棒寿司や押し寿司、ちらし寿司などさまざまな寿司駅弁があるが、なぜかにぎり寿司は少数派。そこで、「日本一のにぎり寿司弁当を作ろう」と雑誌企画で立ち上げ、調製元の協力を得て1998年に誕生した。この企画には筆者も携わっている。
経木容器にアナゴ、カキ、小イワシ、牛肉など“安芸の八珍”といわれる広島名物の食材を8種類、1カンずつにぎり寿しにした。小イワシは足が早いが、どうしても欠かせない広島名物。下処理と酢の加減を工夫し、臭みのない一品に仕上げて仲間入りした。春・夏は小鯛、秋はマツタケ、冬はカキと、ネタは季節ごとに若干変わる。その内容は職人さんに“おまかせ”することからこの名称がついている。
発売開始から10年以上が経過したが、現在では広島駅の名物駅弁としてすっかり定着。掛け紙の裏面には、広島のふるさと名産マップや駅弁開発の経緯、弁当の献立などが紹介されている。デザートとして添えられた柿ようかんをかじりながら、じっくり読んでみてください。