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駅弁の女王小林しのぶが選ぶ 絶対に食べたい駅弁

こってり濃口のタレを絡めたウナギの蒲焼きが絶品|うなぎ飯|豊橋駅

 豊橋市は古くからウナギの養殖が盛んで、その豊橋名物をメインにしたのが「うなぎ飯」。大ヒット駅弁「稲荷寿し」で知られる壺屋弁当部が調製している。

 昔ながらの経木枠の容器にフタをのせて掛け紙を巻き、ヒモでしばった。中身は、深みのある容器に粘り気のあるご飯を敷き詰め、その上に駅弁とは思えないほど大きいウナギの蒲焼きを2切れのせている。添えられているのは、フタの上にのせられていた柴漬けと山椒だけという極めてシンプルな弁当だ。ほかのおかずを入れなかったのは、素材のうまさに絶対の自信があるからだろう。気持ちがよいほど直球勝負の駅弁といえる。

 蒸した後で焼いたウナギは、ふっくらと肉厚。濃厚な甘辛味のタレをたっぷりと絡めており、もっちりとした食感のご飯とよく合う。ご飯にもタレをかけるなど細部まで抜かりのない仕上がりで、食後の満足度は高い。豊橋駅構内の新幹線や在来線ホームの売店で購入できる。

壺屋弁当部の大ヒット駅弁「稲荷寿し」!
  • 価格:1200円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:壺屋弁当部
  • 電話:0532-31-1131

郷土料理をアレンジした駅弁。美麗な容器にも注目|鮭はらこ弁当|新潟駅

 はらこ飯は、ご飯の上にサケの身とイクラをのせた料理で、サケが遡上する川の多い新潟や宮城では古くから親しまれてきた。そんな郷土料理をアレンジしたのがこの駅弁だ。

 サケのイラストをプリントしたパッケージに円形の容器を収めた。フタを開けると、4種類のおかずが異なる色彩を描き出すカラフルな弁当が姿を現す。新潟県産のコシヒカリを炊いたご飯の上では、イクラのみりん醤油漬け、サケフレーク、刻み椎茸、そして錦糸卵が等分に配されている。イクラは手作りのタレにひと晩漬け込んで仕上げたもので、プチンとした食感とともに、イクラとダシが一体となった旨さを堪能できる。見た目ほど濃口ではないため、素材の味覚をじっくりと味わえるのが楽しい。このイクラと対照的なのが刻み椎茸。椎茸の風味を深める濃口の仕上がりがコシヒカリとベストマッチで、箸の動きがいっそう加速する。

 朱色の容器は丈夫なプラスチック製で、フタには新潟県の木、雪椿の美しい姿が描かれている。持ち帰れば小物入れなどとして重宝しそうだ。

「トレたび」おすすめプレイバック

新潟駅で外せない和洋充実のお菓子をご紹介!

100年以上、駅弁ファンに愛されているアジ寿司|特選小鯵押寿司|小田原駅

 発売から1世紀以上が経過した超ロングセラー商品。現在では、東海道本線を代表する駅弁として多くのファンに愛されている。

 干物の入れ物に使われるようなザルの格子をデザインしたパッケージで容器を包む。中身は、相模近海で水揚げされた小アジを塩で締め、さらに酢に漬けた後で関西風の押し寿司に仕上げたもの。メインはアジ寿司だが、シソ巻きの押し寿司を2カン加えたところにも特徴がある。

 アジ寿司は、塩と酢を使ってふた手間かけることで、生臭さを見事に消し去った。あくまで好み次第だが、添付された醤油をつけなくても、アジ本来の旨みを十分に味わえる。それでも小アジを連続して食べると、酢の味覚に慣れてくる。そこで出番となるのがシソ巻きの押し寿司。ハーブのように香り高い野菜がさっぱりと口直ししてくれるため、アジ寿司の味覚をいっそう深めてくれる。

 100年以上にわたって売れている商品の底力を実感できる鉄壁のコンビネーションといえるだろう。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

「スーパービュー踊り子」で東海道本線のナイスビューを楽しむ!
  • 価格:980円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:(株)東華軒
  • 電話:0465-47-1186

伝統の保存技術が支える旨みたっぷりの新鮮カニ寿司|元祖かに寿し|鳥取駅

 調製元から車で1時間以内の場所にある地元漁港で水揚げされたばかりのカニの身をふんだんに使った鳥取駅の名物駅弁。販売開始は昭和27(1952)年で、各地にある「かにちらし寿司」の元祖となった。数年後には、11~3月の漁期に揚がったカニを新鮮保存するノウハウを独自に開発し、カニ駅弁を通年販売する先駆けともなった。

 内容は、カニの甲羅をイメージした八角形の容器に鳥取産米を使った酢飯を敷き詰め、その上にカニのほぐし身とカニ脚、錦糸卵をたっぷりと盛り付けたカニメインの寿司弁当。カニの身はもちろん、ご飯や酢、錦糸卵などの料理はすべて同社のオリジナル。旨い駅弁をつくるために試行錯誤を繰り返して、現在の形にたどり着いたという。

 カニの身は、ボイルした後、スタッフが1本ずつ手作業で取り出し、甘酸っぱい味覚になるように調理をほどこしている。ご飯も酢飯なので濃口に感じられる場合もあるが、これを緩和するのが付け合わせの塩昆布と奈良漬。これも同社のオリジナルで、できる限り添加物を使わずに仕上げる姿勢は発売時から変わっていない。カニ好きならずとも満足できる味わい深い駅弁だ。

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鳥取駅からの旅のご案内
※掲載されているデータは2013年11月現在のものです。

 

女王PROFILE 小林しのぶ 旅行ジャーナリスト・エキベニスト・駅弁愛好家

 駅弁の食べ歩きは20年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから"駅弁の女王"と呼ばれる。全国各地の調製元と新作駅弁の共同開発を手がけるほか、新聞、雑誌、ウェブ等に連載多数。プロデュースした駅弁は「1000号はっこう弁当」「東京もちべん」(東京駅)ほか。

 フードアナリスト。日本旅のペンクラブ会員。千葉県佐原市出身。

 近著に『全国美味駅弁 決定版』(JTBパブリッシング)、『五つ星の駅弁』(東京書籍)、『どんぶりこ』(交通新聞社) 、『超いまうまい帖』(ぶんぶん書房)、『すごい駅弁!』(メディアファクトリー)などがある。NEXCO東日本で展開している「どら弁当」の監修者でもある。

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