開業は明治23年(1890)。東日本を代表する格調高い白亜の駅舎は、大正元年(1912)竣工の2代目。近年美しく改修され、大正の香りが漂う。土台には宇都宮市で産出される大谷石が使われている。1階には貴賓室、2階にはホワイトルームと呼ばれる、一等旅客専用の待合室だったスペースが残されている。
住所●栃木県日光市相生町
- 美しくライトアップされた、風格すら漂う日光駅
- 大正天皇が利用した貴賓室も保存されている
- 電車もレトロ調に塗り替えられた
開業は大正元年(1912)。「通洞」は鉱山用語で主な運搬坑道のこと。かつて貨物輸送などで活況を呈した路線は、現在では観光路線として姿を変えている。観光の目玉は、渡良瀬川の渓谷沿いを走る車窓からの眺め。銅山も観光用に整備され、新たに足尾歴史館もでき、通洞駅はその最寄り駅として多くの人に親しまれている。
住所●栃木県日光市足尾町
- 休日は家族連れの姿が多く見られる
- 足尾歴史館ではガソリンカーが復活した
- ホームでオカリナの練習をする登坂さん
上神梅駅は大正元年(1912)に足尾鉄道の駅として誕生。国有化を経て、わたらせ渓谷鐵道が運営する駅に。山間の集落にたたずむ古い木造駅舎の壁やベンチは木目があらわになり、木の温もりや歴史を感じさせる。平成20年に約100mの石積みのプラットフォームとともに、国の登録有形文化財になった。
住所●群馬県みどり市大間々町
- 夜はさらにローカルムードが漂う
- 木の温もりを感じる駅舎のファンは多い
- 石積みのホームも国の登録有形文化財に登録された
「日光の社寺」が世界遺産に登録され、各地から観光客が訪れる日光。玄関口のひとつ・JR日光(にっこう)駅は、大正元年(1912)に建てられたネオ・ルネッサンス様式の美しい木造駅舎として知られています。この駅が賑やかだったのは昭和30年代から40年代初めの頃で、多くの観光客が日光を訪れました。駅前のみやげ物店の小西商店さんは、「湘南日光号が動いていた頃は、新婚さんが多く、店も忙しくて食事をする時間もなかったですね」と当時の様子を話してくれました。現在日光駅では、大正レトロをテーマとしたリニューアルが進んでいます。駅舎内は赤みを帯びた茶色を用いて美しく改装され、落ち着いた雰囲気になっています。また、ライトアップも行なわれ、幻想的な駅舎が人々を楽しませています。
平成18年に日光市と合併した足尾町。足尾はかつて足尾銅山で繁栄しました。わたらせ渓谷鐵道の通洞(つうどう)駅は足尾の玄関口です。駅舎は切妻造りで、ギザギザ模様の壁が特徴の山小屋風です。週末には人気のトロッコ列車(平成22年は11月末まで運行)が停車し、駅は賑わいます。夕方、駅のホームからオカリナの美しい音色が聞こえてきました。老人ホームなどで演奏する登坂多美次さんは「人がいなくなった頃に練習しています。駅舎内で吹くと響いていいですよ」と言い、一曲聞かせてくれました。
わたらせ渓谷鐵道では、開業当時の駅舎が今も使われています。群馬県みどり市にある上神梅(かみかんばい)駅もそのひとつ。鉄板葺きの木造平屋建ての駅舎は、屋根には苔が生え、木の改札口は傾いています。ここだけ時間が止まったような感じがします。駅を訪れるファンも多く、駅舎内にはノートが置かれ、思い思いの感想がつづられています。駅舎の周りやホームには色とりどりの花が植えられ、地元の神梅婦人会の人たちが中心となり花の世話をしています。「上神梅駅ですから梅も植えました。駅は昔から全然変わっていません」と駅前に住む福田良子さんは言います。古い駅舎は地元の人たちとファンに愛され、今日も大切に使われています。
- 放送は終了いたしました。
- <番組関連商品 発売中>
- ●DVD にっぽん木造駅舎の旅 DVD-BOX
- vol.1【九州・中国】編
- vol.2【近畿・四国・北陸】編
- 特典:NHK所蔵の駅構内アナウンスを集めたCD付き
- 販売元:ポニーキャニオン
- ●DVD にっぽん木造駅舎の旅 DVD-BOX II
- vol.1【中部・関東・甲信越】編
- vol.2【東北・北海道】編
- 特典:NHK所蔵の駅構内アナウンスを集めたCDと番組テーマ音楽『待合室』他CD付き
- 販売元:ポニーキャニオン
- ●コロナ・ブックス
『にっぽん木造駅舎の旅100選』 - 発行元:平凡社