『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
長野駅→<篠ノ井線>→松本駅→<大糸線>→南小谷駅と運行する、ハイブリッドシステム搭載の「リゾートビューふるさと」。広々とした座席の窓から善光寺平や安曇野、北アルプスの山岳展望が満喫できる。1日1往復運行(運休日あり)、乗車券のほか指定席券510円が必要
銘菓「雷鳥の里」で知られる田中屋経営の信濃大町駅前にある土産店「アルプスロマン館」で、おやきコーナーも併設。JRの第2待合室も兼ね、お茶やお菓子の試食サービスが好評。おやき170円~、黒豚ドッグ200円。
TEL.0261-23-7808 8:30~18:30、無休
大町市街には北アルプスからの「男清水」、東山からの「女清水」と呼ばれる湧水が豊富で、これを使って打つ信州そばを味わうのも楽しみの一つ。市内にはおよそ20軒の信州そば店があり、各店で工夫しながら味を競い合っている
信濃大町駅から徒歩で約10分、市街中心地に150mほどのアーケードが続く大町名店街。戦災にあわずに済んだので、昭和の香りが残るレトロ商店街として地元の人に親しまれ、最近はそぞろ歩きの旅行客も多い
梓川と並ぶ清流の高瀬渓谷は紅葉美で知られるが、芽吹きや新緑の季節も美しい。
高瀬川には3つのダムがあるが、特に最奥に位置する高瀬ダムは、渓谷美と山岳景観が満喫できる
大糸線は、安曇野と背後に連なる後立山(うしろたてやま)連峰を眺めながらのんびり走る屈指の人気ローカル線だ。松本駅を出た大糸線の車窓には、やがて穂高神社の森や特徴ある有明山の山容とその背後に気高い峰々が広がってくる。そんな風景に見入っていると、まもなく岳都大町の玄関らしいたたずまいの信濃大町駅に到着。まずは、駅前のアルプスロマン館で名物のおやきと黒豚ドッグを、さらに街中を散策して、水の美味しい大町ならではの「信州そば」を賞味する。
葛温泉乗合タクシーは14:30・15:30・16:30発があり、葛温泉までは約30分。そんな距離なのに、10分も走れば高瀬渓谷の入口で、周囲はすっかり深山幽谷の趣。ここは最初の便に乗り、その日のうちに葛温泉の泊まる宿以外の2軒の宿のお風呂をハシゴするのが、最高の楽しみ方だ。どの宿に泊まっても、3軒は800mほどの距離内にあるので、夕食前の散策には絶好だ。
「大町市郊外の新緑・紅葉の美しさで知られる高瀬渓谷沿いに湧くのが、大町温泉郷の湯元でもある葛温泉です。
下流から、北アルプスも望める露天風呂が人気の仙人閣、隠れ宿の風情がある温宿かじか、大露天風呂が好評の高瀬館の3軒の宿がほぼ400m間隔で点在し、どの宿も一軒宿の趣があります。温泉がすばらしく、どの宿も源泉が2本ずつあり、泉質は肌に優しい単純温泉とアルカリ性単純温泉。源泉温度49.5~89度の湯量豊富な名湯です」
年間100日以上を温泉取材に費やす温泉紀行ライター。得意分野は秘湯系。主な著書にアサヒDVDブック『秘湯ロマン』(朝日新聞社)、『名湯・秘湯の山旅』(JTBパブリッシング)、『達人の秘湯宿』(交通新聞社)など。月刊『旅の手帖』に「絶景!温泉」を連載中。
「温宿(おんじゅく)かじか」は、葛温泉の3軒の宿では中間に位置し、高級感漂う大人の宿。この宿では「外湯」と呼ぶ森に臨む露天風呂は風情あふれ、内装デザインや関西懐石風料理も秀逸。
TEL.0261-22-1311 1泊2食2万2000円~、日帰り入浴800円(10:00~16:00)6室
「仙人閣」は、葛温泉では一番手前に位置し、巨大な自然石を取り入れた野趣満点の露天風呂が人気。高瀬渓谷の奥に北アルプスの高峰を望むことができ、葛温泉随一のロケーションを誇る。
TEL.0261-22-3211 1泊2食1万3800円~、日帰り入浴700円(11:00~19:00)18室
葛温泉発は9:00・10:00・11:00。朝食後もひと風呂浴びて、11:00の出発時間までは高瀬渓谷の自然美をゆっくりと眺めて過ごす。大町駅には11:30着。乗車予定の電車には1時間ちょっとしかないので、少し早いけど昼食にしよう。
この日は、駅から徒歩5分ほどのところにある「こまつうどん」で、いまや大町を代表するB級グルメとして人気の「黒部ダムカレー」でがっつり飯を堪能。大町特産の黒豚を使った「信州味噌黒豚カツ丼」や、大町の美味しい湧き水を使ったコーヒーも味わいたかったし、古民家を改装した食事処「わちがい」にも行ってみたかったが、これは次回のお楽しみに。信濃大町駅を定刻の12:37に発車した大糸線は、13:37に松本に着く。松本では国宝の松本城や重要文化財の旧開智学校でも訪ねようかな、などと車内であれこれと思いをめぐらす時間も楽しいものである。
「葛温泉は、静かな山里の温泉地。湯量が豊富で大町温泉郷へも源泉が供給されています。
先日『温宿かじか』に泊まりました。6部屋の小宿には贅沢なたっぷりとした広さの内湯と露天風呂。木曽五木の内湯は暗めの照明に癒される空間、森を眺めて入る露天風呂も素敵です。泉質は単純温泉ですが、硫黄を含有し、ふわふわと湯の花が舞うとろりとした感触で、ぽかぽかと温まってお肌つやつや。
景色にも、お湯にも、うっとりできる温泉です」
温泉ビューティ®研究家・トラベルジャーナリスト。温泉の美容力を研究する日本でただひとりの温泉ビューティ研究家。トラベルジャーナリストとして取材執筆・温泉の講演などで年200日全国を旅する、年間移動距離は地球1周半。 公式サイト「温泉ビューティ®」
紅葉の名所として名高い高瀬渓谷の奥、北アルプスの登山口に湧く葛・七倉温泉は、岳人たちにとっては忘れられない温泉で、秘湯ファンにも根強い人気がある名湯だ。しかし、路線バスが廃止されて以来、ここに行くにはタクシー(1台約5000円、七倉温泉は約6000円)を利用するしかなかった。
そこに登場したのが、葛温泉乗合タクシー。これを利用すると信濃大町駅前から葛温泉まで約30分(七倉温泉は約35分)所要で、片道1500円(七倉温泉は1700円)と格安。しかもこの乗合タクシーの利用者は、葛・七倉温泉に泊まるとその宿以外の3軒の宿のお風呂も無料で入浴できるという特典付きだ。
利用は予約制で、申し込みは4軒の宿に予約するシステム。信濃大町駅発14:30・15:30・16:30、葛温泉発9:00・10:00・ 11:00の各3便運行されている。
詳しくはコチラ
文・写真=飯出 敏夫 石井 宏子 写真協力=大町市観光課、信州・長野県観光協会
※掲載されているデータは平成25年3月現在のものです。