浜松の特産品といえば、うなぎ。浜名湖では1世紀以上前からうなぎの養殖が始まり、戦後から昭和40年代中ごろにかけて生産量を増やした。うなぎ弁当も各社が古くから販売しており、人気は安定して高い。そこに割って入ったのが、創業160年の自笑亭。長年の研究の末、うなぎを赤ワインに漬け込むとやわらかい食感に仕上がることを発見した。
この駅弁の登場は2001年。浜名湖産のうなぎを軽く蒸してから赤ワインに漬け、表を2回、裏を1回焼いて仕上げている。アルコールは焼き工程で飛ばされるが風味は残されており、フタを開けると香ばしい匂いがふわりと立ち昇る。
肝心の味覚はどうか。何より驚かされるのは蒲焼きのふっくら感だ。口中に入れてもなおフワフワとした食感を楽しめるが、コシがあり歯応えも十分で文句なしにうまい。硬めに炊いたご飯との相性も見事だ。
容器にはカップ入りのタレ、山椒、わさび漬けが添えられている。中でも秀逸な味わいなのがわさび漬けで、タレの甘さを巧みに緩和させながら完食へと導く。浜松のうなぎここにあり、をしっかりアピールする内容充実の駅弁だ。