東側が来島(くるしま)海峡に面した愛媛県今治市は、マダイの漁場として有名だ。日本三大急流のひとつに数えられるほどの厳しい環境の中で育ったタイは身がよく締まり、瀬戸内海を代表する名産品としてその名を全国にとどろかせている。
このタイをふんだんに使った駅弁が二葉の「鯛めし弁当」。長方形のプラスチック容器には炊き込みご飯とおかずが詰められており、フタを開けた瞬間、タイの香りがふわりと漂って食欲をそそられる。タイの骨とアラからとった濃厚なダシ汁で炊いたご飯の上には、手作業でほぐしているというタイの身がのり、淡雪が降り積もったような様子が美しい。口に運ぶと、ご飯の一粒ひと粒にタイの旨みがしっかり染み込んでおり、上品で淡白なタイの風味を生かすように薄口に仕上げた職人技に感心させられる。
おかずはエビ天ぷら、きんぴらごぼう、野菜の煮物、有頭エビ、玉子焼きなどで、いずれも主役の鯛めしをじゃましないシンプルな味付けがほどこされている。この1160円弁当のほか、買い求めやすい840円・950円バージョンも用意されている。