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海なし県にもA級の魚が存在する。群馬県が誇る最高級ニジマス「ギンヒカリ」がまさにそれ。県が10年以上かけて選抜育種した筋金入りのブランド魚だ。
通常のニジマスは2年で成熟し、それを境に肉質が低下するが、ごく稀に突然変異なのか3年で成熟する個体が存在するという。3年目で初めて成熟する系統として確立されたニジマスこそが、このギンヒカリなのだ。
そもそも、群馬特有のブランドを探していた県側が、川魚に目をつけたことが事の始まり。養殖業者の間では3年で成熟するニジマスの存在は昔から知られていて、なおかつそれが“旨い”ということも知られていた。これに着目した群馬県が、3年熟成系ニジマスを選抜育種。1987年から取り組みを始めたが、そうは言っても、ギンヒカリの成熟期間は3年と長い。次の産卵までに3年という年月が都度かかるため、育種には実に十数年という時間を要した。こうして、銀色に輝くサラブレッド「ギンヒカリ」が世に誕生した。
2年熟成のニジマスと3年熟成のギンヒカリ。実は成長速度が違うわけでも、大きさが違うわけでもなく、1年で約200g、2年で約1㎏とどちらも同じように成長していく。
――では、いったい何がすごいのか。
「成熟期が1年延びるということは、おいしい状態のまま十分な大きさに育つということ。肉質の低下を伴わないギンヒカリは、従来のニジマスには向かなかった生食に適していると思われます」(群馬県農政部蚕糸園芸課)。
成熟期までの期間が長くなったことで“高品質な大型のニジマス”というこれまでになかった新境地を開拓。かくして、味を重視すると小ぶりになるがゆえ、焼き魚での提供が主流だったニジマスに、“刺し身用高級食材”という華々しい役どころが加えられることとなる。
キメが細かく、シルクのように舌ざわりなめらかな身。ほどよくのった上品な脂。刺し身やカルパッチョはもちろんのこと、ギンヒカリはフライや唐揚げ、蒲焼で食べても旨い。和食でも洋食でも、ジャンルを問わずさまざまな料理で楽しめるのもファンが多い所以だろう。
ギンヒカリは大きくなりすぎると成熟が早まってしまうため、エサ量を加減し、2年で成熟させないよう入念なサイズ調整が行われている。ストレスに弱い魚なので、極力触らない、池にもあまり入らないなど、細心の注意が必要だ。品質維持のために出荷量が減ることもあり、需要に供給が追いつかないこともしばしばあるという。
ちなみに、ギンヒカリの価格はニジマスの2~3倍。生産地の群馬県といえども、スーパーや小売店といった一般向けの流通経路は一切なし。県内の温泉地を中心に、ごく限られた場所でしか食べることのできない高級魚なのだ。
ニジマス版「鮭児(けいじ)」「時鮭(ときしらず)」とも称されるギンヒカリは、群馬県民でさえ頻繁に口にすることのできない貴重な魚。ニジマスに比べると少々値は張るが、訪れた際にはぜひともその味を確かめてみたいところだ。
刺し身やカルパッチョ、マリネやスモークなど、生食のレパートリーも豊富なギンヒカリ。肉質がきめ細かく、ほどよく脂がのっていることから、とろけるような舌ざわりが楽しめる。もちろん、焼き物や煮物、揚げ物の旨さも折り紙つき!
道の駅・田園プラザ内にある地ビールレストラン。地産地消を掲げ、野菜はもちろんのこと、肉や米にいたるまで地元・川場村産や群馬県産のものを使うよう徹底している。人気の「銀光丼(写真)」には、川場村の清流で育ったギンヒカリの刺し身を使用。ワサビ醤油ベースの特製ダレに和えたものが、ほかほかのご飯を覆い尽くす。その日に生け簀から揚げたものを使うので身はプリプリ。新鮮な刺し身とサクサクに揚がったフライの両方が楽しめる、欲張りな「銀光御膳」もおすすめだ。
銀光御膳:1,600円 銀光丼:1,400円
銀光定食:1,400円
営業時間:11:30~14:30・18:00~21:00、水休(8月は無休)
住所:利根郡川場村萩室385
交通:JR上越線沼田駅からバス約30分の「田園プラザ」下車、徒歩1分
TEL.0278・52・3715 店ホームページはコチラ
伊香保でも珍しい2つの源泉を持つホテルで、ギンヒカリを使った料理を豊富に扱う。たとえば、コースには柚子胡椒で楽しむお造りや、カルパッチョ風に仕立てた洋風のギンヒカリが添えられるほか、燻製寿司やしゃぶしゃぶ、クリーム煮といったオプションメニューも充実している。「ギンヒカリのムニエル 薫りパイ包み焼き」(写真)は、柚子胡椒で調味したムニエルを舞茸と大根おろしの特製ソースでいただく創作メニュー。ギンヒカリ料理は事前予約が必要なものも多いので確認をお忘れなく。
燻製寿司:1,575円 しゃぶしゃぶ:1,500円(要予約) ムニエル 薫りパイ包み焼き:1,260円(要予約) 宿泊:平日10,650円~(標準客室・定員利用時)
提供時間:夕食時(宿泊客のみ)
住所:渋川市伊香保町396-20
交通:JR上越線渋川駅からバス約25分の「見晴下」下車、徒歩5分
TEL. 0279・72・3880 店ホームページはコチラ
宿泊はもちろんのこと、日帰り入浴もできる温泉宿。食事も可能で、昼は手打ち蕎麦、夜は予約をすればギンヒカリ料理を楽しむことができる。とろりとなめらかなホワイトクリームにギンヒカリを合わせた「クリームコロッケ(写真右)」や熱々の「グラタン」、バターでソテーしたギンヒカリの上にポテトサラダとチーズをのせて香ばしく焦がした「ポテト焼き」、酒のあてにぴったりな「昆布じめ」(写真左)などを日替わりで用意。宿泊客には、お造り付きの夕食コースが供される。
クリームコロッケ、ポテト焼き、グラタン(要予約、価格は要確認) 宿泊:13,800円、19,500円(週末・休日料金の設定なし)
提供時間:夕食時(日帰り入浴は10:00~)
住所:吾妻郡嬬恋村田代681
交通:JR吾妻線万座・鹿沢口駅からタクシーで約20分
TEL.0279・98・042 店ホームページはコチラ
JR東京・上野駅から新潟新幹線「Maxとき」または長野新幹線「あさま」で約50分の高崎駅下車、 JR上越線に乗り換えて約25分の渋川駅から タクシー約25分、またはバス約25分の「伊香保温泉バスターミナル」下車 (平均所要時間約2時間40分)
JR東京・上野駅から新潟新幹線「Maxとき」または長野新幹線「あさま」で約50分の高崎駅下車、 JR上越線に乗り換えて約50分の沼田駅から タクシー約10分、またはバス約10分。村内循環バス運行。(平均所要時間約2時間40分)
JR東京・上野駅から新潟新幹線「Maxとき」または長野新幹線「あさま」で約50分の高崎駅下車、 JR吾妻線に乗り換えて約100分の万座・鹿沢口駅からタクシー約40分 (平均所要時間約4時間)
乗車券と指定席特急券がセットの6枚つづりの回数券。3人家族・グループ旅行などでおトクに使えるだけでなく、座席指定できるのが安心!
【発売期間】~平成26年3月31日(月)
【利用期間】~平成26年7月10日(木) [4月27日~5月6日、8月11~20日、12月28日~1月6日は除外]
【有効期間】3ヵ月