『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
ラベンダー畑駅は、富良野線の西中〜中富良野駅間に毎年、夏季・秋季(6月上旬〜10月中旬)のみオープンする臨時駅です。ラベンダーを中心に色とりどりの花々が咲く人気の観光スポット「ファーム富田」への最寄り駅として、平成11年6月に開設されました。ラベンダーの見頃は天候にもよりますが、例年7月中旬〜下旬頃。駅からファーム富田へは歩いて7分ほどで到着します。
シーズン中は、臨時列車「富良野・美瑛ノロッコ号」の全列車が停車。また、毎年7月20日の「海の日」前後には、一部の普通列車も停車します。平日でも大勢の乗客が乗降し、ラベンダー目当ての観光客で駅は大いに賑わいます。
駅の造りは、臨時駅というだけあって実にシンプル。単式ホームで駅舎はなく、シーズン以外は撤去されています。北海道ならではの雄大な風景を見渡すことができるのもこの駅の魅力です。
通常は無人駅ですが、多客日には駅員が発券業務などを行ないます。ラベンダーの美しい季節、北の大地の心地よい風を浴びながら、トロッコ列車に乗ってぜひ訪れてみたい駅です。
シーズン以外は撤去されているラベンダー畑駅。屋根や壁板はなく、緑の大地と青い空に囲まれた開放的な駅
美しい花々が咲き乱れるファーム富田。ラベンダーのほか、赤やピンクのポピーなども楽しめる
三重県伊勢市に位置する池の浦シーサイド駅は、参宮線の松下〜鳥羽駅間に夏季のみ開設される臨時駅です。平成元年7月に開業し、当初は快速「みえ」などが停車していました。
単式ホームの地上駅で、停車するホームにはフェンスが設置されています。線路側は鬱蒼と木々が生い茂っていますが、反対側のフェンスの向こうは、なんと海! 駅舎や待合室などはありません。ホーム端の階段を下りると、目の前がそのまま「池の浦海水浴場」になっています。静かでこぢんまりとしたこのビーチは、遠浅なので家族連れでも安心して海水浴が楽しめます。
ホームのフェンスの真後ろは海。入江に臨み、遠浅で波静かな池の浦海水浴場が広がる
池の浦シーサイド駅から一駅先の鳥羽駅周辺には鳥羽水族館をはじめとする観光スポットがいっぱい
津島ノ宮駅は、予讃線の海岸寺〜詫間(たくま)駅間にある臨時駅で、日本で一番営業日の少ない駅です。大正4年(1915)に開業して以来、津島ノ宮(津嶋神社)の夏季大祭開催日である8月4日と5日のみ営業してきました。
子供の守り神として信仰を集める津嶋神社の本殿は、橋で結ばれた津島(昔は「鼠島」ともいったそうです)に建てられ、対岸には祈祷殿や社務所などがあります。橋ができる前は本殿がある島まで船で渡っていましたが、昭和8年(1933)に島へ渡る津島橋が架けられました。夏季大祭の2日間以外、この橋は通行禁止となっています。
ホームは単式の地上駅で、木造平屋建ての駅舎が建っています。カーブした線路の途中に駅があるため、列車は傾いた状態で停車。そのため、駅職員が扉の近くで待機し、乗客が乗降するのを手助けしています。ホームの後ろには椅子を並べたテントが設けられ、待合室として利用できます。
列車とホームとの段差が30cm近くあるところも。駅員が乗降の手助けをしてくれるので一安心
津島橋を渡って約250mの沖合にある津嶋神社へ。津島ノ宮駅同様、この橋も1年に2日間のみ通行可能
JR四国・牟岐(むぎ)線の田井ノ浜駅は、徳島県美波町にある「田井ノ浜海水浴場」に直結した臨時駅です。「阿波室戸シーサイドライン」の愛称をもつ牟岐線の由岐(ゆき)〜木岐(きき)駅間に設置されるこの駅は、昭和39年(1964)の開業以来、夏季の海水浴シーズンのみ営業する臨時駅として多くの海水浴客で賑わいます。
営業期間中には特急「むろと」も一部停車。沿線の各駅には、田井ノ浜駅までの時刻表や運賃が張り出されます。
西日本屈指の水質を誇る田井ノ浜海水浴場はホームの南側から直結。徒歩3分で砂浜にたどりつける抜群のロケーションが魅力です。延長約1kmの砂浜が最も美しいのは日の出の時刻。海岸線から昇る朝日は、“西日本で2番目に美しい!”といわれているそうです。
また、駅に隣接して建つ独特なフォルムの監視塔も印象的。夏レジャーを楽しみたい人にも、鉄道愛好者にもオススメの臨時駅です。
田井ノ浜海水浴場の白浜に映える特急「むろと」も一部停車。列車はまばゆいシーサイドを走る
白い波が間近に打ち寄せる田井ノ浜駅。例年7月中旬〜8月上旬にかけて開設される
写真協力:JR北海道、JR東海、三重県観光連盟、三豊市
※掲載されているデータは平成21年7月現在のものです。