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鉄道ジャーナリスト 史絵.の 鉄道ミュージアム発 楽しい鉄道三昧の旅☆vol.3「旅をしないとストレスが溜まる!」。そう熱く語る鉄道ジャーナリストの史絵.さん。女性ならではの観点から、鉄道の面白さを万人に伝えています。そんな史絵.さんが選んだ、ちょっと濃い鉄道旅。旅支度が済んだら、さあ出発進行!
東京駅発 北海道鉄道技術館 (札幌市東区)/2泊(1泊車中泊) 寝台特急「北斗星」で行く 北海道鉄道技術館&路面電車の旅
北海道鉄道技術館 明治43年(1910)に苗穂工場に建設されたレンガ造りの倉庫を利用した鉄道展示資料館です。北海道を走る様々な鉄道の模型や実物、資料が展示されています。館内には、鉄道模型ジオラマやそのジオラマ内の模型車両を運転できる「振子でトライ」があるほか、気動車などの実物の運転台が楽しませてくれます。
寝台特急「北斗星」 上野~札幌間を結ぶ寝台特急列車です。昭和63年3月の青函トンネル開通とともに誕生しました。豪華な客室や食堂車メニューは不動の人気を誇ります。日本における豪華寝台特急列車の元祖と言われていますね。誕生当初から現在まで爆発的な人気で、日本を代表する長距離列車です。
札幌市営地下鉄 札幌市民の足として大活躍の地下鉄。全車両が車輪ではなく、バスのようなゴムタイヤを使用している事で有名ですね。他の都市では味わえません! さっぽろ駅はJR札幌駅に隣接しているので、わずかな時間でも乗り鉄を楽しみたい方にもオススメ。
札幌市電 札幌市内(8.465km)を走る路面電車です。路線距離は短いですが、地下鉄との乗継割引や運転間隔が短いダイヤなど、頼れる交通手段として重宝されています。冬季に除雪のため運行される「ササラ電車」は、風物詩としてマスコミなどに取り上げられる事が多く、冬の札幌の顔ともいえます。
函館市電 函館市内(10.9km)を走る路面電車です。観光用として運行されている車両「箱館ハイカラ號」は、元ササラ電車を改造した車両で、史絵.一押しです。木製の車両はとても暖かみがあり、くつろぎのやさしい時間を味わえます。

 今回は、北海道の鉄道を楽しみながら、北海道の鉄道の技術にも触れられる「北海道鉄道技術館」を訪ねる2泊3日の旅です。

 北国への旅の始まりにふさわしいのは、昔も今も「上野駅」でしょう。夕方のラッシュが落ちつく頃、尾久(おく)の車両基地から最後尾を前に進入(推進運転)してくる元祖豪華寝台特急「北斗星」に乗り込みます。旅はいつも朝から始まるのではありません。ロマンチックな旅は、夜の街から始まる事もあるのです。

 東京のネオンをバックに北の星空に向かう車内。一晩かけて夜汽車を満喫した後、森駅から北の大地を疾走する「スーパー北斗」と快速列車を乗り継ぎ、苗穂(なえぼ)駅で下車。車両基地に隣接する「北海道鉄道技術館」を見学します。

 「北海道鉄道技術館」は北海道を代表する鉄道博物館で、様々な保存車両に出会えます。模型鉄道の運転体験を楽しんだ後、札幌の路面電車を乗り鉄しましょう。また、札幌市営地下鉄にて、全国でも珍しいゴムタイヤ式の地下鉄車両の乗車体験も加えるとさらに良いでしょう。

 翌日は、札幌駅周辺の鉄道を十分に楽しんだ後、函館駅に移動。ここでも、函館市電(路面電車)を乗り鉄します。函館駅からは、特急「スーパー白鳥」に乗車し、北海道と本州の海峡を走る青函トンネルを体感しましょう(北斗星で眠ってしまった人は、ここが体験できる最後のチャンス!)。

 帰りは新青森駅で東北新幹線「はやて」に乗車。東北新幹線を全線走破し、東京に帰郷します。オススメの“北の旅人的”な鉄道旅行です。

Shie's Special Plan
  駅名 時間 旅のひとことアドバイス
1

上野発 19:03 寝台特急「北斗星」に乗車


森着 7:27  
森発 7:39 特急「スーパー北斗1号」に乗車
札幌着 10:18  
札幌発 10:23 区間快速「いしかりライナー」江別行きに乗車
苗穂着 10:26 徒歩約15分で「北海道鉄道技術館」に到着! 見学後は札幌市内を撮影したり、札幌ら~めん共和国元祖さっぽろラーメン横丁で札幌のラーメンを堪能。サッポロビールやジンギスカンもオススメです♪ 札幌泊


札幌発 10:37 特急「スーパー北斗10号」に乗車
函館着 13:52 市内電車撮影、市内散策。宿泊される方は翌朝、朝市でカニやウニ、海鮮丼など、旬で活きの良い海の幸を楽しんで!
函館発 17:07 特急「スーパー白鳥42号」に乗車
新青森着 19:11  
新青森発 19:33 東北新幹線「はやて42号」に乗車
東京着 23:08  

北海道鉄道技術館●TEL.011-721-6624。第2・4土曜の13:30~16:00のみ開館(臨時休館の場合あり)。入館無料。JR函館本線苗穂駅より徒歩約15分。



東京駅発 九州鉄道記念館(福岡県)/1泊の旅 「九州鉄道記念館とSLやまぐち号」蒸気機関車の旅
九州鉄道記念館 明治21年(1888)、九州最初の鉄道「九州鉄道」(のちの国鉄、JR九州)が開業し、明治24年4月に現在の門司港駅本社が設置されました。九州鉄道記念館は、その本社本館を改装してオープン。静態保存された鉄道車両、ミニ鉄道運転体験や運転体験シミュレーターなど、九州鉄道の誕生から現在までを見て感じることができます。
新幹線N700系 日本を代表する鉄道車両の1つです。今回の旅では東京から九州までたっぷり乗車できます。東京を出てから1時間程で進行方向右手に富士山を拝む事ができるので、風光明媚な絶景と共に、快適な乗り心地を堪能。朝食と昼食は新幹線車内になるので、駅弁も2種類味わえますよ。
お洒落な列車 JR九州の車両は、新幹線から特急列車、普通列車に至るまで特色あるデザインが施されています。これらは、主に工業デザインを手がけているドーンデザイン研究所の水戸岡鋭治氏によるものです。遊び心、楽しさ満点の列車を楽しんでみてください。
快速「SLやまぐち号」 新幹線との接続駅、新山口と津和野を結ぶ臨時快速列車です。昭和54年に国鉄の動態保存蒸気機関車として登場した列車で、牽引機関車はC57-1号機。その細身で美しいシルエットから「貴婦人」と呼ばれます。登場当初は普通客車を牽引していましたが、昭和63年よりレトロ調に改造された12系客車を牽引しています。

 旅のスタートは東京駅です。東京駅といえば、丸の内口の赤レンガの建物が有名ですね。現在、この赤レンガの建物は創業当時の姿に復元中です。

 最近では、両側の丸いドーム型の屋根ができ上がってきました。工事中の様子は、完成してからでは味わえないため、新幹線に乗車する前に、ここで写真に収めておくのもよいでしょう。

 早朝に出発した新幹線「のぞみ」で朝食と早めの昼食をとり、小倉駅で下車。普通列車で門司港駅に移動。駅に隣接する「九州鉄道記念館」で、九州鉄道発達の歴史や運転シミュレーター、保存車両の見学を堪能しましょう。その後は、九州ならではのおしゃれなデザインの車両を満喫。まず、博多駅までは普通列車と特急「ソニック」に乗車です。

 「ソニック」をはじめ、JR九州の車両は日本の車両とは思えない斬新なデザインで、見ても乗ってもとても楽しめます。日が傾き始めた頃に到着する博多駅では、出入りする特急車両や普通列車を撮り鉄するのもおすすめです。

 博多駅周辺の私鉄(西日本鉄道)や地下鉄(福岡市交通局)を乗り鉄してみるのも良いでしょう。翌日は、新幹線で新山口駅に移動。ここからは、蒸気機関車C57形「やまぐち号」に乗車します。蒸気機関車の“貴婦人”と言われる美しいボディラインを眺めると共に車窓も楽しみましょう。新山口~津和野間は往復で4時間なので、蒸気機関車の旅をたっぷり満喫できますよ。

 再び、新山口駅からは2日間の楽しい思い出とともに新幹線「のぞみ」でゆったり帰京します。九州の鉄道&SLを味わう極上の旅に出かけてみませんか☆

  駅名 時間 旅のひとことアドバイス
1

東京発 6:30 東海道・山陽新幹線「のぞみ5号」に乗車
小倉着 11:17  
小倉発 11:50 鹿児島本線普通列車(門司港行き)に乗車
※土曜・休日は11:57発
門司港着 12:03 ※土曜・休日は12:11着
「九州鉄道記念館」を見学
門司港発 15:06 鹿児島本線普通列車(鳥栖行き)に乗車
折尾着 15:47  
折尾発 15:57 特急「ソニック38号」に乗車
博多着 16:28 博多駅にて撮影タイム☆ 天神にある博多名物「うまかもん通り」で夕食♪ 博多泊


博多発 9:30 山陽新幹線「のぞみ20号」に乗車
新山口着 10:06  
新山口発 10:48 快速「SLやまぐち号」に乗車
※運転日注意
津和野着 12:46 津和野市内を観光
津和野発 15:20 快速「SLやまぐち号」に乗車
※運転日注意
新山口着 17:04  
新山口発 18:06 山陽・東海道新幹線「のぞみ56号」に乗車
東京着 22:33  

九州鉄道記念館●TEL.093-322-1006。9:00~17:00(入館は~16:30)、第2水曜休(8月は除く。7月は第2水・木曜休。祝日の場合は翌日休)。入館料大人300円、中学生以下150円(4歳未満は無料)。JR鹿児島本線門司港駅から徒歩5分


鉄道ジャーナリスト ● 史絵. Shie.

幼いころから、路面電車に興味を持ち鉄道愛好家となる。平成18年(2006)から、鉄道の魅力や長所を伝えるため鉄道関係の映像や媒体で活動を開始する。近年では、執筆をメインに活動する鉄道ジャーナリストとして活動し、書籍の執筆や雑誌への寄稿、LRT推進活動に力を入れている。主な活動に、LRTサミットやフォーラム、シンポジウムにてパネリストや講師として出演。他にも、鉄道イベントやテレビ、ラジオ、新聞への出演を中心に活動している。著作に、交通新聞社新書『進化する路面電車』が発売中。 東京都交通局・都電荒川電車営業所、所長さまより、表彰状・感謝状授与。鉄道友の会会員。 江ノ島電鉄・江ノ電 「江ノ電第25回タンコロまつり」にて一日駅長就任。 日本の路面電車はすべて完乗。
オフィシャルブログ ●オフィシャルtwitter ●オフィシャルサイト

文・撮影=史絵.(オフィスSTJ)
写真協力=河上保之(ホエ)、菅井昌伸、高橋ミスター、裏辺研究所
※掲載されているデータは平成24年3月現在のものです。

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