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One Theme☆駅からはじまる旅 ―瀬戸大橋線 東北本線&山陽本線 新倉敷駅―

『美観地区から一足延ばして ジーンズの聖地「児島」&昭和レトロな「玉島」 倉敷新発見!ウォーキング』 ~岡山県倉敷市~

倉敷市の海辺の町、児島・下津井・玉島。瀬戸内海の多島美を眼前にするこれらの町は、かつて北前船や千石船が諸国の多様な文化をもたらし、人々の感性が磨かれていった町である。その感性と、伝え継がれてきた技で児島は国内ジーンズの発祥地となり、玉島は酒や醤油の醸造など手仕事を通して「昔ながら」を今も伝え続けている。

「児島」
「玉島」

“自分のジーンズ”見~つけた!楽しみのジーンズ工房巡り

1.オーダージーンズもOKのベティスミス・ジーンズミュージアム 2.塩田王・野﨑武左衛門の邸宅内に建ち並ぶ土蔵。美しく、圧巻 3.ジーンズを染める藍たてから関わる藍布屋の染め工房「藍のぞき」 4.柔らかい餅の中味はイチゴをはじめ16種。変わり大福が人気の甘月堂 5.大阪住吉大社の太鼓橋がモチーフの倉敷市瀬戸大橋架橋記念館 6.北前船の全盛期、20数軒の廻船問屋が建ち並んでいた下津井の町 7.下津井は良質の水が湧く町。共同井戸には必ず水神が祀ってある 8.海の安全の守り神・祇園神社から瀬戸大橋を眼下に望む

便利な「ジーンズバス」に乗ってめぐる 国産ジーンズの聖地と夕日に染まる瀬戸の絶景

 国産ジーンズが初めて誕生したのは昭和35年、倉敷市児島がその地である。江戸時代からの綿織物と染めの技術を生かしたイノベーションだった。市内には染めから織りまで一貫して製品を作る「藍布(らんぷ)屋」の染め工房「藍のぞき」やアウトレットを併設する「ベティスミス・ジーンズミュージアム」、自分でジーンズのアイテム作りを楽しめる「わがまま工房」等々、たくさんのジーンズメーカーがあり、まさにジーンズの聖地。体験したり試着したりしていると、児島の町歩きは時間がたっぷり欲しくなる。週末と祝日はJR児島駅起点のジーンズバスが走っているので、うまく使うと便利である。

 児島は江戸時代末に野﨑武左衛門が開発した塩田の町だった。ジーンズバスは広大な屋敷のその「野﨑家旧宅」近くもめぐる。思わずため息の出る豪壮な野﨑邸。建ち並ぶ蔵の一つが製塩の歴史や方法などを説明した資料館になっている。

 また、児島は瀬戸大橋の本州側の起点の町でもあり、瀬戸大橋開通を記念した「倉敷市瀬戸大橋架橋記念館」がある。その1階では地元の複数のジーンズメーカーのジーンズを展示。2階には世界の橋の模型やパネルが展示されている。

 児島の町をめぐったあとは、鷲羽山夕景鑑賞バスで鷲羽山へも足を延ばしたい。夕日に瀬戸の風景が刻々と変わっていく様は、一瞬たりとも見逃したくない壮麗な世界だ。一日の終わり、いい音楽を聴いている気分になってくる。

DATA
  • 藍布屋染め工房「藍のぞき」●10:00~16:00/日曜・祝日休/藍染め体験は要予約。バンダナ1200円/TEL.086-473-3670/JR児島駅から徒歩5分
  • わがまま工房●13:00~17:00/体験日は土・日曜のみ/体験料金(利用料200円+材料費実費)/TEL.086-472-4450(児島商工会議所)/JR児島駅から徒歩2分
  • ベティスミス・ジーンズミュージアム●9:00~17:00(アウトレットショップは11:00~)/開館日は月~金曜。土・日曜・祝日は事前予約で開館)/入館無料/TEL.086-473-4460/JR児島駅からジーンズバス10分の王慈園前から徒歩5分
  • 野﨑家旧宅●9:00~16:30/月曜(祝祭日のときは翌日)休/500円/TEL.086-472-2001/ジーンズバス野﨑家旧宅前から徒歩1分
  • 倉敷市瀬戸大橋架橋記念館●9:00~入館21:30/月曜(祝祭日のときは翌日)休/入館無料/TEL.086-474-5111/ジーンズバス児島文化センター前から徒歩1分、またはJR児島駅から徒歩10分※平成22年3月末に閉館予定
  • 甘月堂●9:00~18:00頃(売り切れ次第閉店)/月曜(祝祭日のときは翌日)休/TEL.086-472-4417/ジーンズバス萱刈からすぐ

プチコラム 下津井の絶品タコと鰆料理

流れの速い下津井沖で一本釣りで釣ったオオダコ。茹でたてだ
鷲羽山の麓の港町・下津井。下津井と言えばタコ。身がしまっていて刺身はもちろん、名物タコめしも歯ごたえ十分。さらに岡山を代表する魚が鰆。獲れたては身が硬く刺身が絶品。しかし鰆は鮮度が落ち易く、鮮度が落ちると身が軟らかくなり刺身は不向きになる。故に鰆の刺身は地元でしか食べられない味なのだ。岡山では鰆は刺身で食べるべし!

アクセス&インフォメーション

アクセス
JR岡山駅から瀬戸大橋線快速で約20分(普通列車で約30分)の児島駅下車。岡山へは(新幹線のぞみ利用で)東京から約3時間30分、名古屋から約1時間45分、新大阪から約50分、博多から約1時間50分。
観光の問合せ
倉敷観光コンベンションビューロー ●TEL.086-421-0224

ジーンズバスモデルコース

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江戸、明治、大正、昭和…のノスタルジーに浸る

人にほっこり、風景にほっこり ~歩いて出逢う~

1.玉島港の灯台。元は柏島にあった灯台の灯器部分だが、今は玉島港のシンボル 2.羽黒神社参道に隣接の洋風建築の銭湯「みなと湯」。昭和2年築だ 3.映画『ALWAYS三丁目の夕日』のロケ地・みなと水門は昭和23年生まれ 4.町を守るために造られた溜川。玉島の象徴的水辺の風景の一つだ 5.円通寺本堂前に立つ良寛像。22歳から38歳までここで修行した 6.玉島の庄屋だった旧柚木家表座敷。奥は備中松山藩主のお成りの間 7.百年企業が並ぶ仲買町。4月の造り酒屋の蔵コンサートは人気のイベント

 若き良寛が修行した円通寺のある町・玉島。ここは江戸時代初めに干拓でできた土地である。だから、新しい土地を水から守るために溜川のような遊水池を残し、あちこちに水門を築いてきた。町は“近代的”とは言えない風貌だが、それ故か、気持ちが安らぐ。人の体温が感じられるから……かもしれない。

 この町の始まりである羽黒神社の参道に隣接して、これまたレトロな銭湯「みなと湯」が健在。この町で昭和が舞台の映画が撮られたというのも肯ける。ロケのあったみなと水門から通町(とおりまち)商店街を左に見て、右に進めば玉島の庄屋を務めた旧柚木(ゆのき)家住宅のある矢出町。土壁、黒板塀、格子の家……。一瞬、時を間違えそうだ。

 旧柚木家から川筋に出ると白い灯台が目を引く玉島港。新港橋の向こうが町並み保存地区の新町通りだ。この通りは干拓時に汐留堤防として築かれたもの。そこに問屋を営む商人が誘致され、往時は43軒の問屋と200以上の蔵が並んでいたという。南側が船着き場。備中松山藩の海の玄関口であったところである。

 新町から昭和橋を渡って右に行くと、大正橋までの間が仲買町(なかがいちょう)。味噌醤油の蔵や造り酒屋、紙屋や畳屋が並ぶ。江戸時代からの商いが今も続いているのだ。良寛が修行した円通寺は昭和橋を渡ってまっすぐ坂道を上がる。寺の裏の公園からは眼下に玉島の町や瀬戸の海が一望だ。「俗に非ず、僧に非ず」。静かに生きるを良しとした良寛。その生きる決意は玉島でできた、という話に納得する。

DATA
  • 円通寺●境内拝観自由/玉島中央町から徒歩40分
  • 溜川の風景●玉島中央町から池の西岸まで5分、東岸の園地までなら15分
  • みなと水門、新町●玉島中央町から徒歩7分
  • 通町商店街●玉島中央町から徒歩8分
  • 羽黒神社●境内自由/玉島中央町から徒歩5分
  • 旧柚木家住宅●9:00~17:00/月曜・祝日休/玉島中央町から徒歩20分
  • みなと湯●玉島中央町から徒歩5分
  • 仲買町●玉島中央町から徒歩20分

プチコラム 玉島八島の桃畑と人気の玉桃ジュレ

玉島のおかみさんたち開発の玉桃ジュレ(写真協力:玉島おかみさん会)
玉島は明治以来の桃の産地。玉島八島や冨田あたりの丘は、春には一面桃の花に包まれる。この地で産する“清水白桃”は特に市場の評価が高いのだが、その樹熟の桃をギュッと凝縮してジュレ(ゼリー)にしたものが「玉桃ジュレ」。「玉島おかみさん会」が地元大学と連携して開発したもので、もぎたての香りと桃独特の食感が生きている絶品だ。

アクセス&インフォメーション

アクセス
山陽新幹線新倉敷駅から玉島中央町行き両備バスで約7分の終点下車。新倉敷へは岡山駅から山陽本線で約23分
観光の問合せ
倉敷観光コンベンションビューロー ●TEL.086-421-0224

玉島観光ガイドの問合せ
NPO法人備中玉島観光ガイド協会TEL.080-1935-3425

鉄道よもやまば・な・し 風の道 下津井電鉄サイクリングロード

下津井電鉄廃線跡は今、遊歩道・風の道。プラットホームは休憩所

 茶屋町~児島~下津井を結んで大正時代初めに開通した下津井電鉄。ナローゲージのほっこりする電車だった。平成2年に運行を終了し、その軌道跡の児島~下津井6.3kmが「風の道」と名付けられた歩行者・自転車専用道になっている。名前の通り“風”を満喫。歩いてよし(約2時間)、自転車よし(約1時間)。この軌道幅がいい。広すぎず狭すぎず。“人のための道”を実感する。途中、市街地も通るが、大方は路傍に花を愛で、桜並木の下を潜り、眼下に瀬戸内海を見、緑陰に鳥の声を聞く道だ。

 往時のプラットホームや架線柱、駅表示板等々はそのまま残され、瀬戸大橋の見える鷲羽山駅には新たにトイレも設置された。JR児島駅にレンタサイクルがあるのでひと走りしてみたい。

ピックアップイベント 倉敷に春を告げるとっておきのイベントをご紹介します!

第7回 「倉敷雛めぐり」

本格的な段飾りや内裏雛、御殿雛をはじめ、木彫りや陶器・備前焼のお雛などを、商店街や旅館・ホテルなど町の随所に展示。さらに雛めぐりにちなんだ「ひな膳」や「ひなランチ」などオリジナル雛料理も味わえる。また、地元商店街などによるイベントも楽しみ。

  • 期間●平成22年2月20日(土)~3月7日(日)
    ※地区、展示施設により異なる。
  • 場所●倉敷地区、児島地区、玉島地区、水島地区、真備・船穂地区
  • 問合せ●倉敷雛めぐり実行委員会TEL.086-421-0224

2010倉敷春宵あかり

倉敷に春を告げる毎年恒例のイベント。倉敷美観地区の新名所として誕生した「倉敷物語館」や歴史的な町並みが様々な灯りで幻想的に染め上げられる。今年からは色とりどりの灯りで表現する「春宵あんどん」がワークショップとして新登場。参加型イベントで倉敷の夜を体感したい。

  • 期間●平成22年3月19日(金)~21日(日)、18:00~21:00
  • 場所●倉敷美観地区一帯
  • 問合せ●倉敷観光コンベンションビューローTEL.086-421-0224

倉敷観光情報サイト ゆったり倉敷

コチラもおすすめ!ピックアップ特別企画

文・写真=西本梛枝 写真協力=倉敷観光コンベンションビューロー
※掲載されているデータは平成22年2月現在のものです。

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