1891(明治24)年創業の老舗、桃中軒が調製する人気駅弁。沼津名産のアジをメーンとする「押し寿司とは異なる駅弁」をつくるために半年以上かけて開発に取り組み、完成にこぎつけた。
紙製の容器には、「にぎわい鯵鮨」「ぬまづ鯵鮨」「鯵わい太巻き」と名付けられた3種類の寿司が詰められている。にぎわい鯵鮨は、伊豆天城産のワサビの茎の塩漬けを混ぜた握り寿司を色鮮やかなワサビの葉で包んだもの。ぬまづ鯵鮨は、獲れたてのアジをオリジナルの酢で締めた本格江戸前寿司で、帯状に巻いたシソの葉が目印となる。そして、中心に置いたアジの切り身を酢飯と海苔で巻いたのが鯵わい太巻き。かぶりつくと、アジと海苔が醸し出す海の香りが口中を満たす。
バラエティーに富んだ3種類の寿司だけでも十分に満足だが、これに風味とアクセントを加えるのが伊豆天城産の生ワサビ。添付された小さなおろし金を使ってすりおろし、醤油をつけて寿司を食べるのが桃中軒お勧めの味わい方。ツンとくる刺激とともにワサビ特有の香りが立ち上り、食欲を増進させる。