帰りの列車に乗る人の姿もあった。列車内では湯上りの爽快な気分でビールを堪能することができたが、より多くの人に手軽に温泉を楽しんでもらおうと、平成14年7月9日に「足湯」としてリニューアルオープン。観光客だけでなく、通勤・通学帰りの地元の人たちの憩いの場としても親しまれている。

中央本線上諏訪駅の元祖ホーム露天風呂。小さな岩風呂であったが、行き交う旅人の疲れを癒してくれた

リニューアルオープンした上諏訪駅ホームの足湯。列車を待つ僅かな時間でも手軽に利用できるのが魅力

手軽に楽しめる足湯が人気上昇中

 上越線越後湯沢駅や高山本線下呂駅など温泉の玄関口となる駅のホームには、古くから温泉の湯を使ったモニュメントが設置され、列車を降りた瞬間からその湯煙で温泉気分に浸ることができた。湯溜まりの中に手を入れて温めることもできたので、これぞ元祖「駅の手湯」になるのだろう。

天然木を使用した建物内にある川湯温泉駅併設の「あし湯」。クマの顔をした湯口がユニークだ

下呂温泉郷の中に6か所ある無料の足湯。駅から徒歩2分の「モリの足湯」は列車の待ち時間利用に最適

外湯巡りが楽しい城崎温泉の玄関口となる城崎温泉駅前の「さとの湯」。7時から23時まで利用できる

 近年は誰でも手軽に利用できる「手湯」&「足湯」が全国各地の駅や観光スポットに誕生。中央本線上諏訪駅をはじめ、釧網本線川湯温泉駅や摩周駅、東北本線浅虫温泉駅、陸羽東線鳴子温泉駅、磐越西線磐梯熱海駅、常磐線湯本駅、東海道本線熱海駅、東海道本線焼津駅、大糸線白馬駅、高山本線下呂駅、山陰本線城崎温泉駅、予土線松丸駅、久大本線由布院駅、日豊本線別府駅、日豊本線霧島神宮駅、指宿枕崎線指宿駅など、JR17駅のホームや駅前に設置されており、誰でも手軽に温泉が楽しめるようになっている。
 なお、常磐線湯本駅はホームに「手湯」と「足湯」、駅前に「足湯」があり、列車の待ち時間に合わせてセレクトできる。また、日豊本線別府駅前は「手湯」のみだが、別府温泉の湯がかけ流しになっており、特に冬場は冷えた手を素早く温めることができる。

松野町ふれあい交流館を併設する松丸駅舎2階にある温泉施設「森の国ぽっぽ温泉」の展望抜群の足湯

駅を発着する列車が真横を通る由布院駅1番線ホームの足湯。列車が通ると心地よい風が吹き抜ける

別府の伝統工芸品である竹細工をデザインした別府駅前の手湯。夜はライトアップされて美しく輝く

手湯&足湯を利用する

 手湯&足湯の基本的な利用料は無料だが、ホーム内にある場合は入場券または有効な乗車券が必要。なお、久大本線由布院駅のホーム足湯利用料はおとな160円、こども80円で、タオルと絵ハガキが付いてくる。また、利用時間は概ね昼間の時間帯が多いが、湯本駅や城崎温泉駅、指宿駅は終電または23時まで、さらに摩周駅や鳴子温泉駅のように24時間(清掃時間を除く)利用できるところもある。

写真協力:結解喜幸(上諏訪駅・川湯温泉駅・由布院駅)

次のページへ

バックナンバー

このページのトップへ