今や那覇でも多く食べられる「タコライス」は、金武(きん)の米軍基地前のお店で生まれたご当地洋食。タコライスのタコはタコスから。ご飯の上にタコスミート、レタスにチーズ、サルサソースがかかり、かき混ぜていただく。チーズや野菜が増量できるお店もあり、特にチーズを大量にのせたものがおすすめ。那覇ではおしゃれに具が少なめのところもあるので、できれば発祥の地で食べたい。
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佐世保は戦後のアメリカ海軍の駐留以来、アメリカの影響を色濃く受ける基地の町である。軍の敷地外にできたとされるハンバーガーショップが日本で最初のハンバーガー屋であるという説もあるくらい、歴史あるハンバーガーの町でもある。
ご当地バーガーと呼ばれる地元の特産品を活用した創作ハンバーガーが、B級グルメブームに乗って全国各地で創られているが、佐世保バーガーはそうした観光客目当ての開発型のものとは全く違う、地元市民に長年愛されて、地域に根差した本物のB級ご当地グルメである。
佐世保バーガーは作り置きをせず、注文を受けてからバンズから焼く。パテももちろん焼いて、生野菜などを合わせて、焼きたてのハンバーガーを提供する。佐世保バーガーにハマる美味さの理由の一つはここにある。そして、店によっても味は違うのだが、マヨネーズが概して甘い。この甘みが癖になるのだ。
催事などで、佐世保バーガーはデカイものという印象を持っている方もいるだろう。催事のはさすがに大きすぎだが、レギュラーサイズは確かに大きめのアメリカンサイズ。しかし小さいものもあるので、いくつか食べたいならこちらを注文すればよい。
チェーン展開していないハンバーガー専門店が複数成立するくらい、地元のハンバーガー需要は高く、食文化として根付いている。飲んだ後の〆にハンバーガーを食べたり、お土産にして翌日焼き直して食べる人もいるとか。また、お店によってはメニューもバラエティに富んでおり、某ファーストフードチェーンの人気メニュー、ベーコンエッグバーガーは実は佐世保で誕生している。現在は閉店してしまったが、「らりるれろ」という地域限定のチェーンもあり、佐世保っ子はみな全国チェーンだと思っていたらしい。函館に「ラッキーピエロ」という函館近辺限定のチェーンがあるが、地域限定バーガー対決とかできたら楽しかったなあ、などと勝手に思ったりもする。
佐世保はサンドイッチも美味い。やはりマヨネーズが美味いが、パンにもこだわりがある「ロン・サンドイッチ店」のサンドイッチは地元百貨店の名物であり、今は佐世保駅でも買うことができる。翌日焼いて食べてもよし。これも地元に根付いた味である。
絶大な人気を誇る超有名店。休日には大行列ができ、佐世保バーガーの人気をリードする。甘めのマヨネーズがはまる味。
サンドイッチで有名だが、ハンバーガーも相当美味い。パテにはミートローフを使用し、バンズにもこだわった絶品の味。巨大なサイズもある。
某テレビ番組で紹介され、じわじわと認知度が上がってきた佐賀のシシリアンライス。昨年の第1回九州B-1グランプリで準優勝し、九州内では一気にメジャーな存在となった。昭和50年代、佐賀には喫茶店が多く、一説によると人口密度に対する喫茶店の数が日本一だったそうで、その頃シシリアンライスは誕生したらしい。発祥の店は閉店したとのうわさもあるが、そのお店では近年既にシシリアンライスは提供していなかったようだ。もともと喫茶店で食べられていたメニューだが、数年前までは絶滅危惧種的なレア物になっており、数店の名物メニューとして、知る人ぞ知るメニューであった。
シシリアンライスは、白飯に焼き肉、その上にサラダがのり、ドレッシングやマヨネーズがかかる、ちょっとおしゃれなカフェめしの風情。かなりのボリュームだが、女性でも意外にぺろりと食べてしまう人が多い。焼き肉のタレがしみたご飯と、酸味の効いたドレッシングやマヨネーズを一緒に食べても意外に合う。ちなみに、なぜ「シシリアンライス」と命名されたかは不明である。
佐賀は歴史ある町でもあるのだが、ちょっとハイカラなこうしたメニューが市民の日常食として食べられていたというのは興味深い。一時期と比べ減っていた提供店は、認知度の上昇に伴って、最近徐々に増えてきており、現在市内で食べられる店は20店以上あるそうだ。喫茶店だけでなく、レストランや居酒屋などでも提供され、焼き肉屋の裏メニューとしても存在する。老舗の人気店に加え、新進のお店でもオリジナリティ溢れるシシリアンライスがいただける。見た目にも美しいデコレーションは食欲をそそる。一方で、焼き肉が二段になっていて、食べていくとご飯の中から肉が発見できて、ちょっとニンマリしてしまうものや、ドレッシングを使わなかったり、マヨネーズとケチャップだったりと味にもバリエーションがある。量が多いので、食べ歩きに向くメニューとは言い難いが、やはり食べ比べてみたいものだ。
シシリアンライスがメジャーになる前から、ひそかに注目を集めていたお店。レトロな雰囲気の店内で、ピリ辛焼き肉と野菜たっぷりのシシリアンを。
昭和56年創業で、開店時から提供している老舗。焼き肉が二段重ねで入り、昔ながらのスタイルでドレッシングは使わず、マヨネーズとケチャップを使用する。
今や那覇でも多く食べられる「タコライス」は、金武(きん)の米軍基地前のお店で生まれたご当地洋食。タコライスのタコはタコスから。ご飯の上にタコスミート、レタスにチーズ、サルサソースがかかり、かき混ぜていただく。チーズや野菜が増量できるお店もあり、特にチーズを大量にのせたものがおすすめ。那覇ではおしゃれに具が少なめのところもあるので、できれば発祥の地で食べたい。