村の一軒家のような木造駅舎、夜明(よあけ)駅は久大本線と日田彦山線の接続駅。駅舎は昭和7年の開業当時からのもの。昭和40年代後半、「夜明」という駅名が人気を集め、その名前にひかれて降り立つ鉄道ファンが急増した。しかし、乗客は減り、昭和59年以降、乗車券の販売を外部にまかせる簡易委託駅となった。
住所●大分県日田市夜明中町
- 1日の乗車人数はおよそ60数名(平成20年)という、小さな木造駅舎
- 駅名は駅開設当初の地元の地名「日田郡夜明村」にちなんでいる
- ホームは1番線が久大本線上り、2番線が下り、3番線が日田彦山線
豊後森駅は、昭和4年開業の木造駅舎。駅近くには、扇形の機関庫と転車台が残る。この機関庫は昭和9年、久大線の全線開通にともなって建設され、繁栄期は25両のSLが所属し200人以上の鉄道員が働いていたが、ディーゼル化で機関庫は廃止、全国から保存を求める声が集まり、将来的には公園にする計画がある。
住所●大分県玖珠郡玖珠町帆足
- かつて繁栄を誇った「鉄道の町」の象徴・豊後森機関庫と転車台。今は廃墟
- 駅員2名。今も交通の要所。人気の特急「ゆふいんの森」号ほかすべての特急が停車
- 駅舎の特徴は3つ三角屋根。町おこしの「童話の里」を意識し、増築した
赤い屋根の木造の田野駅は大正5年(1916)開業。小倉駅から九州の東海岸沿いを走り鹿児島駅へ至る日豊本線の駅。3kmほど西、青井岳を背景にして走るSLが人気で、SLブームには多くの人がこの駅に降り立った。現在は無人駅となり、かつての宿直室には1軒のお菓子屋さんが入っている。田野町の中心駅。
住所●宮崎県宮崎市田野町甲
- 無人駅となった赤い屋根の駅舎。修理などは近在のボランティアの人たちが行なう
- 板張りの狭い待合室は近在の人たちの方言が飛び交う憩いの場となっている
- 多くの鉄道ファンが降り立ったホームには、往時の面影もなく、1日数本の列車が停車
SLが終焉を迎えた昭和40年代、全国できっぷブームが起こりました。愛国(あいこく)駅から幸福駅、銭函(ぜにばこ)駅、学(がく)駅などの乗車券や入場券が特に有名でしたが、夜明(よあけ)駅も駅名の良さから人気のきっぷのひとつでした。同駅は、JR久大(きゅうだい)本線とJR日田彦山(ひたひこさん)線の分岐点にあります。かつて賑わった駅も、年々乗降客が減り続け、59年には無人化し、簡易委託駅となりました。築堤(ちくてい)上には、開業当時からの小さな駅舎が現在も建っています。乗車券は国道を挟んだ向かいの「坂本商店」で販売しています。
「委託を引き受けた当時は1日に3万円も売れたことがありますが、今ではまったく売れない日もあります」と坂本長一郎さんは言います。駅にはノートが置かれており、訪れた人が感想を残していきます。時々、駅を訪れた人が記念にきっぷを購入することもあるそうです。まだまだ人気のある駅です。
JR久大本線のほぼ真ん中に位置するのが豊後森(ぶんごもり)駅です。隣駅の恵良(えら)駅からは昭和59年に廃線となった宮原線が分岐していました。今も特急が停車する要の駅です。改装はされていますが開業当時からの木造の駅舎が乗客を迎えてくれます。ホームからは扇形機関庫と転車台が見えます。この機関庫は、九州では唯一残る貴重な近代化産業遺産です。玖珠(くす)町では鉄道公園の計画もあり、人々は再び山々に汽笛が響く日が来ることを待ち望んでいます。
SLブームの頃、多くのSLファンが訪れた駅があります。JR日豊(にっぽう)本線の田野(たの)駅です。同駅と青井岳(あおいだけ)駅間の築堤は有名な撮影地で、全国からたくさんのファンが集まりました。駅は赤い屋根が特徴で、駅員はいませんが、駅の宿直室だったところにお菓子屋さん「わにつか堂」が入っています。
「駅には駐車場もあるし、近くに学校もあるのでお客も多く気に入っています」と主人の上村登さんは、お菓子作りの手を休めて話してくれました。駅は無人となって以来、地元のボランティアの方が清掃などをし、大切に使われています。待合室は地元の人たちの社交場でもあります。
- ・BS1…金曜15:20〜15:25(4月2日スタート)
土曜21:45〜21:50(再放送)
日曜23:30〜23:45(ダイジェスト版)
・ワンセグ2…月〜金曜12:55〜13:00
※金曜深夜随時
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