『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
山陽新幹線の新尾道駅(または三原駅)でレンタカーを借り、緑色濃い中国山地を分け入ってドライブすることしばし。“花とフルーツの楽園”世羅町に到着する。開け放った車の窓から入ってくるなめらかで清冽な空気。心身が隅々まで浄化されていき、高原の真っ只中にいることを改めて実感する。
広島県の中東部に位置する世羅町は、“人と自然が輝くまち”がキャッチフレーズの高原リゾート。人口2万に満たない町だが、その冷涼な気候から果物や野菜の一大産地で、町内にはフルーツ狩りが楽しめる観光農園が多数点在する。1~5月にかけては甘やかな香りで食欲をそそるイチゴ狩りが大人気で、さちのか、紅ほっぺなど甘くてジューシーなイチゴに食指が動いてとまらない。傍らでは、リスのように口いっぱいにイチゴをほおばった子どもの笑顔。パパもママももちろん笑顔だ。秋までにはブルーベリー、ナシ、リンゴなど様々な味覚狩りが楽しめるというから、何度でも足を運びたくなってくる。
そんなフルーツの楽園では、“花の町・夢紀行”と題した「せら高原花めぐり」が話題だ。町内7ヵ所の観光農園では桜、芝桜、ユリ、チューリップなど、見目麗しい花たちが春の到来を謳歌するかのように咲き誇っている。広大な丘陵に広がる花畑はあたかも北海道のよう。一つの高原で夢のような花畑に一度に何度も出会える至福。ここは“天上の龍宮城”なのか……。浦島太郎よろしく、大自然が織り成す絶景アートに思わず目が潤んできた。
花たちの競宴に“眼福”を堪能したら、桃源郷グルメを堪能してみたくなった。世羅町ではブドウの生産も盛んで、せら夢公園にある「せらワイナリー」では地元産のブドウを使った各種ワインやワインを使ったチョコレート、せんべいなど地元特産品が販売されている。また、レストランでは、世羅玉子を使ったオムライスや野菜のパスタなど地元産の食材を使った創作料理も味わえるのだ。
“眼福”そして“口福”。“福”に満たされ夢見心地の休日。明日への活力を充電できる“今様龍宮城”では、時の流れを忘れてしまうほどの感動体験が待っている。
写真協力=世羅町観光協会
※掲載されているデータは平成22年3月現在のものです。