いまやすっかり湘南名物となったしらす。高級食材だが湘南海岸沿いにはしらす料理を出す店が軒を連ねている。このしらすをメインにした駅弁を創作したのは、進取の気性に富んだ大船軒。その歴史は鉄道の日にちなんだ記念弁当として2006年10月14日に30個限定で販売したことから始まる。このとき好評を得たため翌月から通年の発売を開始。2012年に内容のリニューアルを行い、現在に至っている。
以前の容器は長方形だったが、現在は中央にふくらみをもたせた船形の器を採用している。ご飯の上には、国産しらすをたっぷりのせ、さらにアオサのりと桜エビを散らして彩りを添えた。しらすは、釜揚げした後、ゴマ油で香りをつけている。ほどよい塩加減とゴマ油の風味が見事にマッチしており、香りと味のよさはこの上ない。桜エビを加えた食感のギャップもおもしろく、箸がどんどん進む。 蒸し鶏塩タレ和えをはじめ、煮物7種類、アサリの時雨煮、卵焼きなどを詰め込んだおかずも充実。全体的に上品で淡泊な味に仕上がっており、食後は湘南の風を全身に浴びたような爽快な気分を味わわせてくれる。