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まだまだ知られざるご当地の味 行って食べたい!ニッポンA級発掘グルメ

vol.20 長浜市のビワマス [滋賀県長浜市]


独自の進化を遂げた魚たちの宝庫、琵琶湖。冷たい水を好むビワマスは、主に北湖に生息する。

縦8m、横32mの網を仕掛ける刺網漁で獲る天然のビワマス。月夜の晩は網が見えるのか、まったく網にかからないという。

通年味わえるようにと、養殖場で育てたビワマスを2010年より出荷。地元飲食店や、地魚を扱う魚屋にお目見え。

色鮮やかな養殖ビワマスの刺し身。臭みがなく、一度食べれば「琵琶湖の魚」のイメージが一変するそう。

日本一大きな湖で育まれる淡海(おうみ)の宝石

 日本最大の面積と貯水量を誇る琵琶湖は、およそ10万年以上も昔から存在する古代湖。ロシアのバイカル湖、タンザニアのタンガニーカ湖に次ぐ歴史ある湖といわれている。他の水域から隔絶されている琵琶湖は、独自の進化を遂げた固有種が数多く存在。その数、50種以上といわれ、そのひとつが「ビワマス」だ。

 琵琶湖周辺の河川で生まれた稚魚は、5~6月頃に琵琶湖へ下り、2~4年を過ごす。そして再び、産卵期に生まれ故郷の川へと遡上して卵を産む。秋雨が降る頃に生まれた川を目指すため、地元では“アメノウオ”とも呼ばれている。

 銀色に光るビワマスの好物は、琵琶湖の名産・アユ。贅沢にも琵琶湖のアユをたっぷり食べて育つため、しっかりと身に脂をたくわえる。食べれば、口の中でとろけるような甘みは「トロ以上」ともいわれ、“淡海(琵琶湖)の宝石”とも称される。

 ビワマスが好むのは、7~15℃の冷たい水。そのため広い琵琶湖のどこにでもいるわけではなく、水深20m以上ある深部を好む。琵琶湖北部の竹生島(ちくぶしま)周辺は深さがあり、エサも豊富。さらに秋口には、川幅が広く水量も多い姉川(あねがわ)へ遡上するため、長浜市では昔からビワマス漁が盛んだ。
 現在も60軒が刺網(さしあみ)でビワマス漁を行なっている。なかでも6~9月は漁の最盛期。琵琶湖全体の水温が上がるため、ビワマスは冷たい水を求めて、深部の水流を目指す。そこに狙いを定めて網を仕掛けるのだが、餌や気温、環境の変化に敏感なビワマスを獲るのは難しく、年間20tほどと漁獲量は少ない。ゆえに天然ビワマスは、県外はもちろん、地元でもあまり知られておらず、「幻の魚」ともいわれているのだ。

 そんなビワマスを1年を通して食べられるようにと、2010年から養殖が始められた。もともと、環境にデリケートな魚で養殖は困難といわれていたが、滋賀県水産試験場の長年の研究が実り、養殖魚の作出に成功。産卵期前に成熟し、脂のノリが悪くなる天然のビワマスに比べ、養殖ものは肉質劣化がなく、1年を通して旨みがあり、色合いも美しい。
 琵琶湖の地下水が引き込まれた養殖場には、天然では捕獲が禁止されている小さなビワマスから、大きいものまで育てられる。特に小さい養殖ビワマスは骨が柔らかく、頭から丸ごと食べられる塩焼きにうってつけだ。
 「幻の魚」といわれる天然のビワマスと、それに「味が劣らない」と評判の養殖のビワマス。長浜まで出かけて、自分の舌で両方のとろける味を確かめたい。

SPOT いざ、ビワマスを食べよう!

活き締めした後、6時間以上寝かせると旨みが増すビワマス。上品な甘みを堪能するなら、まずは刺し身や寿司で。また、塩焼き、煮付け、味噌煮、天婦羅などでも、ふくよかな身の旨みを満喫できる。さらにビワマスを煮てからご飯と炊き込む「アメノウオご飯」や「こけら寿司」といった、祝いの席に登場する伝統の郷土料理を供するお店や宿も点在。長浜ならではの味を食べ歩いてみて。

自家養殖のビワマスと
朝採れ野菜を供する田舎家|鮎茶屋かわせ

ビワマスや鮎を養殖する「鮎茶屋かわせ」。刺し身や握りはもちろん、カルパッチョや塩焼きも。前日までに予約すれば、「早(はや)寿司(写真)」などビワマスを使った郷土料理も味わえる。自家栽培する野菜も滋味あふれる。風情ある木造の広々とした座敷で地元の味を堪能したい。

早寿司:500円
営業時間:11:30~21:00、無休(11~2月は不定休)
住所:長浜市南浜町53
交通:JR北陸本線長浜駅から車で約12分(予約すれば送迎あり)
TEL.0749-72-4110 ホームページはコチラ

天然ビワマスのとろけるような舌触りにうっとり|京極寿司

60年以上にわたり客を魅了してきたのは、地元長浜や金沢の市場から仕入れる新鮮なネタ。なかでも天然ビワマスは、無菌ながらも万全を期して冷凍殺菌を施す。獲れたてのような新鮮な香りと舌触りを、丁寧な握りで味わいたい。甘酢で締めた「ビワマス寿司」はおみやげもいい。

天然ビワマス握り(1貫):400円、
ビワマス寿司:1300円
営業時間:11:00~21:00、火曜休
住所:長浜市元浜町6-11
交通:JR北陸本線長浜駅から徒歩5分
TEL.0749-62-3265 ホームページはコチラ

琵琶湖畔に建つ絶景宿でビワマスの旨みに舌鼓|浜湖月

全客室と湯船から琵琶湖が望める湖畔の宿。鉄分を多く含む炭酸総鉄イオン泉の湯に癒される。ビワマス料理は要予約で、お造りや焼き魚など多彩な味を満喫できる「びわます御膳(写真)」のほか、春から秋にかけては風味とまろやかな食感に心踊る「棒(ぼう)寿司」も味わえる。レストランのみの利用もでき、ランチに味わうのもいい。

びわます御膳:3240円、びわます棒寿司:3780円
ビワマス宿泊プラン(1泊2食付き、ビワマス料理は2品程度):2名1室ひとり2万3760円~
チェックイン15:00、チェックアウト11:00
レストラン「紅がら亭」営業時間:11:00~15:00・17:00~20:30L.O.
立ち寄り湯:11:00~14:00・16:00~20:00、1500円(食事利用の場合は1000円)
住所:長浜市公園町4-25
交通:JR北陸本線長浜駅から徒歩約10分(電話連絡で送迎あり)
TEL.0749-62-1111 ホームページはコチラ

TICKETSいざ、長浜へ行こう!

<東京方面から>

JR東京駅から東海道新幹線「ひかり」で約2時間12分の米原駅下車、
北陸本線に乗り換えて約9分の長浜駅下車(所要時間約2時間30分)

<大阪方面から>

JR大阪駅から東海道本線新快速で約1時間23分の米原駅下車、
北陸本線に乗り換えて約9分の長浜駅下車(所要時間約1時間40分)

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【有効期間】乗車日当日限り

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取材・執筆・構成:佐藤さゆり(teamまめ)
写真提供:長浜バイオクラスターネットワーク長浜地方卸売市場、、鮎茶屋かわせ京極寿司浜湖月
※掲載されているデータは2014年8月現在のものです。

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