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ハマチといえば出世魚の一つ。呼び名は地域と成長段階によって異なり、昭和初期までは100近い名称が存在したという。関東では養殖ものをハマチ、天然ものをブリと呼ぶことが多いが、関西では1~4kg程度のものをハマチ、それ以上は成長過程に合わせてメジロ、ブリと呼ぶ。香川ではツバス→ハマチ→ブリと呼び名が変わるという。
1995年、ハマチを県魚に指定した香川県は、世界で初めて海産魚の近代的な養殖を成功させた。引田(ひけた)村(現・東かがわ市)の網元三男だった野網和三郎(のあみ わさぶろう、愛称・ワーサン)は、水産学校を卒業すると、播磨湾に面した海水池の安戸(あど)池で、水門を網で仕切り、養殖実験を開始。定置網に入った小型魚を放流するなかで、ハマチが最も環境に慣れやすく、成長も早いことを突き止めた。試行錯誤の末に昭和3(1923)年、餌付けに成功。世界の海産魚類養殖の礎となった。
香川ではその後も工夫がなされ、昭和30年代後半にいけす網を海面に浮かべた小割生簀式養殖が開発され、ハマチ養殖は西日本を中心に飛躍的に普及した。
ハマチは、黒潮本流に沿った東シナ海を中心に、太平洋側は房総半島、日本海側は能登半島沖合までの広い範囲で、春に産卵する。潮にのって成長し、数cmの稚魚はホンダワラなどの流れ藻に付いて棲息する。体長数㎝~20㎝の稚魚期をモジャコ(藻雑魚)と呼び、香川でも昭和40(1965)年頃まではモジャコを獲っていた。現在は資源保護のため、鹿児島・長崎・愛媛県などでモジャコから1年養殖された2年魚を仕入れ、飼育している。
ちなみに、冬の香川県沿岸部の水温は、冬の青森県並みの水温で、約7℃。そのためハマチは越冬できず、通年での養殖はできない。しかし冬季の養殖を行わないおかげで、良好な水質環境を保つことができるという。
出荷時期は、3~5㎏にまで成長した9月頃から翌年1月頃までだ。10月頃から水温が下がって身が引き締まり、脂がのってくる。最も脂がのる水温は15℃で12月頃。その頃、他県に比べて早い最盛期を迎えるのだ。
香川では、ハマチ養殖80周年を迎えた2008年、引田漁業協同組合で養殖されている「ひけた鰤(ブリ)」を長男に据え、次男を瀬戸内の直島で養殖されている「なおしまハマチ」、三男を香川特産のオリーブの葉粉末を餌に加えて育てた「オリーブハマチ」として、「香川ブランドハマチ三兄弟」として売り出すことを決定した。
体重4kg以上にもなるひけた鰤は、引田の沖合6㎞に設置された大型生簀でストレスなく泳ぎ回り、身の引き締まった食感が魅力だ。また、なおしまハマチは、大小27の島々が点在する瀬戸内海を複雑に早く流れる潮にもまれて育ち、月1回の身体検査で健康状態や肥満度をチェックされた高品質。そして、香川特産のオリーブの葉の粉末入りの餌を与えたオリーブハマチは、臭みの少ないさっぱりとした味わいが特徴だ。
旬を迎える10月下旬には、各地のフェスタでハマチ三兄弟の試食イベントが行われる。また、年の瀬に向けて、ハマチは贈答用などにも用いられるという香川県。各地をめぐってハマチ三兄弟の味を存分に満喫したい。
県魚だけあって、香川県1世帯あたりのブリ類年間購入量は、常に全国上位に入る。さらに近年は増加傾向にあるという。刺し身はもちろん、塩焼き、しゃぶしゃぶのほか、照り焼きはおせち料理の定番! メニューも数々編み出されているので、ハマチ三兄弟の漁場近くで、ご当地ならではの逸品を味わいたい。
ハマチ養殖発祥の地である安戸池のほとりで、鮮度抜群の旬魚が味わえる。なかでも11月上旬よりお目見えするのが、朝締めのひけた鰤。ブリブリの食感のあと、脂の甘みが舌の上で広がる。刺し身、カツもあるが、丼で豪快にかっこむのもいい。
ひけた鰤刺身定食:700円、ひけた鰤丼定食:700円、ひけた鰤カツ定食:600円など
提供期間:11月初旬~1月上旬(期間外は通常のブリやハマチを使用)
営業時間:10:30~13:30(土・日曜・祝日は~14:00)
※1Fふるさと特産品コーナーは7:00~16:00、火曜休
住所:東かがわ市引田4373
交通:JR高徳線引田駅から車で5分
TEL.0879-33-2800
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“ご島地”バーガーの具に用いるのは、地元漁師から仕入れた「なおしまハマチ」。フライとたっぷりの特製タルタルソースをバンズにはさめば、サクサクの衣に絡んで、脂ののったハマチの旨みがじゅわり。チーズやアボガドのトッピングでさらに味深まる!
元祖 直島バーガー:640円
提供期間:10月頃~12月末(期間外は通常のハマチを使用)
営業時間:10:00~17:00、不定休
住所:直島町本村750
交通:本村港から徒歩6分
TEL.090-8286-7039
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瀬戸内海で獲れた旬魚がわんさか。なかでも、ほんのりオリーブ色の「オリーブハマチ」は、さらりとした脂で、刺し身、ブリ大根など、いろんな形で登場。1本から2切れしかとれないカマを大きめに切ったカマ山椒焼きは、ダイナミックに味わいたい。
カマ山椒焼き:432円
営業時間:11:00~14:00(土・日曜・祝日は~15:00)
提供期間:9月中旬~1月頃(期間外は通常のハマチを使用)
住所:高松市牟礼町原631-7
交通:高松琴平電鉄志度線房前駅から徒歩2分
TEL.087-845-6080
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JR東京駅から東海道・山陽新幹線「のぞみ」で3時間9分の岡山駅下車、
特急「うずしお」に乗り換えて1時間39分の引田駅下車
JR新大阪駅から東海道・山陽新幹線「のぞみ」で44分の岡山駅下車、
特急「うずしお」に乗り換えて1時間39分の引田駅下車