東京湾に面した木更津は昭和30年代から潮干狩りが盛ん。それをイメージしてこの弁当を開発したのは木更津の『浜屋』。しかし浜屋が駅弁業から撤退したため、木更津駅を本拠地とする『万葉軒』が受け継いだ。2008年にはリニューアルを行ってアサリを増量したほか、パッケージも一新している。
だ円形の容器に掛け紙を巻き、伸縮性のあるひもでしばる。掛け紙には、歌舞伎世話物の名作『与話情浮名横櫛(よわなさけ うきなの よこぐし)』の前半に登場する、「木更津海岸見染の場」が描かれている。
中身は、炊き込みご飯の上に特産品のアサリをたっぷりのせた貝弁当で、副菜にはイワシの蓮根挟み揚げ、マグロの照り焼き、きんぴらごぼう、ほうれん草ピーナッツ和え、煮物などを添えた。特製ダレで甘辛く煮込んだアサリには生姜が散りばめられており、さわやかな香りとピリッとした刺激が食欲を誘う。身の部分はふっくら、貝柱は心地よい歯ざわりと2つの食感を同時に楽しめるのも魅力だ。
炊き込みご飯にも生姜が混ぜられており、食欲が減退しがちな季節でもぴったりの駅弁。房総周辺の味覚を盛り合わせたおかずを肴にすれば、ビールの消費量もぐいっと上昇しそうだ。