塩荘(しおそう)は、敦賀駅で立ち売りの弁当販売を開始して以来、1世紀以上の歴史を刻んできた老舗。同社には「元祖鯛鮨」というヒット商品があるが、「鯛の舞」はその上位バージョンにあたる駅弁だ。
パッケージを開けると、木箱に収められた美麗な鯛寿司が目に飛び込む。以前、旅チャンネル(スカパー!)の「駅弁女王と行く!全国鉄道グルメの旅」という番組で筆者と共演した三遊亭楽麻呂師匠は、この様子を見るなり「鯛が舞っています!」と叫んだものだ。
内容は、若狭湾の近海でとれた鯛の身を三枚におろして薄塩で締めた後、福井県産の「華越前」とコシヒカリをブレンドした酢飯と合わせた押し寿司。ほのかに甘い酢飯が鯛の旨味を引き出しており、極上の味わいを堪能できる。通常版の「元祖鯛鮨」との違いは、品のよさにある。かみ締めるうちに容器に使われた杉材の香りが寿司の味覚と絶妙に絡み合い、上質かつ上品なおいしさを醸し出す。強気の価格設定だが、その価値は十分にある逸品だ。