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駅弁の女王小林しのぶが選ぶ 絶対に食べたい駅弁

福島牛の旨みを堪能できる“こでらんに!”駅弁 福島牛 牛のりべん 郡山駅

 昨年3月に発売された福豆屋の駅弁。同社が販売する「福島牛 牛めし」と「海苔のりべん」のよいところを集めたような内容だ。東日本大震災の影響を受けて一時期、調製を休止していたが、半年後の10月初旬から販売を再開している。

 厚紙製の容器を掛け紙で包み、ひもで十字にしばった。掛け紙には、あかべこが「モー、こでらんに!!」とつぶやくイラストが描かれている。中身は、郡山産こしひかりを炊いたご飯の上に、ブランドのり“みちのく寒流海苔”と福島牛のしぐれ煮・そぼろをのせた“牛のりべん”。副菜には、炒りごぼう、卵焼き、しば漬けが添えられている。

 牛肉のしぐれ煮とそぼろは、独自に調製したタレで甘辛く煮込まれており、ふっくらと炊き上げられたご飯との相性は抜群。牛肉の下にも海苔を仕込んでいるため、山海の幸が絶妙に絡み合ったおいしさを堪能できる。ちなみに「こでらんに!」は福島の方言で、「たまらない! 最高!」という意味だそう。その言葉にふさわしい見事な仕上がりだ。

駅や駅周辺で買えるオススメの駅スイーツを厳選紹介!
  • 価格:1050円
  • 種類:肉系
  • 調製元:(株)福豆屋
  • 電話:024-943-0528

勇壮な手筒花火をモチーフにした二段重弁当 手筒花火弁当 豊橋駅

 手筒花火(てづつはなび)は、縄を巻いた竹筒に火薬を詰め、人が抱えながら火花を噴き上げる花火。戦国時代の狼煙(のろし)が起源といわれ、現在では豊橋市を中心とする東三河地方で盛んに行なわれている。そんな伝統ある手筒花火をモチーフにしたのがこの駅弁。明治22年(1889)から駅弁業を開始した壺屋弁当部が調製している。

 容器は、花火に用いられる竹筒を模した筒状二段重ねで、持ちやすいようにひもを十字にしばって円形の結びを作っている。上段にはバラエティに富んだおかずがぎっしり。豊橋名物の竹輪をはじめ、エビ天ぷら、焼き魚、ホタテ煮、つくね、野菜の煮物と見ているだけでほおが緩んでくる豪華な内容だ。下段には、華やかな花火をイメージした巻き寿司が並ぶ。アサリしぐれ煮、かんぴょう、梅しそ、錦糸卵と具材の種類も多様で、どれから食べようかと迷うのもこの弁当の楽しみの一つになっている。

 駅弁は通年販売だが、手筒花火を中心とする豊橋市の花火大会「炎の祭典」は今年9月の開催予定。花火弁当を食べながら勇壮な手筒花火を観賞するのも粋である。

「トレたび」おすすめプレイバック

豊橋駅発! 駅弁とともに飯田線秘境駅探索の旅へ
  • 価格:1100円
  • 種類:幕の内
  • 調製元:壺屋弁当部
  • 電話:0532-31-1131

軽食にピッタリ。ワンコインで買える手作りいなり 駅弁いなり 東京駅・品川駅など

 食事するほど空腹ではないが、おやつでは物足りない。そんなときにピッタリのいなり駅弁を紹介する。ワンコイン(500円)という手ごろな値段と相まって、売れ行きは好調という。

 長方形のパッケージには、メーンとなるいなりに加え、季節ごとに内容が変わるお楽しみの一品と漬物が並ぶ。5個のいなりのうち3つはゴールドに輝く小金いなりで、中身は五目飯が2個、もう一つには青じそと山椒で味付けされた酢飯が詰められている。後の2つは姫いなりで、黒豆煮と酢飯を抹茶風味の揚げで包んだものと、青菜入りの酢飯を柚子で香り付けした揚げで包んだのが一つずつ収まる。いなり駅弁は味わいが単調になるのが短所だが、揚げや中身にも工夫を凝らしているため最後まで飽きずに食べられる。つややかなご飯はほどよい酢加減、揚げには薄皮仕様を用いるなど素材にこだわったのも見事。噛み締めるほどに、薄皮にしみ込んだジューシーな揚げ汁と、適度に酸味をきかせたさっぱり仕立ての酢飯との融合を堪能できる。

 軽食の締めは、プチスイーツ。甘さ控え目の豊かな味わいに心がなごむ。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

全国各地の財布に優しい駅弁たちを紹介!

大河ドラマの内容をイメージしたちらし寿司 平清盛たこしゃぶちらし 神戸駅

 新しい大河ドラマがスタートすると、ゆかりの地は観光客誘致で大いに盛り上がる。駅弁も例外ではなく、ドラマの内容にちなんだ弁当の開発に余念がない。今年のテーマはもちろん『平清盛』である。

 淡路屋が調製する「平清盛たこしゃぶちらし」は、平家ゆかりの瀬戸内海合戦をテーマにしたちらし寿司。中央に盛りつけたイイダコの旨煮は主役の清盛、刀豆(なたまめ)の花は刀を持って平家に襲いかかる源氏、そしてタコしゃぶは荒れ狂う海を表現しているという。おかずのメーンであるタコしゃぶは、あっさりと上品な味わいだが、添付された香味わさびドレッシングをふりかけると味わいが一変。どことなく平板だった味覚に奥行きが生まれ、食がもりもりと進みはじめる。特製のダシ汁で味を付けたタコの旨煮は甘みがあっておいしい。これなら清盛をもう2、3人追加してほしいところだ。

 パッケージには神戸市内に点在する清盛ゆかりの地を記した地図が印刷されている。老舗の淡路屋にぬかりはない。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

平清盛ゆかりの地をめぐる
  • 価格:1050円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:(株)淡路屋
  • 電話:078-431-1682
※掲載されているデータは平成24年6月現在のものです。

 

女王PROFILE 小林しのぶ 旅行ジャーナリスト・エキベニスト・駅弁愛好家

 駅弁の食べ歩きは20年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから"駅弁の女王"と呼ばれる。全国各地の調製元と新作駅弁の共同開発を手がけるほか、新聞、雑誌、ウエブ等に連載多数。プロデュースした駅弁は「1000号はっこう弁当」「東京もちべん」(東京駅)ほか。

 フードアナリスト。日本旅のペンクラブ会員。千葉県佐原市出身。

 近著に『全国美味駅弁 決定版』(JTBパブリッシング)、『五つ星の駅弁』(東京書籍)、『どんぶりこ』(交通新聞社) 、『超いまうまい帖』(ぶんぶん書房)、『すごい駅弁!』(メディアファクトリー)などがある。NEXCO東日本で展開している「どら弁当」の監修者でもある。

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